2024.05.19NTTリーグワン2023-24 D1/D2入替戦 第1戦レポート(GR東葛 21-40 BR東京)

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1/D2入替戦 D1 10位 vs D2 3位 第1戦
2024年5月18日(土)14:30 柏の葉公園総合競技場 (千葉県)
NECグリーンロケッツ東葛 21-40 リコーブラックラムズ東京

「うまく転がった」楕円のボール。
流れを引き寄せた50:22と後半最初のトライ。

リコーブラックラムズ東京の髙橋敏也選手。武井キャプテンの先制トライにつながる50:22のキックなど、好プレーでチームをリードした

互いに譲らぬ一進一退の攻防が続いた試合序盤。徐々に流れをつかんだのはホストチームのNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)だった。スピーディーなパス回しで敵陣へと侵入し、前半13分にはラインアウトを成功させて、勢いを加速させた。しかし、ここで形勢をひっくり返すビッグプレーがリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)に生まれる。

武井日向がニック・フィップスへのタックルでボールを奪い取り、パスを受けた髙橋敏也が自陣からロングキックを放った。GR東葛陣内の深いエリアでバウンドしたボールは、コーナーフラッグの手前でタッチラインを越えた。この局面で飛び出した50:22。エリアを回復するだけでなく、5mラインでのマイボール・ラインアウトを獲得した、髙橋の最高のキックだった。

「最初は少しバタバタするのは分かっていましたが、そこで失点せずに自分たちのリズムを作れたのが大きかったです。最初からフォワードがフィジカル面で優位に立っていたので、できるだけ敵陣でプレーしたいと、9番、10番でずっと話をしていました。(50:22のキックは)そのスペースがあったので、うまくボールが転がってくれました」(髙橋)

敵陣まで攻め込んだBR東京が押し切るか。それともGR東葛が耐えて押し返すか。前半18分にゴールライン目前でのせめぎ合いを制したのは、武井が先制トライを決めたBR東京だった。GR東葛の田中史朗が「前半の始めは良かったけど、一つ取られてから足が重くなった」と振り返ったように、髙橋のキックから武井の先制トライに至るまでの一連の流れは、80分間の中でも試合の行方を大きく左右した勝負のポイントになった。

また、もう一つ勝負を分けたポイントを挙げるとすれば、後半3分のBR東京のトライだろう。「めっちゃ近かったので、誰が行ってもトライになったと思います」と決めた髙橋は謙遜気味に語るも、前半終了間際にGR東葛が7点を返し、その反撃ムードを断ち切るという意味でも貴重な追加点だった。

80分を終えての最終スコアは、40対21。第1戦で先勝したBR東京が、アドバンテージを握って第2戦のホストゲームを迎える。

「バックスとしてはキックのところで失点につながってしまったので、そこが課題。もう1回自分たちのラグビーを明確にして、やるべきことをやって次の試合に必ず勝つ。アドバンテージを考えずにしっかり準備をしてやっていきたいと思います」

数々の好プレーで勝利に貢献した髙橋は、第1戦先勝のアドバンテージにも浮かれる様子はなく、すでに1週間後の第2戦に向けて視線を切り替えていた。

(鈴木潤)

NECグリーンロケッツ東葛

NECグリーンロケッツ東葛のウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ(左)、レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

NECグリーンロケッツ東葛
ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチ

「今日の試合で言うと、スタートが良くなかったです。前半から26点を取られるような結果となってしまったので、来週のゲームではスタートから良くしなければいけないと感じました。あとは1対1のタックルをしっかりと決めることができずに、そこで崩されることが多かったです。スクラムも、もう少し真っ直ぐになって安定してからボールを投入しないと、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)に有利な状況でスクラムをされてしまったので、こちらが不利になった場面もありました。後半はスコアのチャンスがいくつかあり、パスさえとおっていれば得点できた場面で取り切れなかったことが惜しい部分でした。

今日の試合をもとに修正をかけながら、来週の試合に臨みたいと思います。モールでは良いディフェンスができていたと思うので、あとは1週間、直すところを直す。たとえば1対1のタックルがしっかりできるようになれば、来週のゲームはもっと良いものになると思います。勝つ可能性はあると思います」

──ディビジョン1のチームと戦い、想定とは違った部分はありましたか?

「今季、D2で戦った経験から言うと、浦安D-Rocksは、このBR東京戦に向けて良い対戦相手だったと思います。D1ではタイトファイブ(プロップ、フッカー、ロックの5人)によるスクラム、ラインアウトという基本的なところでの成功率を上げていかなければやっていけないというレベルだと思うので、そういうところにD1とD2の違いがあると思います。BR東京は自信をもち、すごく勢いを感じました。こちらとしては、何を必要として、何を改善しなければいけないかを考えて、もう1週間準備に専念する。あとは最後の笛が鳴る前のチャンスで、トライを取り切っていれば来週のゲームでも差が縮まっていたので、まったく違ったスタートを切れたと思います」

NECグリーンロケッツ東葛
レメキ ロマノ ラヴァ キャプテン

「ウェイン(・ピヴァック ヘッドコーチ)が全部言ってくれましたが、1対1のタックルとブレイクダウンを直す。チャンスはたくさん作れたけど、最後にチャンスで取り切れないとD1のチームには勝てない。来週はスキルにフォーカスして、取れなかったところを全部トライにつなげられるようにしたいと思います」

リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京のピーター・ヒューワット ヘッドコーチ(左)、松橋周平 共同バイスキャプテン

リコーブラックラムズ東京
ピーター・ヒューワット ヘッドコーチ

「みなさん、こんにちは。勝てたことはハッピーです。5ポイントを取れたこともハッピーです。前半の35分間は良くできたと思います。そこから自分たちができていたことから少し離れてしまい、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)にハーフタイム直前に得点をされ、自分たちの勢いが少し止まる流れになりました。後半は自分たちのやりたいことに対して少し一貫性を保ち切れなかったと思います。しかし何が自分たちを助けてくれたかというと、自分たちのDNAだと思います。隣にいる彼(松橋周平)は、ここ6週間すごく素晴らしいパフォーマンスを見せ続け、今日も早い時間帯にキャプテン(武井日向)を(負傷交代で)失ったあとは鼻を負傷しながらもチームをリードしてくれて、チームのDNAを見せ続けてくれました。まだ半分しか終わっていません。また来週にはゲームがあるので、そこはしっかりと認識しています」

リコーブラックラムズ東京
松橋周平 共同バイスキャプテン

「今日はありがとうございました。勝てたことだけが良かったと個人的には思っています。この2週間はベストの試合をしようとしていて、ある程度前半はできていましたけど、後半はGR東葛さんにスキを与えてしまい、彼らにイケると思わせた状態で試合を終わらせてしまった。これは個人的な意見ですけど、こういうゲームをするために入替戦に臨んでいるわけではないので、今季、一貫性のなさや(試合を)締め切れないところが、こういうゲームにつながっていると思います。来季、もっと上のレベルで戦いたいのなら、80分間一人ひとりがその瞬間、瞬間のことを理解して、実行力を上げて自分たちのラグビーをする必要があると思っています。来季のプレーを良いものにするために、次の1週間の準備でベストを目指してやっていきたいと思います」

──武井日向選手がトライした際に負傷して交代しました。その交代がチームに与えた影響を教えてください。

「日向は、『いつ何が起こるか分からない』と言っているので、みんなが準備していました。日向がいてもいなくても、自分たちのやることをやろうという感じでした。あまりプラスになるとかマイナスになるかは関係なかったです。もっと引き締めて、一つひとつのプレーをしっかりやろうという感じで、それができているときはスコアにつながったと思います」

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