2024.05.17NTTリーグワン2023-24 D1/D2入替戦 第1戦 S愛知 vs 三重H-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1/D2入替戦 D1 11位 vs D2 2位 第1戦
2024年5月18日(土)12:00 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 三重ホンダヒート

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

チームへの姿勢が評価され、共同キャプテンに
抜てきされた男。満を持して入替戦に臨む

2022年3月6日以来のリーグワン公式戦出場なるか、豊田自動織機シャトルズ愛知の金 隆生 共同キャプテン

激戦が続いたディビジョン2のレギュラーシーズンを2位で駆け抜け、D1/D2入替戦に臨む豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)。相手は、同じ東海地方のライバルである三重ホンダヒート(以下、三重H)だ。昨季はD2で対戦し、結果はS愛知の3戦3敗。3度も苦杯をなめさせられた相手に、約1年越しのリベンジを果たしてD1への切符をつかむ。

徳野洋一ヘッドコーチは三重Hを「D1での戦いを1シーズン経験したことで、大きく成長しているチーム」と見ている。入替戦という看板はつくが、チームにとっては一つの試合。これまでもそうだったように、目の前の試合に全力で向かっていくだけだ。

「この試合に入れ込み過ぎて、空回りするのは違うと思う。これまでのプロセスを信じて、楽しんでやりたい」

そんな今節のメンバーリストに名を連ねたのは、共同キャプテンを務める金隆生。控えからのスタートで、出場すれば2022シーズン以来となる。

「メンバー入りして率直にうれしかった」と語る25歳。大阪朝鮮高校から帝京大学に進み、S愛知に加入。一昨季にファーストキャップを獲得したが、昨季は出番なし。今季もここまでメンバー入りすることができていなかった。

しかし、「試合に出られない間でも、気持ちを切らすことなく準備できていた」と話すように懸命な努力をしてきた。「自分は小さいフランカーなので、まずはワークレート(仕事量)を高めること。あとは得意としているディフェンスを更に良くして、ジャッカルにも出ていけるように」鍛錬を続け、トレーニングマッチなどを通じてアピール。そこでのパフォーマンスが評価されて、大事な舞台でのメンバー入りが決まった。

そして何よりも特筆したいのは、彼のチームに対する姿勢の部分。キャリアがある選手とは言えないが、今季から共同キャプテンに抜てきされたのも、首脳陣がその意識の高さを評価していたからこそである。

「共同キャプテンになったことで、心境の変化はあった。試合に出られない間も、ノンメンバーとしてチームに貢献できることをして、ほかの選手にもそれを要求してきた」

選手主導でチームを作り上げてきた今季のS愛知。その集大成を見せるにふさわしいD1/D2入替戦という舞台で、出場するにふさわしい男がパロマ瑞穂ラグビー場に立つ。

(齋藤弦)

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスA)

洗礼を浴びながらも成長を遂げた三重H。
初のD1で積み重ねてきたもの

「自分たちが重ねてきたプロセスに忠実にプレーすることが最も大切」。三重ホンダヒートのトム・バンクス選手

「非常にワクワクしています。私たちがディビジョン1のチームとして積み重ねてきたものを証明する機会になります」

三重ホンダヒート(以下、三重H)のトム・バンクスは、大一番に向けて静かに闘志を燃やす。

D1のレギュラーシーズンを11位で終えた三重Hは、D1残留を懸けて、D2で2位の豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)とパロマ瑞穂ラグビー場で対戦する。

今季初めてのD1を戦った三重Hは、開幕当初は大差での敗戦が続いた。それでも自分たちの可能性を信じ、キアラン・クローリー ヘッドコーチの下でハードワークをして、攻守におけるスタイルの構築を進めてきた。さらに、シーズン途中に復帰したトム・バンクスやパブロ・マテーラ、3月にデビューしたルーキーの北條拓郎らがチームに勢いを与え、終盤に向けて尻上がりに調子を上げてきた。

「ハムストリングのけがで出遅れたのは残念でしたが、自分が帰ってきたときには、どういうアタックをするのかなど、チームとしての方向性が確立されていたので、自分はそこに簡単に戻ることができました。特にここ数試合は、フォワードがしっかり前に出ようという意識で仕事をしてくれるので、バックスとしては非常にやりやすく、とてもいい方向に進んでいると手ごたえを感じています」(トム・バンクス)

第10節で花園近鉄ライナーズ戦に勝利して以降は、チーム全員が自信を深め、第14節は東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)に7対8、最終節はコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)に31対33と、敗れはしたが僅差の勝負を演じた。

よいプロセスを重ね、チーム力が上がっていることに疑いはない。しかし、ここからの2試合は残留に向けて結果が必要だ。惜しい、では足りない。

“マストウィンゲーム”に何が必要かと問うと、オーストラリア代表経験を持つトム・バンクスは「今までやってきたことから離れず、自分たちが重ねてきたプロセスに忠実にプレーすることが最も大切です」と強調する。

「S愛知はフレディー・バーンズがゲームをコントロールしていて、フォワードにも強力なキャリアーがいるという印象があります。BL東京や神戸Sに対してできていたディフェンスを継続し、チャンスで確実に得点するなど、自分たちのやるべきことにフォーカスして戦いたい」

D1の洗礼を浴びながら、それを乗り越え、強くなってきた。この戦いに今季のすべてをぶつける。

(山田智子)

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