クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)には、闘うたびに苦汁をなめさせられた「天敵」と言えるチームが3つ、存在した。東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)、トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)、そして埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)である。

かつては「強豪チーム」と呼ばれるポジションからは、かなり離れた場所にいた。2010年はジャパンラグビー トップリーグのシーズンを1勝11敗1分という成績で終わり、トップイーストに降格。その後、13年に3季ぶりにトップリーグに復帰すると、16年には現在も続くフラン・ルディケ ヘッドコーチ、立川理道キャプテン体制がスタート。チームは着実に地力を蓄え、21年にはついにトップ4に進出。リーグ下位から時間をかけて浮上し、ジャパンラグビーに風穴を開けた。

しかし、そんなS東京ベイの行く手を阻むがごとく立ちはだかったのが、件の3チームだった。21年のプレーオフトーナメントでは東京SGに決勝進出を阻止された。トヨタVには08年を最後に、公式戦では一度も勝利を奪えなかった。分厚い壁にいつも、はね返され続けてきた。

「リーグワン」がスタートを切った22年のシーズンで定めたスローガンは「NEXT LEVEL」。チームはまさに、次の段階に足を踏み入れようとしていた。22年2月26日のディビジョン1第7節、「新たなステージ(NEXT LEVEL)への挑戦」「困難や逆境に立ち向かい、決して屈さない」「目標を達成するために行動し続ける強い意志」という意味が込められたスローガンを具現化するかのごとく、トヨタVに勝利。そして今季、12月18日の開幕節で東京SGを実に18年ぶりに攻略。舞台は、整いつつあった。

「自分たちの立ち位置が試される試合になる」

S東京ベイのスタンドオフ、バーナード・フォーリーは今週末に控えた大一番を、こう分析した。今シーズンはここまで無敗で、リーグ全体で2位。ホームスタジアムの江戸川区陸上競技場、通称「えどりく」では14連勝と無敗神話を構築している。前節には、昨季4位の東芝ブレイブルーパス東京から快勝を収めたばかり。優勝争いを演じるチームへと成長を遂げたS東京ベイ。その力が今、試される。

残る天敵は、あと一つ。次節、S東京ベイは胸を張って、王者が待つ熊谷に乗り込む。