2024.04.28NTTリーグワン2023-24 D1 第15節レポート(相模原DB 24-31 BR東京)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第15節 カンファレンスB
2024年4月27日(土)12:00 相模原ギオンスタジアム (神奈川県)
三菱重工相模原ダイナボアーズ 24-31 リコーブラックラムズ東京

残留確定も39歳のベテランは満足せず。
「来季につながるように」と視線はすでに未来へ

三菱重工相模原ダイナボアーズのベテラン、安江祥光選手。この試合ではフロントローの中で最も長くグラウンドに立った

後半18分時点のスコアは7対31。トライ数の差は4。D1/D2入替戦回避に望みをつなぐ勝ち点「5」を得るべく、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)が三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)を圧倒していた。

土壇場の状況で大量リードに成功したBR東京に対し、眼前の相手に勝ち点5を与えなければ入替戦を回避できる相模原DB。試合後に両キャプテンが語った「マインドセット」の差がそこにはあり、相模原DBのグレン・ディレーニー ヘッドコーチが「今季最も悪い出来」と評した後半序盤までの一方的とも言える展開を生んだ。

そこから流れを変えるきっかけを作ったのが相模原DBのベテラン、39歳の安江祥光。同日にホストスタジアムでの“ラストマッチ”に先発した埼玉パナソニックワイルドナイツ・堀江翔太の帝京大学時代の1学年先輩だ。

安江は試合後に開口一番、「ありがたいですね。使ってもらえるというのは」と笑顔を見せた。この試合ではフロントローの中で最も長くグラウンドに立った。そして後半21分、ベン・ポルトリッジが持ち味の融通無碍なランで大きくゲインしたあとに次々とパスをつなぐと、安江が相手のディフェンスに阻まれながらもインゴールに突っ込む。まさに猪突猛進のプレーだった。

安江はその場面をこう振り返る。

「あの状況でチームにモメンタムをもたらすには、ボールを持つストロングプレーが必要だと考えていました。ボールを持ったら一歩でも前に出る、そしてブレイクダウンになっても僕以外の2人、3人がすぐサポートに入れれば、攻めるオプションが増えます。そこは体で見せなければいけないと思いました」

息を吹き返した相模原DBは、ウォルト・スティーンカンプのトライで加点。この時点でトライ数は、相模原DBが3、BR東京が5。ボーナスポイント獲得のため3トライ差が必要なBR東京は再び攻勢を掛けるも、相模原DBが堅い守備でスキを与えない。80分経過を告げるホーンが鳴り終わっても続く激闘の末に、最後は相模原DBがボールを外に蹴り出した。

昨季、相模原DBはD1/D2入替戦の末に残留を決めたが、今季はレギュラーシーズンの結果で残留を確定。ジャパンラグビー トップリーグ時代も含めて、最上位ディビジョンで入替戦を回避しての自力残留はチーム史上初の快挙となった。

ただ、安江はこれで満足はしない。

「われわれの目標は残留ではないので、しっかりと勝利を重ねて来季につながるようなチームビルディングをしなければいけません」と語気を強めた。最終節の花園近鉄ライナーズ戦に向けて、「相手も順位を上げるために必死になってくると思うので、われわれはそれを受けるのではなく、1勝をつかみに行くチャレンジャーとして戦っていきたいと思います」と気持ちを新たにした。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのグレン・ディレーニー ヘッドコーチ(左)、岩村昂太キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ

「複雑な気持ちです。前半は、私がこのチームに携わっている3年間で一番ひどいパフォーマンスでした。もちろん、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)もよかったのですが、自分たちがいろいろミスをして、そこから勢いを取り戻すことができなかった。でも後半はそれを変えて、自分たちで努力して7点差以内にすることができて、来シーズンもディビジョン1(で戦うこと)が決定したのはうれしかったです。けれど、前半は自分たちのスタンダードではないというのを、ハーフタイムにフィールドでみんなで話しましたが、複雑な気持ちではあります」

──おそらくハーフタイムにかなり厳しいことを選手に伝えられたと思いますが、具体的にどのようなことをおっしゃったのでしょうか?

