九州電力キューデンヴォルテクス
D3で臨んだ昨季はレギュラーシーズンで4位。その後の4位~6位順位決定戦では首位となり、九州電力キューデンヴォルテクスは4位でリーグワン元年を終えた。それでも、チームのDNAとも言える伝統の守備力を示す失点数はリーグでも2番目に少ない数字を記録。明確な“キューデンスタイル”が健在であることを確かに証明したシーズンとなった。
2年目のシーズンに向けて、今季は新たに5人の選手が加わった。中でも注目を集めるのは、日本代表で25Capを誇り、2015年にはラグビーワールドカップに出場したWTB山田章仁の加入だ。「九州への思いはずっとあった。しっかりやれるうちに地元でプレーしたかった」と自ら話すように、福岡県北九州市出身の山田章仁は郷土でのプレーに高いモチベーションを見せている。
そのほかにもオーストラリア代表に招集された経験を持つFLコルビー・ファインガア、昨季限りで活動休止となった宗像サニックスブルースからPR猿渡康雄、ファイアラガ望サムエル。そして、明治大からSH竹ノ内駿太が加わり、チームに新たな力を生み出している。
チームの目標はD2への昇格だ。宗像サニックスブルースの活動休止により、九州KVは今季、リーグワンに参加する九州唯一のチームになった。九州出身の選手が数多く在籍していることも踏まえて、山田章仁は「チームも福岡だけではなく九州全域をセカンダリーホームとして掲げている。九州のため、九州のちびっ子のためにという思いはみんなが持っている」と話す。九州唯一のチームだからこそ、自分たちが九州のラグビー文化を盛り上げていくと意気込む。「体のぶつかり合いはほかの試合を見てもあると思いますが、キューデンは気持ちでぶつかっていけるチーム。そういうところをファンのみなさんには見てもらいたい」(山田章仁)。地元・九州への強い思い。今季の九州KVは気持ちを込めたプレーで九州のラグビーファンの心を揺さぶる。
(杉山 文宣)