NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン3 第14節
2023年4月15日(土)13:00 Balcom BMW Stadium (広島県)
マツダスカイアクティブズ広島 29-25 中国電力レッドレグリオンズ
逃げずに向き合ったからこそ見えた来季への希望
今季3度目の“広島ダービー”は、マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)と中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)がお互いにNTT ジャパンラグビー リーグワン 2022-23入替戦出場への望みを残すために激しい攻防を繰り広げ、29対25でSA広島が勝利を挙げた。
前半は中国RRのゲームだった。3分に藤井健太郎のトライで先制すると、敵陣で相手に圧力をかけて得点を重ねていき、10点をリードして折り返した。
SA広島にとっては苦しい前半だった。焦ってペナルティやミスが増えていく。今季、苦しい時間を多く過ごしてきたチームにとって、シーズンを象徴するような40分となった。ただ、チームは苦しみながら成長を遂げてきたことを後半の40分で示す。
後半からピッチに立った大内空は、自分のやるべきことを明確にしていた。
「中国RRさんの勢いのあるアタックを自陣で受けてしまうとやっぱり点につなげられてしまうので、敵陣に入ることが大事だと思っていた。控えの僕がチームに勢いをもたらすためにやることは、ボールを持ったら前へ出ること。ディフェンスでは運動量。あと、しっかりとキックで敵陣に入ること。その3つを意識しました」
後半2分にペナルティゴールを決められ、さらにリードを広げられたが、焦らずに自分たちのやるべきことを徹底。後半11分にロックラン・オズボーンがトライを決めると、そこから勢いに乗って逆転に成功する。
「前半が終わったときはヒヤッとした」と言う﨑口銀二朗キャプテンも、選手間でしっかりとコミュニケーションを取り自分たちの強みを出せた後半の戦いには充足感を覚えた。「チームが成長したなと感じて、非常にうれしく思っています」。そう笑みを浮かべた。
苦しいシーズンの中でも、SA広島は﨑口キャプテンが中心となって前進を続けてきた。大内空が「連敗が続いて悔しかったけど、シーズン中盤にキャプテンをはじめ全員で見直して、やっていくことを明確にし、勝利することもできた。次のシーズンにつながる良い経験ができた」と振り返ったように、苦しい状況から目を背けずみんなでチームを立て直した経験は今後に必ずつながっていく。
入替戦に出場する望みは絶たれてしまった。それでも、来季への希望が見えたSA広島のホストゲーム最終戦だった。
(寺田弘幸)
マツダスカイアクティブズ広島
マツダスカイアクティブズ広島
中居智昭 ヘッドコーチ
「本日のゲームは勝ち点5を何としても奪って(入替戦進出圏内の)3位への希望をつなごうと意気込んだゲームではあったんですが、中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)さんの激しいプレッシャーとエリアマネジメントに前半はすごく苦しみました。その中でも後半に選手たちが奮起してくれ、それと同時に観客の応援が間違いなく後押しになって、逆転することができました。最後のプレーまでボーナスポイントが入るかどうかというところまで行ったんですが、やはり中国RRさんの意地によって最後にトライを奪われて入替戦(進出の可能性)は消滅になりましたが、勝ち切るという意味においては大きな一勝だったと思います。われわれはリズムが良いときと悪いときがあって、試合をとおして波があったところが反省点です。自分たちの力を常に発揮してゲームを運んでいくようなコントロールの部分がまだまだ足りないなと感じました。ただ、選手は奮起して勝利をつかみ取ってくれた。選手を称えたいと思います」
マツダスカイアクティブズ広島
﨑口銀二朗 キャプテン
「本日の試合、ありがとうございます。前半の入りのところで中国電力レッドレグリオンズさんのプレッシャーを受けて後手を踏んだ局面が多かったのと、天候の影響や自分たちのミスから流れをつかめないところもあって、前半が終わったときはヒヤッとしたんですけど、後半に自分たちで立て直して、ディフェンスのところでペナルティを減らせたこと、アタックの強みであるラインアウトモールのところで点数を取れたことでリズムを立て直せた。最後に勝ち切れたところでチームは成長したなと感じて、非常にうれしく思っています。ただ、勝ち点5を取れなかったので最終節まで(入替戦への)希望をつなげなかった。来季には自分たちが勝ち上がれるチームになるために、ラスト1試合もしっかりと戦って勝ちたいなと思います」
中国電力レッドレグリオンズ
中国電力レッドレグリオンズ
岩戸博和 ヘッドコーチ
「率直に悔しい。それが一番最初に出てくる感想です。前半は勝って折り返して、後半はマツダスカイアクティブズ広島さんのセットピースや、敵陣に入ってからの集中力が、完全にわれわれよりも高かった印象です。そこで受けに回ってしまったことが敗因の一つになると思っています。悔しいの一言です」
中国電力レッドレグリオンズ
西川太郎 共同キャプテン
「本日はありがとうございました。僕も本当に悔しいの一言に尽きるんですけど、試合の総括としては、前半に自分たちのラグビーがすごくできて折り返し、後半は少し焦りと言いますか、ディフェンスで受けに回ってしまったところがあり、ペナルティが多発してしまって自陣の深くまで入られてしまった。マツダスカイアクティブズ広島さんにスコアされる試合になってしまって、すごく残念です。もう入替戦に行く望みは絶たれてしまったんですけど、ラスト1試合、クリタウォーターガッシュ昭島戦に向かって準備し、全力でぶつかって最後に勝って締めたいなと思います」