「正直に話しただけです。自分たちの(目標とする)スタンダードではなかった。試合前にメンバーに話したのが、『この試合が終わったあと、振り返ったら、どういう試合だったのかを想像しよう』ということです。それを成功させるためには、『自分たちの役割を果たすように積極的にアクションしなければいけない』、『一瞬のバトルで勝たなければいけない』と話しました。しかし、前半はおそらくすべての一瞬のバトルのところで負けたと思います。ハーフタイムでは正直に、自分たちのスタンダードではないと話をしました。それに選手たちも反応してくれて、パフォーマンスを出してくれましたけれど、言われるまで待たないで、最初からそれをやらなければいけないので、それは学びかなと思います」

──負けはしましたが、昨季以上の結果を残すことができました。それについてはどのように考えていらっしゃいますか?

「(ヘッドコーチとキャプテンの)二人とも試合のあと、感情的になって、『まったくダメだった』という話をしましたけれど、一歩下がって見てみると、自分たちは昨シーズンよりいい結果を残しました。あと1試合を残して入替戦に回らないことを決められたのは、自分がこのチームに来た3年前に比べたら、成長できていると思います。自分たちもいまやっていることに気持ちがこもっているので、もっと早くそれをやりたかったという気持ちがありますが、自分たちが確実に前に進めていることを理解することが大事です。でも、こういう終わり方をすると、苦い後味にはもちろんなりますが、いいことをしたと思うので、自分たちが何をしてきたのかはまた振り返って、それを忘れないことが大事です」

──自分たちのスタンダードを出せなかった理由はいろいろあったと思いますが、一番の要因は接点のバトルのところでしょうか?

「100%(岩村)昂太の言うとおりです。マインドセットでパフォーマンスが変わります。僕たちの前半のマインドセットは正しいところになかった。チームとして学んでいるのが、チームとして毎週いい準備をして、いいマインドセットで試合に入らないと勝てないということです。たまにそれをやればいいというようなリーグではないし、試合の中でもときどきそれをやればいいわけではない。一貫性をもってやらないといけないということを再び学んだ試合でした。来週に向けてももちろん成長しますし、来シーズンもまた成長してラグビーをしていきたいと思います」

──ハードなトレーニングを続けてきたとはいえ、シーズン中の疲れが若干たまっていた部分はあるのでしょうか?

「シーズンが長いというのはもちろんのことですが、一番学ばなければいけないのは、このチームは若い選手が多いですが、毎週いい準備をして、いい強度でプレーを続けなければいけないというところです。それが今日できなかったと思います。シーズン中の試合がなかった中断期間でハードなトレーニングをやりました。それをやった理由は、そのあとの5試合がすごく大事であることが分かっていたからです。その中の3試合を勝つことができたからこそ、今日ここに座っていることができています。そのせいで、もしかしたらいま疲れが出ているかもしれませんが、一番大事なのは、自分たちの1週間の準備でどれだけ高い強度でプレーできるかどうか。今日のパフォーマンスに関しては、そこの準備が一番の原因だと思います」

三菱重工相模原ダイナボアーズ
岩村昂太キャプテン

「グラックス(グレン・ディレーニー ヘッドコーチ)が言ったとおり、前半は情けない試合をしてしまって非常に残念です。1年前までだったら、僕らはD2からD1に昇格してきて、ハングリー精神をもって、常に上の相手と戦った。でも、今日の試合に関しては、そのハングリーさがまったく見えなかった。そこが非常に情けなく、悔しかった。そこをリードできなかった自分にも悔しく思います。ただ、後半、活を入れられて、マインドセットを変えてグラウンドに出て、われわれのスタンダードが徐々に出てきたというのはよかった。そこは前半から出さなければいけないところでした」

──負けはしましたが、昨季以上の結果を残すことができました。それについてはどのように考えていらっしゃいますか。

「そういった結果を残せたのは非常にうれしく思いますし、昨季よりは結果的に成長できていると思うので、そこはうれしく思います。ただ、繰り返しにはなりますが、まだ僕たちのスタンダードではない。これを一貫してスタンダードを出し続けなければ強いチームになれないので、この結果に満足せず、高みを目指して日々成長していきたいと思います」

──自分たちのスタンダードを出せなかった理由はいろいろあったと思いますが、一番は接点のバトルのところでしょうか。

「接点のバトルというよりは、まずは相手のほうがアグレッシブに前に来ました。勝ちたい気持ちは相手のほうが強かったと思います。いろいろな局面、ブレイクダウンだったり、タックルだったり、キックチェイスだったり、そういったところで相手のほうがマインドセット的に上回っていました」

リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京のピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(左)、武井日向キャプテン

リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ

「勝ったことはうれしいです。特に前半のパフォーマンスに喜びを感じています。どうやって戦いたいかという具体的なゲームプランを持っていて、そこをしっかりとチームが遂行してくれたことを誇りに思います。後半はそこから離れてしまうようなところも出てきてしまったのですが、勢い、流れが変わることは必ずあると思います。前半にやれていたことが後半になって続けられなかった部分があったと思います。もちろん、(勝ち点を)5点取れたらベストでした。ただ、この試合ではなく、その前の14試合、やってきたことというのが自分たちに一番ダメージを与えています。自分たちのこれからのプライオリティーは毎週レベルアップをし続けること。

隣にいる彼(武井日向キャプテン)は、今日のゲームもしっかりリードしてくれてよかったと思います。先週の結果を受けて、チームとしてはがっかりしていたのですが、(武井)日向と松橋(周平)の二人とも、チームをしっかりリードしてくれたと思います。それも誇りに思います」

──前半、「特によかった」ということですが、具体的にラグビーの部分でチームとして心掛けていたこと。遂行できたこととは何でしょうか?

「よかったのはしっかりプランを立てて、そのとおりにやれたこと。そこがチームの成長した部分です。1週間、やりたい戦い方があって、それに向けて日々準備をする。自分たちがチャレンジしなければいけないのは、週末、プレッシャーの中でそれをやり続けられるかというところで、それが今日はよくできたと思います」

──中楠一期選手は、試合ごとに持ち味を発揮しているように見えるのですが、評価を教えてください。

「1年目に10番でチームを引っ張っていかなければいけないのは、簡単なことではないと思います。特に勝っていないときはさらに難しいと思います。その中でも彼は冷静で、自分の準備もしっかり続けています。もちろんエラーもありますが、それは誰であっても、世界ナンバーワンや、世界で10本の指に入る選手でもミスすることもあると思います。ただ、若い10番なので、周りで何が起きていても、できるだけしっかりとゲームプランを遂行するということにフォーカスしてもらいたいと考えていて、そういう面ではいい経験を今季は積めていると思います」

──今日のスタートではマット・マッガーン選手不在の中、10番をプレーさせたのも、信頼している部分でしょうか。

「そうですね。自分の選手像だったり、性格だったり、そういったところを見せながら、今日は池田悠希だったり、ロトアヘア アマナキ大洋を隣に置いて、キャリーするときのパワーのようなものも合わせてやれたのはよかったのではないかと思います」

リコーブラックラムズ東京
武井日向キャプテン

「(ピーター・ヒューワット)ヘッドコーチの言ったとおりです。僕も勝ったことはチームとして成長できたところだと思います。特に前半は自分たちがやるべきことをしっかり遂行しました。15人が全員、それぞれの役割を分かってそれを遂行できたことがああいう結果につながったのだと思います。後半はそこから逸れてしまった。シンプルなことをやり続けることが大事だと思うのですが、それができなかったというのは、次のレベルに進む必要があると思います。ああいう前半をできたというのは僕たちにとってポジティブなところで、あれもしっかり後半もやり続ければ、今日の結果はもっと変わっていたと思います。やることが明確になって、やってきたことは間違いではないと思うので、それが証明できたいい試合だったと思います」

──厳しい負け方を前節に経験して、普通なら落ち込むところだと思いますが、どんな感じで気持ちを持ち直して今日につなげてきたのでしょうか?

「選手だけでミーティングをして、こういうときこそ一つにならなければいけないということを話しました。あとはもう一度、ジャージーを着る意味、BR東京として戦う意味を話して、泥臭さが自分たちのDNAだと思うし、これを着たからには、ルーキーであろうとベテランであろうと関係なく、その責任を果たそうという話をしました。中途半端な気持ちでグラウンドに立っても何もできないと思うので、しっかり覚悟を決めてこの試合を戦おうということを話しました。それで戦う方向が一つになって、今日グラウンドに立ったときにもすごくエナジーがありました。どういうマインドセットで試合まで準備したらいいのか、試合の当日はどういうマインドセットでグラウンドに立てばいいのかというのが、この試合をとおしてみんな分かったと思うので、それもしっかり来週につなげたいと思います」

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