埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)には、大きな野望とビジョンがある。

世界一のラグビータウンへ。ロビー・ディーンズ監督は「熊谷を日本一、世界一のラグビー聖地にしていきたい。そのためにファンとともに戦っていく」と語る。

2019年のラグビーワールドカップ日本大会で使用したスタジアムである熊谷スポーツ文化公園ラグビー場の周辺には、埼玉WKの練習場とクラブハウスが整備され、練習場を眺めることができるスポーツホテルも完成した。まさに世界有数のラグビー施設となっている。

埼玉WKはNTTジャパンラグビー リーグワン初年度の昨季にリーグ戦14連勝(不戦敗2)でプレーオフに進出すると、準決勝でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに24対10で勝利。決勝の東京サントリーサンゴリアス戦を18対12で制してリーグワン初代王者となった。

リーグワン2シーズン目の今季、初代王者に慢心は一切ない。「現状維持は停滞」と言わんばかりに大型補強を決行。身長206cmの大型ロック ルード・デヤハー、ダミアン・デアレンテ(チーム復帰)という南アフリカ代表プレーヤーを獲得し、戦力に厚みを加えた。

ルード・デヤハーは「埼玉WKの施設は、世界にも知れ渡っている。エージェントを通じて移籍の話をもらってうれしかった。素晴らしいラグビータウンでプレーしたいと思った」と移籍理由を明かしている。家族とともに来日し、ラグビーに打ち込んでいる。

チームには、圧倒的なキャプテンシーを誇る坂手淳史、“笑わない男”稲垣啓太、日本ラグビー界のレジェンド堀江翔太、タフガイのベン・ガンター、松田力也、山沢拓也、ディラン・ライリー、野口竜司ら日本代表(候補)がそろう。

国内外のスタープレーヤーが集うチームは、まさにオールスター。際立つ個性が融合してチームを形成する。一つひとつのトライが、ラグビー王国の土台となっていく。

今節は、9戦無敗で首位を走る埼玉WKと、8勝1分で2位につけるクボタスピアーズ船橋・東京ベイの直接対決。埼玉WKはS東京ベイを相手にリーグ13連勝中だが、それはすべて過去。埼玉WKは目の前のゲームに集中してキックオフを待つ。ラグビータウン熊谷が熱く燃えるゲームがいよいよ始まる。