東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

冷静と情熱のハイブリッド。初スタメンの男が3連敗中のチームを救う

東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は3月4日12時から、秩父宮ラグビー場でコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)と対戦する。前節までに痛恨の3連敗を喫したBL東京だが、春の陽気となった2月28日のグラウンドには元気な声が響き渡り、密度の高い練習が行われた。

神戸S戦が自身にとってNTTジャパンラグビー リーグワン初スタメンとなる眞野泰地は、清々しい表情で言葉に力を込めた。

「苦しい状況ではあるのですが、逆にやり切るだけなので。チームとして切り替えて、『あとは全部勝つだけ』というシンプルなところに向かっています」

眞野は東海大仰星高校ではフランカーとしてチームを全国優勝に導き、東海大学ではスタンドオフ、センターとしてチームを引っ張った。身長は172cmと小柄だが、U20日本代表やジュニア・ジャパンでは外国勢をタックルで押し戻すなど接点の鋭さが光る。

神戸S戦に12番で先発する眞野は、複数のポジションを経験したことがプラスになっていると語り、その違いについても説明した。

「フォワードとバックスは同じラグビーでも全然違うポジションです。フォワードは熱く体を張り続けて、バックスはどれだけ冷静に周りを見られるかが重要なので、ポジションによって自分のメンタルの部分をコントロールしてやっています」

チームにとって正念場の一戦に向けても迷いはない。

「とにかく目の前のことを全力でやって、チームに勢いを与えたいです。(ファンに見てもらいたいのは)愚直にやるところです。ハードワークするところにBL東京のカルチャーがありますし、何度も立ち上がる姿勢を見せられたらと思います」

派手なプレーはなくとも、意志の強さがそのまま表れるようなプレーで周囲を惹き付ける眞野。チームの苦戦が続いていても、「自分たちはできると信じている」と断言した。フォワードの熱さとバックスの冷静さを胸に、一人の選手として神戸S戦で全力を出し切る。

(安実剛士)

初スタメン12番で出場予定、東芝ブレイブルーパス東京の眞野泰地選手


コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスB)

レジェンドは「18個上の同期」。世界ナンバーワンからの学びをぶつける

現在6位につけるコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は今節、秩父宮ラグビー場に乗り込んで勝ち点2差の5位・東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)と対戦する。プレーオフ進出圏内のトップ4追走へ、絶対に負けられない一戦だ。

「子供のころからの憧れであり、レジェンド。同じ高校に行って、そのあと、一緒のチームでプレーできたのは本当に貴重な経験だったと思います」

今節が神戸S加入後、初先発となるスタンドオフ日下太平。彼がレジェンドと語ったのは、18年に神戸Sがトップリーグ制覇を遂げた際、多大な貢献を果たした世界的スタンドオフ、ダン・カーターさん(現アドバイザー)のこと。日下は中学卒業後、ダン・カーターさんの母校であるニュージーランドのクライストチャーチボーイズ高校に入学し、18年にはともに神戸Sに加入。「18個上の同期」と笑顔を見せた日下は、そのレジェンドから多くのことを学んできた。

「(ダン・カーターさんは)練習の量がすごい。スキルがすごく高いので、それは練習から来ているんだなというのを間近で見て、感じていました。最後までずっとキックの練習をしていましたし、そういうところが世界ナンバーワンたるゆえん。そういうことをやっているからスキルが高いんだなと痛感したので、自分も見習ってずっと練習をしています」

トレーニングが公開された2日、フィールドには遅くまでキック練習を行い、自らのスキルアップと向き合う23歳の姿があった。練習試合から日下が好プレーを見せていたというニコラス・ホルテン ヘッドコーチは、「コーチ部屋の全員が今回、『(日下)太平がチャンスを得るべきだ』と話していた」と自信をもってフィールドに送り出す。

英語が堪能で外国籍選手とのコミュニケーションも円滑にこなし、前田翔や濱野隼大ら若手とチームを盛り上げることに使命感を抱く今節の背番号10。生き残りを懸けた5位との重要な試合を前に「テンションが上がっています」と精悍な表情で意気込み、「自分たちの神戸ラグビー、アタッキングラグビーでどれだけ勝負できるかがカギだと思っています」と強敵撃破に照準を合わせた。

(小野慶太)

ニュージーランドでは元オールブラックスのレジェンドと同じハイスクールで学んだ、コベルコ神戸スティーラーズの日下太平選手


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