横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)

大胆なメンバー変更も、「すべて勝つ」ため。
南橋直哉「チャンスで結果を残せる準備をしている」

前節の近鉄花園ライナーズ戦に勝利し、横浜キヤノンイーグルスは連敗を回避した。今節は3試合ぶりのホストゲーム。開幕戦以来となるニッパツ三ツ沢球技場での試合は、1月21日(土)正午のキックオフだ。

今節のNECグリーンロケッツ東葛戦に向けて、チームを率いる沢木敬介監督は大胆な選手起用に踏み切った。センターの梶村祐介やスクラムハーフのファフ・デフラークら多数の主力が先発を回避。特に新キャプテンの梶村がベンチスタートに回ることは、一つの驚きだろう。

しかし、今季のチーム作りの方針を踏まえれば、大胆な選手起用も合点がいく。昨季の終盤戦に失速したことを鑑み、沢木監督はプレシーズンから選手起用の幅を広げながらチームを構築してきた。今節に向けたメンバー変更も、そうしたアプローチの延長線上に過ぎない。

例えば、前節の近鉄花園ライナーズ戦はリーグワン初先発となったシオエリ・ヴァカラヒが2トライの大活躍。チャンスをつかんだ選手たちが結果を残すことでチーム内には良い相乗効果が生まれつつある。梶村に代わって12番を背負い、今季初めてピッチに立つ南橋直哉は「練習で自信をつけながら、訪れるチャンスで結果を残せる準備をしている」と語気を強めた。自身のストロングポイントである低いタックルでNECグリーンロケッツ東葛のアタックの芽を摘み取り、チームのチャンスにつなげていく。南橋本人は「相手には強くて大きなランナーがいるけど、しっかりと突き刺さるタックルをしていきたい」と話した。

また今節は、今季初の連勝が懸かった試合。横浜キヤノンイーグルスが目標に掲げるトップ4入りに向けて、さらなる上昇気流に乗るためにも、南橋はチームの総意をこう代弁した。

「(第3節の)東京サントリーサンゴリアス戦の敗戦があってから、一度も負けずに全部勝つというメンタルでやっている。これから勝ち続けるためにも、まずは2連勝を飾りたい」

大胆なメンバー変更が吉と出るか、それとも──。チームの総合力が試される局面だ。

(郡司聡)

12番でメンバー入り、南橋直哉選手。「しっかりと突き刺さるタックルをしていきたい」


NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)

必ず、この状況からはい上がる。
ニック・フィップスが意識するポジティブな声掛け

前節、NECグリーンロケッツ東葛は、リーグ最多得点を誇るクボタスピアーズ船橋・東京ベイの破壊力に屈した。さらに3連敗と苦しい状況ではあるが、浮かび上がった課題を修正し、気持ちを切り替えて今週の横浜キヤノンイーグルス戦に臨む。

キャプテンのレメキ ロマノ ラヴァが「60分まではいい勝負ができたが、ウチのチームとトップ4のチームの差が最後の20分で出た」と語るとおり、60分まではクボタスピアーズ船橋・東京ベイに食らいつくことはできていた。また、60分まで良い勝負ができたという点では、第2節の東京サントリーサンゴリアス戦も酷似した試合展開であり、第3節のコベルコ神戸スティーラーズ戦では逆に試合の入りが悪く、後半に追い上げたものの、序盤の失点が響いて逆転には至らなかった。3連敗の間も、80分間を振り返ればすべてが戦えていないわけではなかった。

ニック・フィップスは、この3試合で見えた課題に“チームの一貫性”を指摘し、修正すべきポイントを挙げた。

「試合の中では良いときもあれば悪いときもあるから、悪いときにどのようにして上げていくか。逆転可能な点差のときに、焦って無理矢理パスをつなごうとして、そこでミスを犯してしまう。やっていないことを無理にやろうとするのではなく、システムに則った攻め方をすることが大切です。システムにさえ則って戦えば、良いモーメントはできるのでそれを信じてやること」

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦後、ハドルを組んだ際に、レメキは「もっと自分自身に自信をもって、どんな試合でもわれわれはチャレンジャーなので、少しでも前に行けばいつか勝利に近づける。あきらめずに準備をすれば、いつかまた試合に勝てる」とチームに伝えたという。結果の出ない時期というのは、得てして自信を失いがちになる。横浜キヤノンイーグルス戦へ向けて、ニック・フィップスが重要視するのはまさに自信の部分である。

「今週もディフェンスの練習をやってきました。そういうところで自信をもってプレーすること。相手には何人か脅威をもった選手がいるので、その選手を抑え、相手の弱点を突いてアタックしていきたい。自分たちを信じて戦えば、必ず良い機会は訪れます」

試合中、ニック・フィップスは手を叩き、「まだいけるぞ!」と声を張り上げ、常に味方を鼓舞している。ワラビーズ(オーストラリア代表)として72キャップ。数々の修羅場をくぐり抜けてきたこの勇将は「落ち込むのは簡単なので、ポジティブな言葉をかけて、チームを良い方向へ持っていく」と、いかなるときでも勝利を目指して戦う。

NECグリーンロケッツ東葛も、必ずこの状況から這い上がる。

(鈴木潤)

スクラムハーフのニック・フィップス選手。「システムにさえ則って戦えば、良いモーメントはできる」

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