NTTジャパンラグビーリーグワン2022-23ディビジョン1もリーグ戦は残り2試合。プレーオフトーナメントに進出できる4位以内の可能性はなくなってしまっているトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)であるが、消化試合を戦うという雰囲気はまったくない。それぞれがチームの一員として、いま何をすべきなのかを考え、強い結束力を持ってリコーブラックラムズ東京戦に臨む。

その一人が岡田優輝だ。名門・大阪桐蔭高校、帝京大学から2018年にトヨタVに加入した岡田は、シーズン開幕戦から先発出場し、同年のトップリーグ新人賞を受賞するなどすぐに活躍。不動のレギュラーを張っていてもおかしくない実力を持っている。しかし、今季はなかなか出場機会に恵まれず、第4節から10節まで出番はなし。それでも、チームのことを真っ先に考え行動してきた。

「このチームにはいい選手がたくさんいます。誰が試合に出てもおかしくないし、誰が出ても個人の責任をしっかり果たしてくれるメンバーだと思います。チームが勝つために何ができるのか、そこだけを意識するというか追求して、自分が選ばれたならチームのためにハードワークする。自分の力をしっかり発揮していきたいと思います」

トヨタVには本当に優れた選手がたくさんいる。その中で出場機会を巡る競争ももちろんあるだろうが、岡田が主眼を置いているのは、『常にチームが次の試合に勝つために何をするのか』であり、『自分たちの求めるラグビーができればどんな相手にでも勝てる』という信念を持つこと。フォア・ザ・チームの一徹した思考で厳しい練習を乗り越えてきた。

その一徹さを表すエピソードがある。岡田は試合に入る直前にある意外な食べ物を口にする。それは『じゃがりこ』。棒状のポテトスナックだ。

「自分の中でなんかルーティンがないなと思っていて、1年目の開幕戦に出させてもらったときに、たまたま『じゃがりこ』を食べたのがきっかけで『これだな』って。これを続けてみようと決めて、もう5年くらい食べています(笑)」

簡単に決めただけというが、決めたらとことん貫き通す。それはまるで一本のじゃがりこのよう。「トヨタVを優勝させる」。岡田のいまの目標も、近い将来にきっと達成してくれるだろう。