2024.01.14NTTリーグワン2023-24 D2 第4節レポート(浦安DR 10-7 S愛知)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第4節
2024年1月13日(土)14:30 ゼットエーオリプリスタジアム (千葉県)
浦安D-Rocks 10-7 豊田自動織機シャトルズ愛知

天候に水を差された消化不良の結末。
D2を引っ張る両チームの次の対戦は3月17日に

悪天候により後半7分のところで試合は中断され、その後中止に。4節終了時点で両チームは共に、3勝1敗、勝点15となっている

開幕からの3試合を終え、2勝1敗の浦安D-Rocks(以下、浦安DR)が3戦全勝中の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)を迎えた一戦はまさかの結末を迎えた。

1位と2位の対決らしく前半は手に汗握る攻防となった。それは浦安DRのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチの言葉を借りれば「腕相撲のような展開」。ピッチ上でお互いの意地とプライドがぶつかり合っていた。

きっ抗した戦いぶりは数字にも表れる。両チームが奪ったトライは一つずつ。浦安DRが前半18分に竹内柊平のトライで先制するも、S愛知も前半30分に松本仁志がトライを奪い返す接戦が演じられた。

スコアが振り出しに戻ってからも一進一退の攻防は変わらず、終盤には両チームにペナルティキックのチャンスが訪れる。前半33分にオテレ・ブラックが難なく決めた浦安DRに対し、S愛知は前半38分のキックをフレディー・バーンズが決め切れず、10対7で前半は終了。3点の差はついたが、後半はさらなる熱戦が期待できるロースコアで折り返した。

ところが、結果的にこのペナルティキックの成功の可否が勝敗を大きく左右することになる。そんな事態を招いたのは誰でもなく、ハーフタイムにポツポツと降り出した雨とゴロゴロと鳴り出した雷。天候がゲーム展開を急変させた。

通常どおり後半のホイッスルが吹かれて試合は進められていたが、大きな雷音が鳴り響いたことで後半7分、橋元教明レフリーが試合を中断。その後は何度も試合再開を試みる動きを見せたが、試合再開の目途がたたないために後半7分時点での試合成立が決定し、10対7のまま浦安DRの勝利で決着した。

誰も責めようはないが、後味の悪い最後に「80分トータルでわれわれはこの試合のプランの準備をしていましたので、それを40分で振り返るのは非常に難しい」と、S愛知の徳野洋一ヘッドコーチが唇をかめば、浦安DRのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチは「選手時代を含めて初めての経験」と驚き、「相手にとっても自分たちにとってもこのような試合の終わり方は望ましくないが、幸運にも中断の時点ではスコアボードで相手を上回っていたので試合に勝てたことはポジティブ」と振り返るにとどめた。

好ゲームが繰り広げられていただけに、この決着の仕方に消化不良の思いを抱く気持ちはなおさらだろう。ディビジョン2を引っ張る両チームの次の対戦は3月17日に予定されている。“次こそは80分を戦い、決着をつけたい―”。そんな思いを抱き、気が付けば雪が舞っていたゼットエーオリプリスタジアムをあとにした人は多かったはずだ。

(須賀大輔)

浦安D-Rocks

浦安D-Rocksのヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ(左)、飯沼蓮キャプテン

浦安D-Rocks
ヨハン・アッカーマン ヘッドコーチ

「試合の終わり方は、相手にとっても自分たちにとってもこのような終わり方は望ましくなく、80分間、ファンのみなさまに(試合を)見せたい気持ちでいました。ですが、その中でも幸運にも中断の時点でのスコアボードで相手を上回っていたので、試合に勝てたことはポジティブだと思います。

全体的に試合を見ると、パフォーマンスは自分たちが納得いくモノではなくて、チャンスをモノにできていない部分だとか、ジェネラルプレーでは結構いいプレーができていますが、スクラムやラインアウトなどセットピースのところでチャンスを決め切れないことが多かったです。豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)さんもすごく良いチームなので前半は腕相撲のような展開が続いていて、後半に入ってからはフッカー二人がけがをして、アンコンテンストスクラムになるというかなりイレギュラーなことが起きる試合でした。それに加えて天候で試合が中断になり、最終的には中止になると。自分自身も選手時代を含めて初めて経験することでした」

──セットピースでの課題を具体的に教えてください。

「スクラムに関してはペナルティ、フリーキックなどがあったと思いますけど、そこにおいても安定している感じがしませんでした。スクラムは相手があってのことで、あとはレフリーも関係してくることなので、どれだけ自分たちの要因で、どれだけ安定していないのかは分析して、レフリーとのコミュニケーションもクリアにしていかないといけないところだと思います。

それから敵陣でペナルティをすることによって、自分たちがじわじわと相手にプレッシャーを掛けるところで完全に相手のプレッシャーが和らいでしまうという自分たちにフラストレーションが溜まる状態でした。ラインアウトでもノットストレートが2回あった。そこも同じように相手にプレッシャーを掛けるべきシーンで掛けられていないプレーが出てしまった。チャンスというのは限られているので、そこの精度をしっかりと上げていきたいです。特に前半の20分、30分でのセットピースの精度を上げていきたいです」

