埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスA)

世界一となった206cmロックのデビュー戦。「やるべきことはシンプル」(ルード・デヤハー)

1月7日12時、埼玉パナソニックワイルドナイツと三菱重工相模原ダイナボアーズが熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で激突する。ともに開幕2連勝を果たした2位の埼玉パナソニックワイルドナイツと1位の三菱重工相模原ダイナボアーズの首位攻防戦だ。2023年の初試合は、リーグ序盤の勢力図に大きな影響を与えるビッグマッチとなる。

埼玉パナソニックワイルドナイツは開幕戦で東芝ブレイブルーパス東京に22対19で逆転勝利。前節・静岡ブルーレヴズ戦でも先制されながら竹山晃暉がエッジの効いたステップでトライを奪うと、試合終了間際に途中出場の小山大輝が一瞬のスキを突いてトライ、そのコンバージョンキックを山沢拓也が確実に決めて15対14と逆転に成功した。

2試合ともに接戦となったが、勝ち切る強さを見せて、昨季からの連勝を『18』へ伸ばした。試合後の会見で坂手淳史主将は「すごく大変で難しい試合だったが、勝って終われたことはすごく良かった。ただ、自分たちがやらなければいけないことはまだ多い」と引き締めた。

チームは12月30日に2022年の最終トレーニングを実施。年明けは1月2日に始動した。練習場で必勝祈願を行い、トレーニングを再開。両日の練習場には計1,000人のファンが訪れ、ピッチサイドで選手たちを見守った。コロナ禍でファンサービスが自粛となっている中でも、これだけのファンが訪れるのはチームが愛されている証だ。

三菱重工相模原ダイナボアーズ戦の重要性は、選手全員が理解している。今週も選手たちは激しいスタメン争いを展開。1月5日に発表されたメンバーでは、山沢拓也が今季初先発となったほか、2019年のラグビーワールドカップを制した南アフリカ代表で206cmの超大型ロック、ルード・デヤハーが加入後初出場となる。

今季からチームに加わったルード・デヤハーは12月2日に来日、試合出場に向けて調整を続けてきた。時差ボケなどでコンディション調整が難しい面もあったというが、日本食など日本の文化にも適応。米中心の食事に変化したものの、その米が大好きなようで「お米をたくさん食べているので頰が丸くなった」と笑顔を見せている。

過去2試合はスタンド、テレビ観戦となったが、2戦連続逆転勝利のゲームを見て自らのプレーをイメージ。ジャパンラグビー リーグワンデビューを心待ちにしている。「難しいゲームでもしっかりと勝利を得ることができるのが2年連続のチャンピオンの強さだと感じた。三菱重工相模原ダイナボアーズ戦は自分にとってのデビュー戦になるが、やるべきことはシンプル。チームでの役割を果たしてハードワークするだけ」。その表情には、揺るぎない自信がみなぎっている。

三菱重工相模原ダイナボアーズの勢いを止めるべく攻守の戦術を練り上げる埼玉パナソニックワイルドナイツ。ロビー・ディーンズ 監督は「相手は昇格から開幕2連勝して自信をもっている。ゲーム自体は、セットピースがカギになるだろう。(上位対決?)まだ序盤だが、1試合1試合の結果が最後につながっていく。自分たちはすべての試合で成長していくだけ」と語る。上位同士が火花を散らす大一番は、控え選手を含めた総力戦だ。

(伊藤寿学)

埼玉パナソニックワイルドナイツのルード・デヤハー選手

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

注目の首位攻防戦へ。「秘策をいくつか用意している」

開幕2連勝の昇格チームと昨季の覇者の対戦。三菱重工相模原ダイナボアーズと埼玉パナソニックワイルドナイツが対する、シーズン序盤の注目カードになった。

昨季実質無敗の覇者はワールドクラスの選手をそろえ、「ラスボス」と呼ばれる堀江翔太がベンチに控える。ここまで僅差で逆転の2連勝、土壇場で試合をひっくり返すことができる“負けないチーム”は健在だ。

一方、三菱重工相模原ダイナボアーズは、よく組織化された守備からの攻撃に加えて、個々の選手の献身的なプレーで予想を上回る結果を引き寄せた。岩村昂太キャプテンは、「1試合1試合にフォーカスすれば結果が付いてくると信じていた。実際に体現できてチームメートやスタッフを誇りに思うし、成長できた。ただ、まだ2勝しただけ」と冷静に振り返る。

グレン・ディレイニー ヘッドコーチは今節が厳しい戦いになることを想定しつつも、「アグレッシブに戦って、相手が時間をもってプレーできないようにプレッシャーを掛ける」と、これまでの戦い方を徹底しながらも「秘策をいくつか用意している」と明かす。

三菱重工相模原ダイナボアーズの先発メンバーには、昨年3月12日以来の公式戦出場となるベン・ポルトリッジが名を連ねた。「タフな」リハビリ期間を乗り切り、「フィールドでプレーする準備は整った」と胸を張る。

「みんなでシステムどおりにプレーして、自分に時間とスペースができたとき、ボールをもらえたら思い切りトライを狙っていく」と話す快速ウイングが、相手の強力なディフェンスを切り裂くことになれば勝利に大きく近づくだろう。「マリカ・コロインベテというワールドクラスの選手と戦うことも大きなチャレンジ。すべてを出し切る」(ベン・ポルトリッジ)。

リコーブラックラムズ東京とトヨタヴェルブリッツとの戦いで、「ある程度戦えることを証明できた」(グレン・ディレイニー ヘッドコーチ)という手ごたえを勝利で確信につなげられるか。挑戦は始まったばかりだ。

(宮本隆介)

三菱重工相模原ダイナボアーズのベン・ポルトリッジ選手


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