NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第14節 カンファレンスB
2024年4月20日(土)14:30 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
トヨタヴェルブリッツ vs 埼玉パナソニックワイルドナイツ
トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)
22点差を逆転された前回対戦の経験を胸に。
姫野和樹が求める「やりとおす覚悟」
6位のトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)が、目標とするプレーオフトーナメント進出を達成するためには、残り3試合で全勝が必須というやりがいのある条件。その中でも最も高いハードルが、全勝中の首位・埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)との今節だろう。
キャプテンを務める姫野和樹は「言わずもがなですけど、埼玉WKは素晴らしいチームだと思います。チームの成熟度が高いですし、何年も同じスタイルでやってきて、全員がビジョンを分かっていて、ディテールもすごく詳細に詰めている。若手とベテランがミックスしていてメンタリティーも素晴らしい。本当にスキがないラグビーをしています」と、称賛の言葉を次々に口にした。
しかし、その一方で攻略法も見えてきている。その根本にあるのは前回、第4節の対戦での手ごたえだ。トヨタVは前半に4トライを挙げて最大22点をリード。後半に失速し大逆転負けを喫してしまったが、「前半の戦いを80分間とおして見せ続けられれば、間違いなくこの相手を倒せる。実際に倒す寸前までいけた」と、姫野は考えている。
そのために大事なことは「全員が同じ方向を向いてハードワークすること、そして、自分のやるべき役割をたとえ85分や90分になってもやりとおす覚悟が必要だ」と姫野は説いた。今季初の連勝と勢いが出てきたところで迎える首位との大一番。姫野は「楽しみにしている」と笑顔を見せた。
もう一つ、姫野が笑顔を見せた話題があった。それは今季限りの引退を発表している埼玉WKの堀江翔太と内田啓介との対戦について。日本代表として長く一緒に戦ってきた仲間でもある。
「内田さんも堀江さんも間違いなく日本のラグビーを引っ張ってきた選手なので、彼らと試合ができなくなるのはすごく寂しい気持ちです。特に堀江さんは帝京大学の大先輩。でもここは勝負の世界なので、しっかりと体を当ててバトルを楽しもうと思っています」
順位、目標、惜別など、終盤戦ならではのさまざまな要素が盛り込まれたトヨタVと埼玉WKの第14節。パロマ瑞穂ラグビー場で心の底から笑顔になった姫野和樹を見たい。
(斎藤孝一)
埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)
タフな試合ほど存在感を発揮する男。
「自分のプレーで日本、そして熊谷に恩返しを」
埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が4月20日のディビジョン1第14節のビジターゲームでトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)と対戦する。埼玉WKは開幕14連勝、そしてリーグ戦1位でのプレーオフトーナメント進出を目指して、トヨタVからの勝利を狙う。
頼もしい男が戻ってきた。日本代表のベン・ガンターが第11節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で開幕戦以来10試合ぶりにメンバーに名を連ねると、3戦連続で先発出場。今節のトヨタV戦でも6番のフランカーとしてフィールドに立つ。
「開幕戦で負傷して約4カ月戦列を離れてしまったが、再びフィールドに戻ることができてうれしい。ゲームコンディションは試合でしか上げられないので、試合を重ねるごとに状態は良くなっている」
ベン・ガンターの離脱は、開幕直後の埼玉WKにとっては戦力的に痛手だったが、チームは連勝街道を突き進んだ。
「チームが勝ち続けたのは本当にハッピーだったものの、個人としては心苦しい部分もあった。埼玉WKは、一人ひとりがチームでの役割を理解していて、誰が出場しても機能している。個人としてプレーするのではなく、チームの一員として戦うことだけを自分も意識している」
オーストラリア・ニューサウスウェールズ州出身の26歳。2016年の高校卒業後に埼玉WKに加入し、9年目。2021年からは日本代表に選出され、ラグビーワールドカップ2023フランス大会のメンバーにも選ばれるなど着々とキャリアを積んでいる。
「高校卒業時に軍隊への加入の話が進んでいた中で、ワイルドナイツからオファーをもらってラグビーを続けることができた。本当に幸せなことだった。来日してからの、この8年間はあっという間で、専用スタジアムや新練習場ができるなど環境も大きく変わった。日本代表にも選んでもらうこともできて、すべてに感謝している。自分のプレーで日本、そして熊谷に恩返ししたいと思っている」
今節の相手であるトヨタVには、アーロン・スミス、ボーデン・バレット、ピーターステフ・デュトイら世界的な名選手もいる。「彼らは素晴らしい選手でもちろんリスペクトはしている。(トヨタVは)日本人を含めて質の高い選手がそろっていてチームとしてのレベルも高い。ただ、ラグビーは個人競技ではなく、同じジャージーを着て戦うチーム競技。自分たちもチームとして戦っていくことが重要になる」
今節の結果によって、リーグ首位通過が決定する可能性もある。そんな大切な試合でも、ベン・ガンターはチームの一員としてピッチに立つ。タフなゲームになることは確実だが、フィジカルな戦いになればなるほど、彼が存在感を発揮する。
(伊藤寿学)