マツダスカイアクティブズ広島(D3)

今季の集大成を見せろ。
プライドをかけた広島ダービーに挑む

マツダスカイアクティブズ広島の坂本秀彰総監督は「『広島はマツダだ!』という意地を見せてもらいたい」と選手たちに声をかけた

NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23 ディビジョン2/ディビジョン3入替戦への出場はとても険しくなった。マツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)は前節のクリタウォーターガッシュ昭島戦に敗れ、自力で3位になることができない状況で今節の中国電力レッドレグリオンズ(以下、中国RR)戦を迎える。

苦しい戦いが続いた今季を振り返れば、やはり開幕戦で中国RRに敗北したことが痛恨だった。坂本秀彰総監督は「すべては開幕戦ですよ」と言い、昨年12月17日のBalcom BMW Stadiumで敗れた80分間を、こう振り返る。

「負けるときはいろいろな要因がありますけど、あの試合は勝たないといけないというプレッシャーがあったことが良くなかった。中国電力さんの勝ちたい思いとわれわれの勝たないといけない思いの差がゲーム中にも明らかに表れて、やっぱりわれわれが受け身になっていた。メンタル的なコントロールがうまくできなかった」

それ以降、チームのマネジメントも難しくなった中で、坂本総監督が感じてきた課題は選手それぞれのリーダーシップだった。

「われわれも何とか選手を早く立ち直らせたかったですけど、やっぱりラグビーは選手間で立ち直っていくことが必要です。開幕戦もゲーム中に誰かが引っ張っていって自分たちで立ち直っていけば問題なかったんでしょうけど、それができなかった。今季はその辺りに課題を感じましたし、選手それぞれにリーダーシップを持ってもらいたいと思います」

あの開幕戦から4カ月。今節は今季の集大成を見せたい一戦となり、坂本総監督も口調を強くして選手たちに発破をかけた。

「いろいろな悔しい思いをしてきた中で、選手それぞれに感じたことがあったはず。通用した部分もあったと思いますし、成長していなかったらウソでしょう。今節は勝ち負けにこだわって、勝つためにしなければいけないことを出してもらいたいと思います。中国電力さんとの広島ダービーは1勝1敗なので、『広島はマツダだ!』という意地を見せてもらいたい」

4月15日、SA広島はプライドをかけて中国RRとの一戦に臨んでいく。

(寺田弘幸)


中国電力レッドレグリオンズ(D3)

小さな巨人が放つ大きな存在感。
その源は、底抜けの明るさと強い負けん気

「グラウンドで一番目立つ選手になりたい」。166cm・84kgのセンター、中国電力レッドレグリオンズの森田政彰選手

前節の序盤、ミスをした味方に森田政彰が近寄って冗談っぽく声をかける。「次の挽回が楽しみやな!」。ミスを指摘するわけでもなく、ありきたりな言葉でないのが、森田らしい。

「もし自分がミスしたら、『次に行こう』って言われても逆にプレッシャーになる。ミスを試合中に責めても良くないし、ネガティブになればなるほどプレーは悪くなっていくと思うので、気が紛れるように、ちょっと笑わせるぐらいのイメージで声を掛けました」

もともと話し好きの森田はコミュニケーションを取るのがうまく、中国電力レッドレグリオンズのムードメーカーの一人。今季は開幕からほとんどの試合に先発出場し、グラウンド内外でチームに欠かせない存在だ。

ただ、今季一度だけメンバー外を経験した。前々節の九州電力キューデンヴォルテクス戦、岩戸博和ヘッドコーチからは「休養」と説明されたが、本人は「パフォーマンスが悪かった」と捉えて危機感を持っていた。

それでも、前節のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪戦で2試合ぶりに先発復帰。試合は無得点で敗れて悔しさを味わったが、奮起していたタックルや突破では手ごたえを感じていた。今節のマツダスカイアクティブズ広島(以下、SA広島)とのダービーマッチも引き続きスタメン入りし、「選ばれたからにはアグレッシブに攻めたい」と気合いを入れる。

広島ダービーは今季3度目。開幕戦は快勝したが、先月の第2戦では8点差で敗れた。決着を付ける第3戦は、NTTジャパンラグビー リーグワン2022-23入替戦への可能性を残す両チームにとって勝ち点5、つまり3トライ差での勝利が必要となる。広島のプライドと入替戦が懸かった激戦必至の大一番。当然ながら、普段以上に気持ちが勝負を左右する。

「とりあえず攻めて、攻めて、攻めまくって、相手の時間になったらとにかくタックルに行ってすぐに(ボールを)取り返したい。怖いとか、しんどいとか、きついとか、そんなことを言っている暇は絶対にない」

166cm・84kgの森田はセンターとしてかなり小柄だ。前回の広島ダービーでは「僕が狙われていた感じがあった」と振り返る。今回のSA広島はセンターに174cm・92kgのジェイコブ・アベルと185cm・110kgのテビタ・タイというパワフルな二人をそろえてきた。

体格差はあるが、「相手が強ければ強いほど、大きければ大きいほど、『小さい相手に負けたって思わせてやる』という気持ちでやっている」と闘志を燃やし、「逆に相手が狙ってくるところを、失敗だったなって思わせるぐらいのタックルやアタックを見せたい」と意気込んでいる。

シーズン終盤の大一番。森田が気持ちの入ったプレーでも、コミュニケーションでもチームを盛り上げる。「グラウンドで一番目立つ選手になりたい」。小さなセンターがグラウンドの真ん中で大きな存在感を放つ。

(湊昂大)

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