2023.04.17NTTリーグワン2022-23 D1 第15節レポート(GR東葛 17-59 S東京ベイ)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1(リーグ戦) 第15節 カンファレンスB
2023年4月16日(日)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 17-59 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

異国の地で切磋琢磨した仲間との初対決。未来の共闘を夢見て、二人は笑顔で握手を交わした

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのハラトア・ヴァイレア選手(ボールキャリア)と、NECグリーンロケッツ東葛のクリスチャン・ラウイ選手(13番)。ふたりは日本体育大学柏高校から日本体育大学までの7年間チームメートだった

4月16日、柏の葉公園総合競技場で行われた一戦は、8トライを奪い終始試合を優勢に進めたクボタスピーアズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)が、ホストチームのNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)を59対17で下した。

GR東葛のクリスチャン・ラウイと、S東京ベイのハラトア・ヴァイレアは、ともにトンガ出身で、日本体育大学柏高校から日本体育大学までの7年間、同じジャージーを着て戦うチームメートだった。大学卒業後は別々のチームへ進み、この試合でNTTジャパンラグビー リーグワンでの初対決を迎えた。長らく一緒に戦ってきた仲間が相手チームにいることについて「変な感じがしました」とクリスチャン・ラウイは笑顔を見せた。

前半29分、GR東葛のラインアウトのミスを突いたS東京ベイが、キックとパスで素早く右サイドへ展開。スピードを生かしてサイドのスペースを駆け上がったハラトア・ヴァイレアがトライを決めた。「(日体大柏高校出身のため)もともと、ここは地元。このグラウンドには思い出があります」という、ハラトア・ヴァイレアにとっては感慨深いトライとなった。

後半29分にはクリスチャン・ラウイもスタジアムを沸かせた。自陣ゴールライン付近でパスを受けると、軽快なステップとパワフルなランでS東京ベイのタックルをかわし、ラインブレイクに成功。左のタッチライン側を駆け抜けてハーフウェイラインまで相手を押し返した。

ポジションはハラトア・ヴァイレアがウイング、クリスチャン・ラウイがセンターだったため、試合中に直接対峙する場面はほとんどなかったが、それでも「僕が13番だったら対面で面白かったかな」と語るハラトア・ヴァイレアのうれしそうな表情が印象的だった。

「今までずっと一緒に戦ってきた仲間と、今日は相手として戦って、ひさしぶりにラグビーができてうれしかった」(クリスチャン・ラウイ)

「高校から大学まで7年間一緒にやっていて、初めてお互いに試合ができて楽しかった」(ハラトア・ヴァイレア)

互いに勝利を目指してぶつかり合い、親友との対戦を心の底から楽しんだ。今後もリーグワンの舞台で、数々の熱いバトルを繰り広げていくことになる二人は、最後にお互いが描く共通の目標を語った。

「何年後か、いつかまた同じチームでプレーできたら面白いと思います」

クリスチャン・ラウイとハラトア・ヴァイレアは互いの健闘を称え、そして再会を喜び、笑顔で握手を交わした。

(鈴木潤)

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のロバート・テイラー ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ロバート・テイラー ヘッドコーチ

「今日は熱意のあるサポーターの方々に来ていただいて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。クボタスピアーズ船橋・東京ベイは最終的にタイトルを取りそうなチームの一つなので、素晴らしい勝利でした。NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)のパフォーマンスは理想的なものではなかったですが、次週の花園近鉄ライナーズ戦に向けて、もう一度フォーカスを置いていきます。これはどちらのチームにとってもフォーカスする試合だと思いますし、観客も楽しみにしている一戦だと思います。来週は正確性を中心に上げていかないと難しい試合展開になると思うので、簡単なターンオーバーボールやチャンスを与えないようにしないといけないと思います」

──今日はスクラムハーフに藤井達哉選手を今季初スタメンで起用しました。起用に至った理由を教えていただけますか?

