コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスB)

かつて主将を務めたチームとの対峙へ。
「勝ちはマスト」と語る理由とは?

コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)の今季ホストゲームは残り3試合。3月26日の第13節、4月23日の最終節は東大阪市花園ラグビー場での開催となるため、神戸のスタジアムを舞台としたホストゲームは19日14時30分から神戸総合運動公園ユニバー記念競技場でキックオフされる今節が最後となる。

先発する中嶋大希はファンへの強い思いを口にした。

「神戸総合運動公園ユニバー記念競技場(での試合)は今季ラストなので、勝ちはマストだと思っています。そして、ファンが納得してくれる試合ができればいいですし、喜んでもらえるような試合がしたいと思っています」

開幕戦から先発出場を続けていた今節の背番号9だが最近は出場機会が減少。メンバー入りは3試合ぶり、先発出場は第6節・トヨタヴェルブリッツ戦以来、6試合ぶりのこと。ただ、順風満帆なシーズンとは言えない中でも絶えずトレーニングから自身と向き合ってきた。

「チーム状態が開幕からうまく上がっていかない中で、どうやって自分がリーダーシップを出していくのか、9番というポジションなのでチームを引っ張っていかないといけないと、今季ここまで考えていました。そこは自分自身の課題であり、ここ2試合、メンバーを外れていたのもありますし、そこでチームを引っ張っていきたいと思っています」

神戸Sはリーグ戦3連敗中だが、中嶋は抱える課題を全体で共有しながら良いトレーニングが積めているという。「前半のチャンスを取り切れないことが後半に響いているという、やっている側の印象があります。前半から敵陣に入ったときのチャンスをモノにすることが大切です」と現状を捉え、「アタックで、得点力のところで厚みを出してほしいと言われているので、そこの期待に応えられればと思います」と自らのミッションに集中している。

かつて在籍し、主将も務めた古巣・NECグリーンロケッツ東葛の9番はオーストラリア代表で72キャップを誇るニック・フィップス。「経験豊富」と警戒心を強めつつ「相手のゲームコントロールにうまく対応して、こっちがコントロールできるようにやっていきたいです」と試合をにらんだ中嶋。逆境に立ち向かう神戸Sを自らが育むリーダーシップで引っ張っていくことになる。

(小野慶太)

コベルコ神戸スティーラーズの中嶋大希選手。「どうやって自分がリーダーシップを出していくのか、9番というポジションなのでチームを引っ張っていかないといけないと、今季ここまで考えていました」


NECグリーンロケッツ東葛(D1 カンファレンスB)

若手の台頭、そして次は──。
先発を取り返した中堅とベテランの決意

前節で交流戦が終わり、今週からは同じカンファレンスに属するチームとの後半戦が始まる。ラストスパートへ向けて、19日にNECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)が対戦するのはコベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。会場は神戸総合運動公園ユニバー記念競技場だ。

GR東葛は、前節の東芝ブレイブルーパス東京戦(以下、BL東京)でスタメン9人を入れ替えて試合に臨んだ。先発した吉村紘をはじめ、後半途中からは山本耕生、ヴィリアミ・ルトゥア・アホフォノが初キャップを記録し、若い3選手がNTTジャパンラグビー リーグワンでデビューを飾った。連戦の真っ只中であり、選手の負傷離脱などのチーム事情、あるいはリコーブラックラムズ東京戦の大敗から流れを変えるという狙いもあったと推測されるが、3選手のデビューからは新しい力の台頭が感じられた。こうした流れは、チーム内における競争の活性化を促す。

「毎週、メンバーの争いがある。そこに対してそれぞれが良い意味で向き合えていると思います。シーズンは長いので、今まで出られなかったメンバーがフレッシュな気持ちとハングリーな気持ちを出すことは必ずチームのプラスになる」

そう話す亀井亮依は、今季9試合に出場している28歳の中堅選手である。ここまで主力の一人としてチームを引っ張ってきたが、前節のBL東京戦では4試合ぶりにメンバーから外れた。だからこそ、再びスタメンを勝ち取った今節は「自分の役割を遂行して、ハードワークする」と意気込みを口にし、神戸S戦での必勝を誓っている。

また、瀧澤直にいたっては、第7節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦以来、今節は5試合ぶりのスタメン出場になる。スタメン、控え、メンバー外と、さまざまな立ち位置からGR東葛を見てきた36歳のベテランは、現在のチーム状況を客観視する。

「チームは勝つための努力はしているし、勝つための道筋は見えてきていると思っています。相手がとか、運がとかではなく、自分たちのやるべきことができなかったから負けてしまった。ただやるべきことができたときは勝ちにつながっている自信はあるので、その時間を長くして、それを積み上げていくだけだと思います」

経験のあるベテランや中堅選手に若手が引き上げられることもあれば、逆に若手のエネルギッシュなプレーに年上の選手が多大な刺激を受けることもある。

前節は若い力の台頭を感じさせた。今節は中堅とベテランがスタメンの座を取り返した。思うような結果につながらないことはもどかしいが、少なくともベテラン、中堅、若手がしのぎを削り合う競争という良いサイクルが、いまのGR東葛に生まれている。

(鈴木潤)

「自分の役割を遂行して、ハードワークする」と意気込む、NECグリーンロケッツ東葛の亀井亮依選手


36歳のベテラン、NECグリーンロケッツ東葛の瀧澤直選手(写真中央の左プロップ)


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