クロスボーダーラグビー2024 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs ギャラガー・チーフス-見どころ
※2月9日試合登録メンバーの変更があり、木田選手は試合登録メンバー外となりました
ボールが素早く動くスピーディーなゲーム展開に、少年は目を奪われた。その視線の先にあったのは、世界最高峰のリーグ、スーパーラグビーの試合映像。木田晴斗、中学生時代の出来事である。
「テレビで見ていて、すごく興味を惹かれました。テンポが速く、面白いラグビーをやっていると思いました」
幼稚園のころから空手で鳴らし、小学5年生からラグビーを始めた木田がスーパーラグビーに憧れを抱くようになったのはそのころ。中でもお気に入りのチームが、今回来日したチーフスだった。
「自陣からでもアタックしていく姿勢であったり、またこれはスーパーラグビーのどのチームにも言えることですが、ハンドリングの能力の高さであったり……。あとは単純に、チーフスのユニフォームが好きでした」
いつかはあのスーパーラグビーの大舞台で。そんな目標を胸に、木田はラグビーの道を歩んできた。そして今年、中学時代に憧れの眼差しを向けていた、あのチームが「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」に参戦。木田の闘争心が躍った。
「スーパーラグビーの、しかもニュージーランドのチームと戦うようになるのは、まだまだ先の話かなと思っていました。ですが今回、クボタスピアーズ船橋・東京ベイの選手として、(スーパーラグビー・パシフィックのチームの)レベルを知れるというのは、とても楽しみです」
ただ、大谷翔平のあの有名な台詞ではないけれど、「憧れ」の気持ちは、とうの昔に置いてきた。2月10日の秩父宮ラグビー場、目の前に立つのはあくまで「対戦相手」としてのギャラガー・チーフスである。
「キャリアを重ねて、S東京ベイに入団した時点で、もう憧れの気持ちはなかったです。日本代表に入ったら(スーパーラグビー・パシフィックの)レベルの選手たちと戦っていくことになります。だから、そこまで遠い存在だという感覚はありません。また、このリーグワンにもそういうレベルの選手はたくさんいます。試合が決まって戦うという段階になったいま、チーフスに対する特別な感情もありません。僕のランニングスキルがどれほど通用するのか。それは自分でも楽しみにしています」
不動の心で臨む、「交流戦」という名の真剣勝負。S東京ベイが誇る閃光のトライゲッターが、スーパーラグビー・パシフィックのファイナリストに牙を剥く。
(藤本かずまさ)