ジャパンラグビー リーグワン初代覇者の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)。昨季はリーグ開幕からの2試合が不戦敗となったが、その後は14連勝。プレーオフトーナメント準決勝でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに勝利、同決勝では東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)に18対12で競り勝ち、栄冠を勝ち取った。

リーグワン初代王者となった埼玉WKにとってのミッションは連覇だ。そのために、東京SG戦は避けては通れない。第10節を終えた時点で、埼玉WKは10戦無敗で首位。対する東京SGは8勝2敗で3位につける。今節の直接対決は、プレーオフトーナメントを視野に入れた激闘になる可能性が高い。

埼玉WKの強みは、屈強なディフェンスだ。リーグ10試合の総失点はリーグ最少の124で、総失点リーグ2位の東京SGの200を大きく下回る。規律整うディフェンスラインの網は、簡単に突破を許さない。さらにスクランブルディフェンスでも執念の守備でトライを阻止している。

第10節の首位攻防戦、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦では再三にわたりラインブレイクを許してスクランブルディフェンスとなったが、ディラン・ライリーが背後から圧力を掛けて相手の突進を止めた。さらに福井翔大が相手のグラウンディングを阻止するミラクルなプレーを見せている。まさに埼玉WKの守備に真骨頂と言えるシーンだった。そのシーン以外にもリアム・ミッチェル、ベン・ガンター、ルード・デヤハーらが強度の高いプレーで蒼き壁を形成している。

日本代表の坂手淳史は「守備は自分たちのプライドを体現する場所。ディフェンスで大事にしていることは、早くセットをすること。その意識レベルが高くなっている。一人が欠けたとしても全員のコミュニケーションでカバーして、その一人を生き返らせることができる。全員が仕事をし続けられるのが埼玉WK。上位との対戦が続くが、やるべきことは変わらない」と胸を張る。

今節はビジターゲーム。撃ち合いではなくロースコアの展開へ持ち込む算段だ。埼玉WKは、天王山で守り勝つ。