2024.05.24NTTリーグワン2023-24 D1/D2入替戦 第2戦 三重H vs S愛知-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1/D2入替戦 D1 11位vsD2 2位 第2戦
2024年5月25日(土)12:00 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs 豊田自動織機シャトルズ愛知

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスA)

「チャレンジャーをはね返すメンタル」。
三重Hが蓄えてきたモノ

三重ホンダヒートの本村直樹選手。「シーズンが深まるにつれて、自分たちのラグビーに自信をもてるようになってきました」

三重ホンダヒート(以下、三重H)はパロマ瑞穂ラグビー場で行われた豊田自動織機シャトルズ愛知とのD1/D2入替戦第1戦に57対39で勝利、勝ち点5を獲得した。

「シーズンが深まるにつれて、自分たちのラグビーに自信をもてるようになってきました。競った時間帯もありましたが、それでも焦ることなく勝ち切れたのは、力がついてきた証拠だと思います」(本村直樹)

3年連続で入替戦を戦う三重Hだが、今季は挑む立場から守る立場となり、未知のプレッシャーがあった。その中、第1戦で存在感を発揮したのは、4トライを奪ったアルゼンチン代表のパブロ・マテーラを筆頭に、2試合連続トライを決めた本村と重一生など、シーズン終盤に復帰したベテラン選手だった。

「シーズン序盤の大変な時期に若手選手が経験を積んで、チームとしてのレベルが上がったところに、パブロ(・マテーラ)など経験のある選手が加わって勢いが増しています。さらに、試合前にキャプテンの古田凌が『逆の立場だったときの自分たちを思い出すと、相手は絶対に勝ちたいという思いで挑んでくる。そこに対して絶対に付き合わないで、自分たちのラグビーをし続けよう』とチームを一つにしてくれました」(本村)

個々で入念に準備をしてきたことも奏功した。重は「追う立場のほうがメンタリティーは作りやすい。でも、普段は2回観る試合の映像を3回、4回に増やすなど、できる限り細かく準備することで、チャレンジャーをはね返すメンタルを作っていきました」と語る。

過去2シーズンの入替戦を見ると、第1戦を制したチームが翌年のディビジョン1の切符を手にしている。三重Hはボーナスポイントも手にした有利な状況でホストゲームを迎えるが、「もちろん1試合目のアドバンテージはありますが、残留が決まったわけではないので、油断はできません。引き続き、いい準備をして臨みたい」(本村)と選手たちは気を引き締める。

「今季はまだ三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で勝てていないので、最後にホストエリアで応援してくれるファンの前で勝利して、みんなで一緒に喜びたい。個人としては、トライを狙うだけではなく、チームに勢いをもたらせるように走り回ります」と本村は自慢の俊足でチームを引っ張る覚悟だ。

今季より指揮を取るキアラン・クローリー ヘッドコーチは「4年で日本一になること」を目標に掲げている。その第一歩として、D1残留はもちろん、圧倒的な勝利で来季へつなげたい。

(山田智子)

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

この壁を全員の力で突き破ってこそ。
S愛知、史上初の“逆転D1昇格”なるか

勝ち負け以前に「『やるべきことをすべてやり切った』と思えることが大事」と語る豊田自動織機シャトルズ愛知のジェームズ・ガスケル共同キャプテン

D1/D2入替戦第1戦を39対57で落とした豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)。逆転昇格の条件は19点差以上をつけて勝利し、勝ち点5を取ることだ。

ラグビーにおいて、19点差というのは「決して逆転不可能な点差ではない」(徳野洋一ヘッドコーチ)。その言葉のとおり、今季のディビジョン2第2節では、強敵・NECグリーンロケッツ東葛を相手に3対22から19点差をひっくり返して勝利した前例がある。S愛知には、それを成し遂げられる実力が備わっている。

この日のためにチームを作り上げてきた。その過程で得た自信は逆境を目の前にしても揺らぐことはない。わずかな準備期間の中で急激に成長するのは難しい。だからこそ、今まで培ってきたものをベースにして、いつもどおりの戦い方で勝利を目指す。「難しい状況を乗り越えてこそ、実力を証明できる。D1を戦うにあたっても、来季につながるポジティブな壁」と徳野ヘッドコーチは表現している。

選手たちもその思いは同じだ。センターで先発予定のティアン・トーマスウィーラーは「越えられない壁ではないですし、毎試合勝ちにいくという姿勢は変わりませんから」とあくまで“いつもどおり”だと強調。今季は一層たくましさを増し、この大一番で抜てきされた24歳の小笠原寛人も「プレッシャーはあるけど、やるしかないので。自分ができることをしっかりやるだけです」と良い意味で肩の力が抜けている。

共同キャプテンであり、チームリーダーであるジェームズ・ガスケルは「勝ち負け以前に、自分たちが日曜日の朝に『やるべきことをすべてやり切った』と思えることが大事です」と話す。誰一人として後悔をしないように準備してきた。それが試合で発揮されれば、ジャパンラグビー リーグワン史上初の“逆転”でのD1昇格が見えてくる。

チャレンジャーとして、S愛知の実力を全国のラグビーファンに見せつける絶好の機会。この壁を全員の力で突き破ってこそ、D1に昇格するにふさわしい。さあいこう、俺たちはやれる。

(齋藤弦)

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