静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

絶対王者を破ったことで得た自信。大きな感動を与える準備は整った

「自分たちのやっている方向性は間違ってないということが証明されたので、みんなの自信になっています」と語る静岡ブルーレヴズの日野剛志選手(写真中央)

前節で絶対王者・埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)に4年4カ月ぶりの黒星をつけ、堂々とディビジョン1残留を確定させた7位の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。本拠地ヤマハスタジアムで迎える最終節は、開幕戦で敗れた6位・トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)との雪辱戦。昨年の順位(8位)超えを確定するためにも、必ず勝って有終の美を飾りたい一戦だ。

埼玉WKの公式戦47戦無敗(トップリーグ、プレーオフを含む)という大記録を止めた前節は、自分たちが目指す“レヴズスタイル”を最高の形で表現できた試合でもあった。「セットピースでプレッシャーを掛けて相手陣内に入り、固いディフェンスでしっかり止めて、ターンオーバーからまたチャンス……。自分たちのスタイルをやり切ったことが勝利につながったと思います」と堀川隆延ヘッドコーチも大きな手ごたえを口にする。

その熱い戦いを見て、静岡BRのファン=“レヴニスタ”たちも感動とともに「やっぱりレヴズって最高だな」という思いをあらためて味わったことだろう。だからこそ最後のホストゲームでも“レヴズスタイル”を存分に表現することが、ファンをより増やすためにも重要になる。

埼玉WK戦でプレーヤー・オブ・ザ・マッチに選ばれた日野剛志は、トヨタV戦に向けて次のように語る。

「自分たちのやっている方向性は間違ってないということが証明されたので、みんなの自信になっています。だからこそ次の試合が非常に大事になるし、前節と同じ姿勢を見せて、今季、自分たちが成長した証を見せることができれば、来季がとても楽しみになります。この良い雰囲気のままトヨタV戦も結果にもこだわって、勝って終わってレヴニスタの皆さんと一緒に喜びたいです」

最終節でもゲームキャプテンを務める予定の大戸裕矢も思いは同じだ。

「トヨタVはフォワードが大きくてフィジカルが強みなので、そこで引かない、むしろ押し返すというところをこだわってやっていきたいです。最終戦ですし、引退される選手もいるので、本当に勝って終わりたいです」

日野と大戸の日本代表コンビは、今季も力強く、頼もしくチームをけん引し続けてきた。そこは最後まで揺るがないはずだ。さらに今節では共同キャプテンの一人、奥村翔も実戦復帰する。最終戦を前にチームの雰囲気や一体感は最高に高まっている。

そして強力なフォワード陣を誇るトヨタV戦は、レヴズスタイルを表現するという意味ではよりチャレンジングなゲームと言える。先週に続いて静岡BRが大きな感動を与えてくれる準備は、十分過ぎるほど整っている。

(前島芳雄)


トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスA)

最終戦でも一貫したパフォーマンスを。世界最高峰の選手にも「簡単に9番を渡すつもりはない」

トヨタヴェルブリッツの福田健太選手。来季加入する同じスクラムハーフのアーロン・スミス選手については「簡単に9番を譲るんじゃなくて、僕自身もしっかりとレベルアップして戦いたい」

リーグ最終節を迎えた段階で順位は6位。目標としていたプレーオフトーナメント進出とはならなかったトヨタヴェルブリッツだが、終盤戦は大勝あり、劇的勝利ありと調子を上げてきた。最終戦は負ければ7位に転落してしまう6-7位直接対決。しっかりと勝ち切って来季への礎としたい。

チームは来季に向けて動き出している。すでに2月に発表されているが、二人の大物の加入が決定。アーロン・スミスとボーデン・バレット。ニュージーランド代表、通称“オールブラックス”の世界最高峰と言われるハーフバックスコンビだ。ともに2015年のラグビーワールドカップ優勝メンバーであり、今年フランスで行われる同大会にも出場し活躍するだろう。

一般紙でも取り上げられるほどの大物の加入に、在籍するハーフバックス陣は戦々恐々かと思えば、そうではなかった。今季、スクラムハーフとして最も多くの出場時間を得た福田健太は彼らの加入を楽しみにしている。

「僕が小学校のときから見ていて知っているプレーヤー。すべてに長けていて、スクラムハーフの生命線であるパスも世界で一番うまいと思う。憧れにもならない雲の上の存在」

そう目を輝かせる一方で、ライバルという意識ももちろん持っている。

「学べるところはいっぱいあると思いますけど、簡単に9番を渡すつもりはありません。簡単に9番を譲るんじゃなくて、僕自身もしっかりとレベルアップして戦いたい」

そのためにも大事な最終戦だ。緑のパッションあふれるスクラムハーフは、今季をとおして自分自身のパフォーマンスとチームの成績が正比例していることを痛感した。特に同じポジションを務めるアーロン・スミスの加入は、自身が成長するための絶好のチャンスであり、乗り越えるべき大きな壁である。

「シーズンの締めくくりで、自分が一貫したパフォーマンスを出すことが大切なのはすごくよく分かっています。それを出すことによって来季のスタートにもつながると思うし、今季で退団する選手もいます。そういったメンバーの思いや支えてくれたファンのために、その気持ちを背負って戦います」

リーダーの一人として、自身の存在の大きさも自覚した今季。そこからさらに飛躍するためにも、最終戦は自分自身のパフォーマンスを最大限に発揮しチームを必ず勝利に導く。

(斎藤孝一)

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