釜石シーウェイブスRFC
1959年に創部した前身の新日本製鐵釜石ラグビー部は、「北の鉄人」と呼ばれる全国屈指の強豪だった。79年度から日本選手権を7連覇し、その栄光は語り継がれている。しかし、徐々にトップレベルの舞台に姿を見せられなくなり、2001年4月にクラブチーム化。名称は現在の釜石シーウェイブスRFCとなった。
釜石は、このチームが育んだラグビータウンである。根強いファンがそこに存在し、熱く、厚く、クラブを支えている。ホストスタジアムは、釜石鵜住居復興スタジアム。被災地に立つ復興へのシンボルには、古くからクラブを応援するファンをはじめ、多くのラグビー愛好家が集い、心強く後押しする。「『絶対に勝てる』というような雰囲気にしてくれる」。目を細めてそう話すのは選手会長のNo8/FL中野裕太だ。
昨季から開幕したリーグワンではD2に参加。6チーム中5位でシーズンを終えた。順位決定戦のラストゲーム、鵜住居での日野レッドドルフィンズ戦がクライマックスで、22-19と強豪を撃破した。チームの底力を感じさせる一戦となった。
今季、南アフリカ出身の実力者であるSOジョシュア・スタンダーらの加入があった中で、注目すべきは“出戻り組”。LO/FLタタナ ダラス、CTB村田オスカロイド、CTB/WTB片岡将は、チームに帰還した選手だ。中野は「自分たちは『お帰り!』という感じ。サポーターも喜んでいる」と明かす。クラブのアイデンティティーを知る彼らが、全体にエナジーを加えている。「戦術もだいぶ浸透してきている」と中野も述べた。
見据える先は、トップディビジョンへの返り咲き。そして釜石ラグビーの復活だ。どんなビジターゲームでも足を運ぶサポーターとともに、フェアで魅力的なラグビーを展開して、上位への進出を期する。「(D2の)相手と比べても、自分たちは体が大きくない。先手、先手で動いていかないといけない」(中野)。一丸となり、ピッチでは素早くアクションを起こしていく。
チームスローガン『REVIVE』の旗の下、日本のラグビーシーンに“釜石、ここにあり”を示せるか。
(田中 直希)