トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスA)
こだわりは「スクラム」。チームを支える三浦昌悟が見据えるもの
バイウィークでリフレッシュした選手たちだが、ここからは試練の後半戦が始まる。勝ち切れない試合が続き、2勝5敗の9位と苦しい戦いが続くトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)は、ホストとして11位のNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)を迎え撃つ。
トヨタVが苦しんでいる要因の一つに負傷者の多さがあった。チームの顔とも言える姫野和樹やフェツアニ・ラウタイミなど、主力選手が次々と離脱。激しいコンタクトの多いフォワード陣も万全な体制を敷くことができていなかった。
そんな中、開幕戦から全試合に出場し、チームを支え続けているのが、今回注目したいプロップの三浦昌悟である。
「チームはちょっと結果が出ていない厳しい状況ですけど、フォワードとしてはセットプレーのパーセンテージも良い数字を出していますし、ラインアウトも徐々に安定してきているので、チームとしてはいい感じで成長できていると思います」(三浦)
父や二人の兄も選手で、自然とラグビーを始めていたという三浦。小学校の部活にもラグビー部があり、楕円のボールは身近な存在だった。チームスポーツとして仲間がどんどん増えていくことがその魅力だと言う。
その三浦のこだわりは、プロップということもありラグビー独特のルールの「スクラム」にある。
「スクラムが一番やりがいを感じています。体の向きが少し変わるだけでも強さが変わるし、試合の流れを変えることもできる。その面白さと奥深さにハマっていて、最前線が弱いと、どんなにチームが強くても勝利にはつながらない。プロップとしてそこを支えているという責任があるので、頑張ることができています」(三浦)
トヨタラグビーはフォワードの強さが伝統。その歴史の一員として、目の前の相手に負けるわけにはいかない。負傷者もだんだんと戻ってきた中で、このGR東葛戦から反転攻勢をしかけていきたい。
「GR東葛戦はやっぱりどれだけ自分たちにフォーカスできるかだと思います。何をしなければいけないのか一人ひとりが考えて、ミスがあっても次に何をしないといけないのかとすぐに立ち返り、クオリティー高くプレーすることが大事。今週は若い延山(敏和)も入ってくるので、僕と木津(悠輔)で支えていきたいです」(三浦)
今年の秋に行われるラグビーワールドカップも視野に入れている「1」番、三浦昌悟。チームを支え、勝たせるプレーで夢を現実に引き寄せる。
(斎藤孝一)
NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)
負の連鎖を断ち切るカギはチャンスを得点につなげられるか
1週間のバイウィークが明け、ここから再び激しい戦いが始まる。NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)は各選手がバイウィークを心身のリフレッシュにあて、チームとしてもここまでの課題を見つめ直し、改善に努めてきた。2月18日、パロマ瑞穂ラグビー場で行われるトヨタヴェルブリッツ戦(以下、トヨタV)では、その成果が試される。
今節のトヨタV戦では、誰よりも声を張り上げ、チームを鼓舞できる久保優が第2節の東京サントリーサンゴリアス戦以来のスタメン出場を果たす。これまではリザーブ、あるいはメンバー外という立ち位置だったからこそ、久保には感じたものがある。
「みんながチャンスの時に『行こう』という気持ちが強すぎて焦っていると思います。攻めているからこそ、アタックのポジショニングを早く確定させる。どうやって確定させるかといったらしゃべるしかない。バックスの選手がキャリーして、ゲインしたからこそ、その次のアタックのために誰がどこに入る、僕がここに入るというのを早く伝えて、すぐに形を作るというのを意識したいです」
無得点に終わった直近2試合もチャンスがなかったわけではない。GR東葛の今季ラインアウト成功率は、前節まででNTTジャパンラグビー リーグワン3位の89%と非常に高い数字を残しており、直近2試合でも5mライン付近のラインアウトから多くのチャンスを作り出していた。
「5m、10mのラインアウトからモールにしてトライできる力はあると思いますが、そこで取れるのと取れないのとでは試合の進め方が違ってきます。ミスやペナルティを犯し、相手ボールになってまた自陣に戻されているので、ミスなく練習してきたモールを発揮できればトライできると思う。フォワードはセットプレーで優位に立ち、相手陣地で自分たちの形に持っていけるようにする」
今季初スタメンでの出場機会が巡ってきた上田聖は、トヨタV戦でのポイントをそう口にした。
これまでの試合でも強みであるラインアウトからチャンスは作り出せている。チャンスだからこそ冷静に、かつ集中力を研ぎ澄ませ、ミスやペナルティを犯すことなく得点を奪い切れるか。そして、チャンスで得点を奪い切れればチームには勢いが生まれ、試合の流れは変わる。それがGR東葛にとって負の連鎖を断ち切り、開幕戦以来の勝利を手繰り寄せるカギとなる。
(鈴木潤)