NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第14節 カンファレンスA
2024年4月19日(金)19:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
東京サントリーサンゴリアス vs 静岡ブルーレヴズ
東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスA)
「チームの目になりたい」と語る男の決意。
優勝のために仲間たちの道しるべとなる
東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)にとって今季初、そして唯一のナイトゲームで“突破!”を決めることができるか。4月19日(金)、秩父宮ラグビー場で19時キックオフの静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦は、勝てばプレーオフトーナメント進出が決まる大事な一戦となる。
「静岡BRといえばスクラム」。東京SGの選手、監督からそろってこの言葉が出てくるように、静岡BRといえば前身のヤマハ発動機ジュビロ時代からスクラムを強みとするチームだ。さらに今季は2019年、2023年のラグビーワールドカップで日本代表のスクラムを担当した長谷川慎コーチが復帰。ますますそのスクラムは脅威に映る。
そんな中、「もちろん対戦相手の分析もしながらですけど、自分たちのラグビーにフォーカスして、プレーオフトーナメントで勝てるチームを作っていけるようにやっていく段階です」と、より視座を高く見据えるのは、日本代表でも長らく活躍してきた百戦錬磨のセンター、中村亮土だ。
「今季は何度も負けたりしましたが、その敗戦から刺激をもらいながらプラスに捉えて、自分たちの伸びシロに目を向けてやってきました。それがいま、少しずつ形になってきたのかなと思います」
東京SGは今季ここまで3敗。THE CROSS-BORDER RUGBY 2024も含めれば4敗。決して順風ではない中、勝ち点を積み重ね、チームとして仕上がってきた感がある。中村自身、今季は本職のセンターだけでなく、試合展開に応じてスタンドオフでもプレー。先発出場もあれば控えからの途中出場もあるなど、さまざまな状況に応じたプレーが求められている。
「今季は、自分のプレーの質を高めるのはもちろん、『周りの目』になってあげて早めに声掛けをすることや、10番の髙本幹也や9番の選手の判断を助けるプレーをすることも心掛けています。ここまでは負けから学びましたが、ここからは勝ち続けることで学びたい。ミーティングもしっかり重ねながら、チームをマネジメントしていきたいですね」
「チームの目になりたい」、と語る男の目には、もちろん優勝しか見えていない。
(オグマナオト)
静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)
いざ、初先発。
若き“重機”が強豪撃破の原動力に
今季のD1リーグ戦は残り3節。現在7位の静岡ブルーレヴズは、今節の東京サントリーサンゴリアス(3位、以下、東京SG)戦を皮切りに、コベルコ神戸スティーラーズ(5位)、東芝ブレイブルーパス東京(2位)という上位陣との対戦が続く。プレーオフトーナメント進出に望みをつなぐためには、3試合すべてで勝利あるのみ。今まで以上の力を発揮しなければならない。
いまは藤井雄一郎監督の戦い方が選手たちに浸透し、チーム力は着実に上昇カーブを描いている。特に前節では、後半に出場した外国人選手たち、ヴェティ・トゥポウ、シオネ・ブナ、ショーン・ヴェーテーが圧倒的なパワーを見せつけて怒とうの追い上げに大きく貢献し、鮮烈な印象を残した。
今節では、その中からヴェティ・トゥポウが初先発に抜擢された。
「東京SGに対しては前半からしっかりアタックしていきたいので、ボールキャリーできる、前に出られるフォワードが欲しい」と藤井監督は起用の理由を説明する。
フィジー出身で摂南大学に留学し、今春卒業したばかりのヴェティ・トゥポウだが、190cm/92kgの頑強な肉体や精悍な顔つきはとても24歳には見えず、見た目どおりパワーも抜群。ひとたびボールを持ってキャリーすれば、タックルされても数mは相手を引きずりながら前に突き進んでいく。
また高校時代にはラグビーと並行して陸上の100m走にも取り組み、ベストタイムは11秒という俊足の持ち主でもある。前節でも自らラインブレイクして大きく前進したシーンがあり、試合終了直前の劇的な同点トライも決めた。
「経験豊富な選手が味方にたくさんいるので、練習の中でもいろいろ教えてもらって、多くのことを学べていると思います。もちろん自分としてもミスは減らしたいです。練習でしっかり意識をしながらベストを尽くして、試合に出られたら良い仕事ができるようにしたいと思っています」(ヴェティ・トゥポウ)と学ぶ姿勢があり、藤井監督は「すごく頭もいい」と言う。
静岡BRに合流してまだ数カ月だが、多くのことを吸収して成長を重ねていることが、出場機会の増加にもつながっている。今後、どこまでの選手になっていくのか、成長が楽しみな大器でもある。
また、年齢の近いシオネ・ブナやショーン・ヴェーテーが一緒に頭角を現してきたことも良い刺激になっていると言う。
「彼らが良いキャリーをしたあとは、自分もボールを持ってキャリーしたいという気持ちになりますし、彼らと一緒にプレーできていることが、すごく自分のモチベーションにもなっています」(ヴェティ・トゥポウ)
今節に向けては「前節はボールキャリーが10回ぐらいでしたが、その回数をもっと増やして、たくさんボールキャリーしたいです」と意気込む怪物ロックは今回フランカーとして先発する。彼が重機のような推進力で相手選手を引きずっていくたびに、相手のディフェンス組織は後手に回って乱され、味方が突破するスキが生まれやすくなる。強豪・東京SGを倒すために、文字どおりの“原動力”となるか。
(前島芳雄)