2025.05.02[横浜E] ありたい自分でいるために。地道な努力の積み重ねの先に、巡ってきたチャンス

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月4日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
横浜キヤノンイーグルス vs コベルコ神戸スティーラーズ

横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスA)

「人生は右肩上がりだけではない」と語る、横浜キヤノンイーグルスの川村慎選手
©︎横浜キヤノンイーグルス

コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)を秩父宮ラグビー場に迎え撃つ横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)にとって、今節が今季最後のホストゲーム。前回対戦のビジターゲームでの敗戦の雪辱を期す試合は、大型連休期間中の5月4日(日)14:30にキックオフのホイッスルが鳴る。

レギュラーシーズンでのメンバー入りは昨季の最終節・埼玉パナソニックワイルドナイツ戦以来。「一瞬一瞬が特別な瞬間」と語るのは2番で先発予定の川村慎だ。「ライザーズ(ノンメンバーの総称)の時間が長かった」と本人が話すように、およそ1年間、ライザーズの立場からチームの勝利のために力を尽くしてきた。そんな献身性にあふれたプレーヤーに「個人的なチャンスが巡ってきた」。

横浜E加入3シーズン目。「人生は右肩上がりだけではない」と心の葛藤と戦いながらも、公式戦のグラウンドに立ちたい気持ちを押し殺し、特にホストゲームではスタンドからチームメートを後押ししてきた。川村をそこまで突き動かす原動力とは一体──。

「自分の目指すところと自分が立ちたい立場は理想としてある中で、ありたい自分でいるために、試合に出ている選手たちを応援できない自分がいるとそれはそれで苦しいですし、自分自身もそういう自分だとイヤだなという思いもある一方で、もちろん葛藤はあります。ただ素直に応援することが、自分のパフォーマンスを上げる一つの要因にもつながると僕自身は感じているので、どこまで突き詰めても自分のためと言えば自分のためですが、選手を応援して、ライザーズとしてやるべきことをやって、自分の順番、出番が来たら精一杯プレーする。好循環を作り出す一員となれるようにやってきました」

試合前日の6位・東京サントリーサンゴリアスの結果次第で、プレーオフトーナメント進出の行方は左右されるが、目の前の神戸S戦に死力を尽くすことに変わりはない。川村は言う。

「今回のメンバーで、この瞬間が二度と来ないということは理解しています。個人的にはスクラムとラインアウトのセットピースで自分なりの経験と一番の力を発揮できたら良いなと思います。ただ、多くを望んでも仕方がありませんから、目の前の1個1個のプレーを誠心誠意で頑張るだけです」

地道な努力の積み重ねの先に待っている歓喜の瞬間を目指して──。チーム最年長の37歳は、フッカーのポジションから仲間たちを引っ張る覚悟だ。

(郡司聡)

2025.05.02[神戸S] チームに貢献するため学んだのは、“信じてやり切る”こと。仲間と共闘し、勝利をつかむ

NTTジャパンラグビー リーグワン2024-25
ディビジョン1 第17節(リーグ戦)カンファレンスA
2025年5月4日(日)14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
横浜キヤノンイーグルス vs コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

移籍後、前節にようやく初トライ。「大きな安堵の瞬間でした」と語るコベルコ神戸スティーラーズのイノケ・ブルア選手

前節でプレーオフトーナメント進出を決めたコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は今節、秩父宮ラグビー場で横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)と対戦する。

イノケ・ブルアは安堵した。

「限られたチャンスでうまく仕事ができていたかと言われると、できていなかったと思います。でも今回、ようやくトライが取れた。大きな安堵の瞬間でした」

チームの勝利に貢献したい──。シンプルだが、とてつもなく大きな思いをブルアは言葉に詰め込む。前節の前半8分に奪った先制トライは、横浜Eから移籍加入後の初トライ。その4分後には二つ目のトライを奪い、プレーオフトーナメント進出を決めた試合の勢いを付けている。求められた役割を体現した、プレーヤーとして純粋に生まれる安堵感だろう。

神戸S加入1年目の今季はけがなどもあり、出場機会は限定的。前節の先発は第3節以来であり、プレーヤーとしてもどかしい時間だったに違いない。それでも、多くの‟学び”を得るポジティブなシーズンになっているという。

「自分のいろいろな側面を振り返り、『こういうことに取り組まないといけない』など、学びのあるシーズンになっています。その中で、一つ大きな学びは『プロセスを信じてやり切る』こと。プレーするかしないかに関係なく、常にプレーできる準備をして、チームがやろうとしていることをしっかり信じてやり切ること。本当に大事なことだと感じています」

コーチやトレーナーらは「出場メンバーに限らず、サラマンダーズ(神戸Sにおけるノンメンバーの呼称)もちゃんと見ています」と話し、「チーム全体でチーム全体をケアしている感覚」を抱いているブルア。「高い水準を設けた中で、それを出せるようにコーチたちも高い水準の指導をしますし、スケジュールの組み立てをします。そういう高いスタンダードはあらためてすごく学びになっています」。チームのために、仲間のために‟信じてやり切る”ことに集中する。

取材中、真剣な表情を見せつつも、豪快な笑みを随所にたたえ、瞬時にその場を明るくさせるような人柄が印象的だった25歳。前節の2トライをこうも振り返っている。

「スコアできたのはチームメートがいたからこそ。感謝の気持ちが強いです」

仲間との共闘の末につかむ勝利を求めて。フォワードにも引けをとらない突進力を前面に、今節の14番はチームへの貢献という役割を‟信じてやり切る”。

(小野慶太)


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