──試合の終わり方が「初めての経験」の中でも勝ち切れたことへの捉え方を教えてください。

「もちろん結果に関しては相手に比べたら満足するべきだと思いますし、あとは14人になってスクラムもアンコンテンストスクラムになっていたということも踏まえれば、喜ぶべきほうのチームだと思いますが、試合は平等に80分プレーされるものであるべきだと思いますし、相手チームに対して残念に思う気持ちはあります。そうは言ったものの、試合が中止になった時点で相手を上回っていたということは、それまでに自分たちが良いプレーをしてきたということでもあるので、そこに関しては自信を持っていこうと選手たちには伝えました」

──田村煕選手をフルバックで起用した理由を教えてください。

「ほかの選手のけがもあり、いろいろと重なって15番で田村選手が練習する機会もあって、その15番での練習でもそうだし、それ以外の部分でもここ最近、すごく良いパフォーマンスを見せていたので起用してみたいという思いがありました。彼はアタックやキックの能力が高い選手なので、そこを試合で見たいと思い起用しました。スタンドオフの選手が3枚フィールド上に立っているということはコミュニケーションの部分でもアドバンテージが得られると思い、そういう意味でのコンビネーションを試してみたい、と。オテレ(・ブラック)選手を12番で、(クリップス)ヘイデン選手を10番で起用して、どんなコンビネーションが見られるか、この先に向けても見たかったという理由で起用しました」

浦安D-Rocks
飯沼蓮キャプテン

「今日はありがとうございました。ヨハン(・アッカーマン ヘッドコーチ)が言ったとおり、80分できなくて中止になってしまいましたけど、それまで寒い中、会場で待ってくれたファンの方々に感謝を申し上げたいと思います。幸運にも自分たちは前半で勝っていたので結果は勝ちになりましたけど、このあと次第で成長スピードやお互いのチームの未来は変わってくると思います。そこは課題もたくさんあったのでしっかりと引き締めてやっていきたいです。

試合内容に関しては、キックゲームになることは分かっていたので、キックされたあとのポジションやボールに対するオフ・ザ・ボールのところはこの1週間チームでしっかりとやってきました。そこの出来はまあまあだと思います。しかし、チャンスのときにミスをしたり、チャンスを生かし切れなかったり、選手一人ひとりの責任はありますけど、チームとしてもっとコネクトして自信を付けられるような練習、準備をしていければと思います」

──選手としては80分できず消化不良な部分もあると思いますが、どう切り替えて今後の試合につなげていくべきだと考えていますか?

「課題をしっかり見つけて修正していくだけですね」

豊田自動織機シャトルズ愛知

豊田自動織機シャトルズ愛知の徳野洋一ヘッドコーチ(右)、ジェームズ・ガスケル 共同キャプテン

豊田自動織機シャトルズ愛知
徳野洋一ヘッドコーチ

「はじめに1月1日に発生した能登半島地震でたくさんの人が被災されたことにつきまして、チームを代表して心よりお見舞い申し上げます。そのような中、今日、勝ち点4を獲得された浦安D-Rocks(以下、浦安DR)のみなさん、おめでとうございます。試合は天候不良ということで、われわれがコントロールできる部分ではないところで中断して中止になってしまったのは残念でありますが、それはわれわれの安全面を最優先に判断して頂いた結果であり、運営サイドの判断をリスペクトしたいと思います。本日はありがとうございました」

──試合を振り返り、手ごたえと課題はどのように感じていますか?

「80分トータルでわれわれはこの試合のプランの準備をしていましたので、それを40分で振り返るのは非常に難しいのですが、前半に良くなかったことでいうとラインアウト、そしてディフェンスのコネクションの部分は少し課題が残ったと思います。その一方でブレイクダウン、接点の部分ではプレッシャーを十分に掛けられたかなと思います。後半にプランどおりさらにプレッシャーを強めていければと思っていたところで少しアンラッキーな形になりました。われわれが準備していたモノはまだまだこんなものじゃないというのは自分たちが一番分かっているので2週間後を楽しみにしていただければと思います」

豊田自動織機シャトルズ愛知
ジェームズ・ガスケル 共同キャプテン

「徳野(洋一)ヘッドコーチが申したように豊田自動織機シャトルズ愛知として、このたび、被災された方々への哀悼を示すとともに早い復興を願っております。ゲームのほうはプレーヤー、サポーター、レフリーの方々の安全面を考慮して受け入れるしかなかった結果だと考えています。この気持ちを2週間後の九州電力キューデンヴォルテクス戦に向けて、また新たなチャレンジとして臨みたいと考えております」

──試合を振り返り、手ごたえと課題を教えてください。

「試合に関しては、浦安DRさんの強い攻撃は分かっていたので、そこに対して自分たちもしっかりとしたフィジカリティーで制限を与えたいと考えていました。個人的なところでは、ラインアウトでボールを3回失ってしまったので、そこは今後に向けてしっかりと修正していきたいと考えています。自分たちが求めていた結果にはつながらなかったですけど、内容はポジティブに考えていますし、ゲームプランをしっかりと徹底できたと感じています」


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