日本代表選手を多数抱え、優勝が至上命令の東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。だが、ジャパンラグビー トップリーグ時代の2017-18シーズン以降、優勝から遠ざかっている。その理由は明白。ここ数年、いつも埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が立ちはだかるからだ。

ジャパンラグビー トップリーグ最終年のプレーオフトーナメント決勝戦は26対31で惜敗。NTT ジャパンラグビー リーグワン初代王者を懸けた昨季決勝戦も12対18で敗戦。

今季もここまで10戦全勝で首位を走る埼玉WKに対し、東京SGは8勝2敗で3位と後塵を拝する。それだけに3月11日、秩父宮ラグビー場で迎える埼玉WKとの一戦は、プレーオフトーナメントを見据える上でも重要な戦いとなる。

東京SGを取材していると、監督や選手たちの口からよく耳にする言葉がある。

「このプレーでは埼玉WKには通用しない」 「埼玉WKなら、こういうミスはしなかったはず」

目の前の敵と戦いながらも、常にその先に埼玉WKを見据えているのだ。

なかでも、今季から共同キャプテンを務めるスクラムハーフの齋藤直人は、2020年の入部後、公式戦では埼玉WKに未勝利。早稲田大学時代はキャプテンとして日本一に輝いた経歴を持つだけに、勝利への飢えは強いはずだ。そんな若きリーダーを、東京SGの田中澄憲監督はこう評する。

「最近は本当にキャプテンらしくなってきました。発言でも遠慮がなくなってきて、『自分が引っ張っていく』という自覚を持っている。自分の言葉でちゃんとコミュニケーションできていますよ」

実際、試合中にも大きな声で仲間たちを鼓舞する姿は珍しくない。だが、齋藤自身は言葉以上にプレーで引っ張りたいと意気込みを語る。

「日本代表を経験して、あらためてリーダーやキャプテンはまずパーフォマンスで示すことが大事、ということを学びました。まずはその点をチームでも第一に考えたいです」

前節、チームは開幕節以来の黒星を喫し、埼玉WK戦を前につまずいた形だ。それでも齋藤キャプテンは、この負けを教訓にしたいと前を向く。

「自分たちがアタックする上で欠かせないのがブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)でいかに勝利するか。その根本的な部分をまずは見直していきたい。決してネガティブにならず、チーム全員でもう一度前を向いて、埼玉WK戦を迎えたいです」