三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

王者との試合で突き付けられたモノ。
修正力を発揮し、ラグビーでボーダーをなくす

昨季の覇者に大敗を喫した学びを生かすことができるか。今節、三菱重工相模原ダイナボアーズの「修正力」が試される。

前節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦で、三菱重工相模原ダイナボアーズはラインアウトとスクラムでプレッシャーを掛けられて、開幕2連勝の勢いを削がれた。「『ディビジョン1はそんなもんじゃないぞ』と意識付けをされた」と安江祥光は振り返る。

しかし、「(埼玉パナソニックワイルドナイツは)最後までスキがない、プレーオフでやるような戦い方をしてきた。『全力を尽くしてくれたな』という感じだった」と安江。試合をとおして学んだことは大きい。後半からラインアウトのスロワーを務めた安江は「80分間、すべて予想どおりにはならないのがラグビー。相手も研究してくるし、裏をかいてくる。負けはしたが、『アクションプラン』というシンプルな言葉一つで、試合途中からラインアウトを修正できたことは学び」と振り返る。

バイスキャプテンの鶴谷昌隆も「個々の能力が高いチャンピオンチームは、今までの試合と違う仕上がりだった。あれだけの点差で負けたことは、これから試合を追うごとに成長するための必要な要素」と前向きだ。チームは、敗戦から2日間は落ち込んでいたというが、「切り替えて次を見ている。雰囲気は問題ない」という。

今節に向けて、セットプレーの安定と強みのディフェンスで40失点した課題の修正に取り組んできた。安江は「東芝ブレイブルーパス東京は若い選手が躍動するチーム。勢いに乗ると強いが、若さは経験値の少なさを伴う。ゲームの早い段階から相手の歯車を少しずつ狂わせることができれば、勝機が見えてくる。負けを生かして、みなさんにいいゲームを見せたい」と意気込む。

このホストゲームは三菱地所協賛の「丸の内15丁目マッチ ~“楕円のご縁”でもりあがろう!~」。~NO BORDERS AS ONE~をテーマに、ラグビーを通じて社会に存在するさまざまなボーダー(境界線)をなくすことを目指す。試合演出やイベントなどを通して、「初めてラグビーを観戦する人」、「両チームを応援するファン」、「ラグビーを愛する人」が一体となって楽しめる一日を作るという。秩父宮の雰囲気をぜひ味わってほしい。

(宮本隆介)

前節の敗戦からの修正を誓う三菱重工相模原ダイナボアーズの選手たち(中央が安江祥光選手)


東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

目指す先はさらに上。最後の砦・松永拓朗を成長させる二つのキーワード

東芝ブレイブルーパス東京は1月14日、秩父宮ラグビー場で三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦する。ここまで2勝1敗の両チームにとって、上位進出のために重要な一戦となる。

トッド・ブラックアダー ヘッドコーチは「先週よりも良いパフォーマンスをしたい。次のレベルに進めるようにステップアップしていきたいです」と意気込み、「三菱重工相模原ダイナボアーズはキックを使ってテリトリー(地域)を優位に進めて、モールなどで攻めてくるので、そのバトルが重要になると思います」と試合のポイントを分析した。

三菱重工相模原ダイナボアーズはスクラムハーフの岩村昂太と、スタンドオフのジェームス・シルコックが多彩なキックを蹴り分けてチームを前に進めるのが特徴。東芝ブレイブルーパス東京のフルバックで先発する松永拓朗は、「まずは自分の仕事であるボールキャッチをしっかりしたいと考えています。ハイボールの対応についてはよく練習しているので、試合で結果として出せれば良いと思います」と落ち着いた表情で語った。

これまでの3試合で、対戦相手がハイパントを蹴ってきた際には、リーチ マイケルや徳永祥尭が松永らをサポートし、ショートパスで相手に的を絞らせないプレーも効果的だった。

「マイケルさんや徳永さんは気を利かせて、自分の判断でプレーしてくれているのですごく助かっています」

リーチは「なるべく早くキャッチする選手に寄って、パスをもらって僕らが前に出られればと思っています。(松永らバックス陣は)スキルもキック力もあるし、信頼しています」と頼もしそうにうなずいた。

4試合連続先発出場となる松永は、安定感のあるプレーにとどまらず、さらに上を目指している。

「個人的にはもっとアグレッシブにプレーしないといけないと感じています。スタンドオフではないですけど、“スタンドオフの目線”でもプレーしていかないと自分の成長につながらないですし、ゲームの理解度やコントロール、それにプラスして“フルバックでのアグレッシブさ”を持つことで、自分をもっと成長させていきたいです」

「フルバックでのアグレッシブさ」と「スタンドオフの目線」。これが成長のキーワードとなる。

身長172cmという数字以上に、グラウンドでは大きく見える松永。「猛勇狼士」の最後の砦を守る男は、静かに闘志を燃やしている。

(安実剛士)

4試合連続先発出場となるフルバックの松永拓朗選手

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