東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスB)

観客を沸かせるタックラー、バースデーゲームでの誓い

4チームで争うプレーオフトーナメント進出を懸け、あと5節となったNTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1。すべてのチームとひととおりの対戦を終え、残すは同カンファレンスとの2巡目の戦い。だからこそ、ここからはチームの成熟度がより試されていく。

そんな中、現在2連敗中。4位に順位を落とした東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)にとって、3月17日の花園近鉄ライナーズ戦は立て直しを図る意味でも重要な一戦となる。舞台は秩父宮ラグビー場、チームにとっては今季初の金曜ナイターゲームだ。

「連敗したと言っても、ハングリーさを出せなかった前々節と違い、前節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦では『これが自分たちのアグレッシブなラグビーだ』というスタイルは出せました。同じ負けでも内容は違う。その手ごたえを持って次は勝利をつかみたいです」

こう語るのは、2022年に加入した若きフランカー、山本凱。東京SGの田中澄憲監督も「まだまだ荒削りの部分もありますが、天井が見えない楽しみがある」とその伸びシロを高く評価する成長株だ。

その代名詞と言えば、成功数でリーグ3位につける「タックル」。昨季もデビュー直後ながら選手が選ぶ最優秀タックラー「ゴールデンショルダー」に選出。敗れた前節でも、山本のタックルで何度も相手のアタックが止まり、その都度ファンの歓声が巻き起こっていた。そんなゴールデンショルダーが考える、タックルの極意とは?

「スキル面で言えば、しっかり踏み込むこと、しっかり肩を当てて相手とバインド(密着)すること、いろいろあります。あとはやっぱりディフェンスに対する気持ち。『相手をゲインラインから絶対に前に出させないぞ』という気概を持ってタックルするようにしています」

タックルへの恐怖心はないのか? と尋ねてみても、「タックルに向かうまでの準備が正しくできていたら恐怖心が湧くことはないですね」と泰然自若だ。

実は第12節が行われる3月17日は、山本凱の23歳の誕生日。記念日を自ら祝うためにも目指すプレーは?

「誕生日に試合をするのは初めて。そして、今季初のナイター開催。新鮮な気持ちで連敗も振り払い、アグレッシブなアタッキングマインドで80分間戦い続けたいです」

(オグマナオト)

田中監督も「まだまだ荒削りの部分もありますが、天井が見えない楽しみがある」と高く評価する、東京サントリーサンゴリアスの山本凱選手(中央のボールキャリア)


近鉄花園ライナーズ(D1 カンファレンスB)

花園Lはタックルを意識したメンバー構成に。
「相手が誰でも気負いはない」

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン1の交流戦も全日程を終え、花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)は第12節、ビジターゲームで東京サントリーサンゴリアス戦(以下、東京SG)に挑む。

ディビジョン1で唯一全敗中。苦しい戦いが続く花園Lだが、目先の勝利はもちろんのこと、視界に入りつつある入れ替え戦までを見据えた戦いがすでに始まっている。

第5節のホストゲームでは東京SGに10対51で完敗。水間良武ヘッドコーチが今節、意識するのは「(東京SGは)アタックのチームで、どんどんアタックしてくる。ゲインラインバトルのところで勝てるようにしたい」という戦いだ。メンバー構成も、タックルを重視したフレッシュな顔ぶれが並んだ。

今季、初めて先発に抜擢されたのが直近の2試合で途中出場しているスクラムハーフの中村友哉だ。対面する東京SGの齋藤直人は日本代表でもあるが、162cmと小柄な中村に一切の気後れはない。

「僕が日頃、(ゲーム形式で)普段相手にしているのがウィル・ゲニアなので。もちろん相手のハーフ全員をリスペクトしていますけど、相手が誰でも気負いはないです」(中村)

オーストラリア代表で110キャップを誇るウィル・ゲニアから「スキルや考え方も、2年間一緒にやってきてたくさん学んできた」と中村は自信を口にする。

「ディフェンスのところでも体を張りたい」とチームの課題でもあるタックルについても中村は意識していた。

そんな中村と3月15日の練習後、居残りで汗を流したのが花園L加入後、初キャップとなるヴィンセント・セフォ。ウイングで起用されるセフォは、19歳の若者らしく、難敵相手のデビュー戦に率直な思いを口にする。

「モチベーションもありますけど、若干緊張感のほうがありますね」(ヴィンセント・セフォ)

水間ヘッドコーチからは「ランハード」「タックルハード」を期待されているヴィンセント・セフォだが、強靭なフィジカルを生かした局地戦は攻守両面でチームの武器になる。

「チームの負けは続いていますけど、自分がインパクトを与えることでこのあとの流れが変わっていけばいい」と話したあと、ヴィンセント・セフォは鉄道会社を母体とするチームならではの意気込みを口にした。

「近鉄という電車を走り続けさせたい」

若い力の躍動に期待が懸かる。

(下薗昌記)

同じスクラムハーフのウィル・ゲニア選手から「スキルや考え方も、2年間一緒にやってきてたくさん学んできた」という花園近鉄ライナーズの中村友哉選手


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