東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

共同キャプテン・小川高廣の決意。「自分のプレーで流れを作りたい」

東芝ブレイブルーパス東京は1月22日、秩父宮ラグビー場でトヨタヴェルブリッツと対戦する。

前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では、ペナルティなどでリズムを失って逆転負けを喫した東芝ブレイブルーパス東京。小川高廣 共同キャプテンは「試合の次の日は家から一歩も出たくないほど落ち込みました」と振り返り、「いまはトヨタヴェルブリッツ戦だけに集中しています。前の試合はミスやハンドリングエラーが多かったので、自分たちがコントロールできることをしっかりやろうと話しています」と語った。

18日の練習後には共同キャプテンの小川、德永祥尭と、トッド・ブラックアダー ヘッドコーチが芝生の上に座り込み、“青空会談”をする姿も。

「昨日、トディ(トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ)に話しに行って、試合中のレフリーとのコミュニケーションの取り方などを質問したのですが、その部分について自分と德永に話してくれました」

小川はセンス、度胸が光るプレーが魅力で、昨季はリーグのベスト15に選出された。

クラブOBで元日本代表の藤井淳さんは「いわゆる“プロ向き”な性格をしています。切り替えが早く、引きずらないですし、センスがあるのでどのスポーツを選んでも成功したんじゃないかと感じさせます」と高く評価している。

そのコメントに対して小川は「淳さんが褒めてくれるなんて珍しいですね。うれしいです」と笑顔を見せたが、「自分としては不器用だと思っていて、いろいろなことを同時にできないというか、一個一個クリアしていかないとダメなタイプなので、今は先を考えずに試合がある一週間を大事に過ごそうとしています」と表情を引き締めた。

トヨタヴェルブリッツは南アフリカ代表のピーターステフ・デュトイら強力フォワードを擁していて、激しい肉弾戦が予想される。

「いまはどのチームが相手でもブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)が激しくなりますが、そこで戦えなければ勝てないので。マインドセットとしてはフィジカルバトルで絶対に勝とう、という点を意識しています」

そして、自身の貢献についても力強く語った。

「チームがまだ乗り切れていないことに責任を感じています。個人のスキルもそうですし、みんなのマインドセットをまとめる部分も足りていない。自分のプレーでチームが乗れるような流れを作りたいと思っています」

東芝ブレイブルーパス東京のリーダーとしてのプライドを胸に、小川がトヨタヴェルブリッツとの一戦に臨む。

(安実剛士)

NTTジャパンラグビー リーグワン2022ではスクラムハーフとして「ベストフィフティーン」に選出された小川高廣 共同キャプテン


トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスA)

初めてキャプテンとして臨む今節。ピーターステフ・デュトイが担う重責

現在3連敗中と苦しい戦いが続いているトヨタヴェルブリッツだが、チームの雰囲気は悪くない。ベン・へリング ヘッドコーチは火曜日に行われたミーティングで、さまざまなデータを提示しながら、自分たちの進んでいる方向性が間違っていないことを選手とともに確認した。

欲しいのは勝利に転じさせるためのわずかなきっかけ。それをつかみたい東芝ブレイブルーパス東京戦である。

この試合で注目したい選手は、ピーターステフ・デュトイだ。南アフリカの出身で、日本で行われた2019年のラグビーワールドカップ優勝メンバーの中心選手であり、同年のワールドラグビー年間最優秀選手にも輝いた、世界最高のフランカーの一人である。

今季、ピーターステフ・デュトイは開幕からの4試合すべてに先発し、その屈強なフィジカルと鋭いタックル、攻撃面でも熱いスピリットを見せてきた。そして、今節は21年にトヨタヴェルブリッツに加入してから、初めてゲームキャプテンとして試合に臨む。

ラグビーという競技にとって、キャプテンという役割は極めて重要だ。仕事は多岐に渡るが、野球やサッカーなどのように監督が近くで指示を出せないラグビーでは、ピッチ上での判断はキャプテンがしなければならない。それだけでもピーターステフ・デュトイがどれだけチームに馴染み、信頼を得ているのかが分かる。

「キャプテンを務めるということをすごく誇りに思っています。まずは得点が取れるように、フルスピードで実行力を高めて、エンジョイしながらラグビーをやりたいですね。これまでキャプテンをやった経験はそれほど多くはないけど、僕は自分の人生のほぼすべての時間でラグビーをやっているので、幸いなことに試合の流れを読むことができます。だから自分たちに勢いがあるときに、それが3点でも5点でも7点でもしっかりと得点につながるように、キャプテンとして賢くやっていきたいと思います」(ピーターステフ・デュトイ)

そう意気込みを語ると、世界最高峰の選手が感じるラグビーの楽しさを教えてくれた。

「個人的なことですけど、タックルをいっぱいしたあとには、『自分、頑張ったんだな』と翌朝の体の痛みで感じたりします。そのフィジカルバトルが楽しいんですよね。そして、プランどおりに事が運んで、コーチも仲間も笑顔でいるとき。それを見る瞬間が一番うれしいかもしれないですね」

日曜日、ピーターステフ・デュトイと仲間たちが最高の笑顔になれることを祈っている。

(斎藤孝一)

ゲームキャプテンとして出場するピーターステフ・デュトイ選手。「キャプテンを務めるということをすごく誇りに思っています」


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