2024.04.12NTTリーグワン2023-24 第13節 BL東京 vs 神戸S-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第13節 カンファレンスA
2024年4月14日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東芝ブレイブルーパス東京 vs コベルコ神戸スティーラーズ

東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

押せて、走れて、踊れる。“三拍子”そろう
プロップがピッチ内外を盛り上げる

東芝ブレイブルーパス東京の木村星南選手。プロップとして「スクラムで流れをつかんで、いっぱい走って、スコアにつながるような動きをしたい」

東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は4月14日、秩父宮ラグビー場でコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)と対戦する。リーグ戦現在2位のBL東京はこの試合に勝てば、プレーオフトーナメント進出の4位以内が確定する。リーグ5位の神戸Sとしては、プレーオフトーナメント進出に向けて上位のBL東京から勝利を奪いたい。

BL東京は前節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で、後半40分にセタ・タマニバルが同点トライを奪い、同41分にリッチー・モウンガがコンバージョンキックを決めて勝ち越し。“サヨナラ勝ち”を収めた。

東芝ブレイブルーパス東京の強力なスクラムが、最後の劇的な同点トライにつながった

このセタ・タマニバルのトライにつながったのは、強力なスクラムプッシュで相手のペナルティを引き出したシーンだった。左膝の負傷から復帰して2試合目に臨んでいた木村星南が劇的な瞬間を振り返る。

「自分の中で『イケる』と感じていたので、ペナルティを取ってスコアにつなげようと、あのスクラムは120%ぐらいでいきました。(すぐにセタ・タマニバルが走り込んできて)びっくりしたんですけどね(笑)」

大阪産業大学附属高校、東海大学では負傷に苦しんだ木村だが、BL東京では昨季は15試合出場し、今季も8試合に出場。日本代表入りの可能性も見えてきた。

そんな現状については、「正直、考えていた以上にうまくいっているかなと思います」と照れくさそうに笑い、「スクラムと運動量を強みにしています。スクラムで流れをつかんで、いっぱい走って、スコアにつながるような動きをしたいと思っています」と力強く語った。

プロップとしては、175cm、105kgと体は大きくないが、スクラムが強く、フォワード第3列のように運動量も豊富。毎週のチームミーティングでは『選手が選ぶMVP』の司会を担当し、ダンスで場を盛り上げるという明るさも魅力で、チームにとって欠かせない存在となっている。

ニュージーランド代表のスコット・ロバートソン ヘッドコーチは、スーパーラグビーのクルセイダーズで優勝すると、グラウンドでブレイクダンスを披露していた。今季、BL東京が悲願のリーグワン優勝を果たせば、押せて、走れて、踊れるプロップである木村のダンスが見られるかもしれない。

(安実剛士)

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

世界的名将の父親からの教えは「自信をもつこと」。
自らのスキルを信じ、最高の歓喜を

コベルコ神戸スティーラーズのブリン・ガットランド選手。「常日ごろからよりいい選手になりたい、一日一日いい選手になっていきたいと思って練習しています」

秩父宮ラグビー場に乗り込んで東芝ブレイブルーパス東京と対戦するコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。前節の東京サントリーサンゴリアス戦(以下、東京SG)に敗れ、5位に後退したものの、プレーオフトーナメント進出を目指す機運はますます盛んだ。攻守とも強気の姿勢を貫き、2位の牙城を砕きたい。

全体練習が終わったあと、黙々とキックの練習を繰り返す選手がいた。得点王レースでリーグトップに立つ、ブリン・ガットランドだ。今季から神戸Sに加入したニュージーランド出身のスタンドオフは、精度のあるランやパス、キックを駆使し、チームの戦いを引っ張っている。

「先週末(東京SG戦)は残念な結果になりましたが、ここからの4週間は確実にいいパフォーマンスを出さないといけない状況です。今節の相手はいま2位のチームです。しっかりパフォーマンスを出すことだけを考えています」

繰り返すキック練習。「自分はキックを強みにしています。誇りに思っていますし、タッチキックやペナルティゴールなどを非常に精度高く蹴れると思っています」と胸を張り、多くのキックで貴重な得点を生み、味方の特長を生かしている。

ただ、前節の後半、「8点差という重要な局面でタッチキックをミスしてしまった」とほろ苦さも味わった。そのミスはチームを前に進めるために挑んだ結果であり、重要なのは現実を受け止めた上で、地に足をつけてなお前進できるか。ブリン・ガットランドは今回に限ることなく、絶えず自らの向上心と対峙していることを口にした。

「それ(前節のミス)があったから練習しているわけではありません。常日ごろからよりいい選手になりたい、一日一日いい選手になっていきたいと思って練習しています」

父親は世界的名将でウェールズ代表を率いるウォーレン・ガットランド氏。子供のころから「自分に自信を持つこと。自分を信じること」を教えられてきたという。

神戸Sの司令塔は自身やチームの日進月歩と向き合っている。今節もまた、自らのスキルを信じ、仲間と最高の歓喜をつかみにいくだけだ。

(小野慶太)


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