「タツ(藤井)は、シーズン中はスクラムハーフとしてベンチから出る機会があったんですけど、そこで役割をしっかりやってくれました。ニック・フィップスがスクラムハーフのポジションにおいて高いスタンダードをセットしてくれたので、そこからいろいろと学ぶことができたと思います。GR東葛において9番というのは競争が激しいポジションだと思うんですが、タツはテンポの速いボール展開をしてくれるので、相手にとって危険な存在なりますし、フミ(田中史朗)がチームをリードしてくれる場面は試合の中で生きる要素だと思います。日本人をスクラムハーフで使うことで、フォワードに外国人選手を3人使えるという選択肢も生まれてくるというのと、ティノ(マリティノ・ネマニ)を起用するということも戦法の一つでした。タツはシーズン中から頑張っていたので、彼にスタートのチャンスを与えました」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「今週はいろいろとあった中でクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦に向けて準備してきました。チームの一人ひとりに対して誇りに思います。結果は一度、過去のものとして置いて、次の花園近鉄ライナーズ戦や入替戦にフォーカスしていきたいと考えています」

──藤井達哉選手の成長をどのように感じていますか?

「今まで宗像サニックスブルースで一緒にやっていて、彼の基本はアタッキングファースト。キックとパスというより自分でしかける選手なので、2年ぐらい一緒にやって、ニック・フィップスやフミ(田中史朗)がいろいろとコーチをしてあげて、バランスをうまく取れるようになった。今日も見ていたけど、いつキックをするのか、いつランをするのか、その選択肢がうまくできるようになった。今までフォワードゲインでなくても自分でアタックをしようとしていたけど、いまはフォワードの気持ちも考えながらできていると思います」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイのフラン・ルディケ ヘッドコーチ(左)、立川理道キャプテン

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「みなさん、こんにちは。今日の結果についてもパフォーマンスについても非常にハッピーですし、相手をリスペクトして80分間やるということもしっかりできたと思います。もちろん毎回パーフェクトではないので、しっかりとタスクにフォーカスして8トライを取れましたし、課題も見つかったので、そこも楽しみながらやりたいと思います。天候に関して後半はいろいろとありましたが、選手たちが成長した姿を見せてチームが一つになれたと思います。いろいろな状況で何が起こるか分からないところで、両チームともしっかり対応していたと思います」

──優秀な外国人選手もいる中で、青木祐樹選手をずっと起用している理由は?

「非常に頼りになる選手ですし、基本的なことをきっちりできる選手で、特に6番というのは良いラインアウトジャンパーでもありますし、ボールキャリアーとしても仕事ができます。ワークレート(仕事量)も良いです。さらに役割の理解度も深く、遂行力もあります。パフォーマンスが今季は非常に良いので、使っていてエンジョイできる選手です。青木選手はリーダーシップを取れる選手の一人でもあり、何試合かはキャプテンも務めました。私がクボタスピアーズ船橋・東京ベイに来てから立川(理道)選手と作ってきたプロセスを一緒に築いた選手の一人で、チームに貢献してくれる選手の一人です」

──天候の影響ではハーフタイムが30分という時間になりましたが、ヘッドコーチからどのようなことを話したのでしょうか?

「ハーフタイムが長くなることについてはコントロールできないことなので、選手には15分ぐらい各自ブレイクを与えて、そのあとにプランやどういうことをやっていくかを話し合いました。自分たちがどうこうできる問題ではないという認識もあり、どれだけタスクやプランを決めて対応していけるか、後半が始まったときにベストに持っていけるかを話しました」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
立川理道キャプテン

「今週チームとしては80分を秒数に変えて、4,800秒を自分たちがしっかりと戦うことをテーマに持ってきた中で、(フラン・ルディケ)ヘッドコーチが言ったように今日はハーフタイムでストップするようなことになったんですけど、そこでもロッカールームでみんなが後半の入りを確認して、試合にフォーカスしていました。それが後半の苦しい時間帯でもあまりバラバラにならずに戦えた結果だと思います。試合の中で学びはたくさんあるんですけど、来週は東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)と試合があるので、そこに向けてこの試合の反省をしっかり生かして短い時間になりますが準備していきたいと思います」

──最終節の結果次第では首位に立つ可能性もあります。次の試合への意気込みを聞かせてもらえますか?

「あまり埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の結果は考えていないです。この週末、花園近鉄ライナーズがコベルコ神戸スティーラーズに勝ったり、静岡ブルーレヴズが埼玉WKに勝つような試合がありましたが、そこに自分たちは重きを置いていないというか、考えていません。次の試合に向けて何をしなければいけないかが重要で、それを数年やってきて良い結果が出ていることも分かっています。まずは今日の試合、次は東京SG戦に向けて、あまり外に目を向けないで結果が出たときにそれを受け入れるだけです」

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