2023.12.09NTTリーグワン2023-24 第1節 埼玉WK vs横浜E-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1
第1節 カンファレンスB (D1-M6)
12.10 Sun 15:05 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 横浜キヤノンイーグルス

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

義理人情を貫く、堀江翔太らしい“開幕前の引退宣言”

シーズン後の引退を表明した埼玉パナソニックワイルドナイツの堀江翔太選手「応援してくれる人やお世話になった人に僕の試合を見てほしいから。感謝の意味を込めてこの時期に発表させてもらった」

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が12月10日午後3時にキックオフする開幕戦で横浜キヤノンイーグルスと対戦する。昨季のプレーオフトーナメント準決勝で対戦した好敵手を熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に迎え撃つ。昨季連覇を逃したチームにとって「王座奪還」への第一歩となる。

今季の目標はただ一つ「王座奪還」のみ。昨シーズン後には代表組がラグビーワールドカップ2023フランス大会に参戦した中で、チームは今秋のオーストラリアキャンプ、そして宮崎キャンプを経て開幕戦へ備えた。

開幕を直前に控えた12月6日、埼玉WKは日本代表・堀江翔太についての記者会見を設定した。12月4日夕方の会見リリースには内容は表記されていなかった。どんな会見になるのか。不安と期待が入り混じる中、会見上に堀江が登壇した。

「唐突ですが今シーズンをもってラグビーを引退しようと思います」

引退については1年半前から考えていたという。ラグビーワールドカップ2023フランス大会を終えて新シーズンへ向かういま、開幕前にファンへ伝えることを決断した。

「応援してくれる人やお世話になった人に僕の試合を見てほしいから。感謝の意味を込めてこの時期に発表させてもらった」

義理人情を貫く堀江らしい決断。堀江は会見直前のチームミーティングでチームメートにも伝えたという。「ラインアウトもできない、スクラムも組めない僕を拾ってくれたチームに感謝している。当時を知る人たちと昔話をしていたら泣きそうになってしまったので早めに切り上げた」。会見では、悲しい表情は見せず、前向きに引退について語った。

日本代表としてラグビーワールドカップには4度出場し、新たな歴史を築いた。「2011年のニュージーランドでは日の丸を背負う意味を理解していなかった。その重みを感じながらプレーした2019年の日本大会、2023年のフランス大会が忘れられない大会となった」

リーグワン初代MVP男。来年1月に38歳を迎えるが、年齢に反比例して日々進化。それもトレーニングの賜物だ。余力を残しての引退となるが、今後はトレーナーの道を模索するという。しかし、堀江の戦いはまだ終わっていない。今季1シーズンが残っている。

「やりきった印象? そういうのはまだないです。今季が終わった時点で、やりきったと思えるシーズンにしたい。王座奪還が簡単ではないが、1プレー1プレーを大切にして戦っていくだけ」

日本ラグビー界の怪童・堀江のラストシーズンが幕を開ける。「王座奪還」を成し遂げて、堀江の花道を飾ることが今季の埼玉WKのミッションとなる。

(伊藤寿学)

横浜キヤノンイーグルス(D1 カンファレンスB)

大一番の開幕戦にも過度の重圧はなし。チームにコミットする小倉順平

横浜キヤノンイーグルスの小倉順平選手「リーグワン開幕に向けて、非常に締まった練習ができている」

昨季のNTTジャパンラグビー リーグワンを3位で終えた横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)が敵地に乗り込む開幕戦。眼前に立ちはだかる相手は、かつての王者、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)だ。昨季の2位対3位の“上位対決”は、12月10日(日)15:05開始。会場は熊谷スポーツ文化公園ラグビー場だ。

埼玉WK戦を2日後に控えた横浜Eの練習場であるキヤノンスポーツパークは活気に満ちていた。例えば全体練習前のウォーミングアップでは、東海大学から加入したレキマ・ナサミラが声を張り上げてチームのムード作りに努めた。そして実際の練習ではフルバックで先発予定のラグビーワールドカップ2023フランス大会日本代表メンバーの一人である小倉順平が、チームメートと密にコミュニケーションを取りながら、埼玉WKのアタックをはね返すためのディテールを詰めることに余念がなかった。「リーグワン開幕に向けて、非常に締まった練習ができている」とは小倉の言葉だ。

また小倉は全体練習後、ゴールキックを自主練習。スタンドオフの田村優がメインのゴールキッカーだが、自分にその役割が回ってくることも想定し、1本1本の感触を入念に確かめていた。ラグビーワールドカップの日本代表メンバーという肩書きから、小倉に注がれる周囲の視線もより厳しさを増すだろう。それでも、本人は必要以上の重圧を感じることはない。「チームにコミットして、やるべきことをやるだけ」と、小倉は全く意に介していなかった。

今季のチームの目標は、史上最高位だった昨季の3位を越えるチャンピオン。開幕戦で戦う埼玉WKはライバルチームの一つだが、まさに相手にとって、不足はない。埼玉WK戦に向けた決意について、小倉はこう話した。

「プレーオフに進出して、そこから優勝を目指す。チームの目標はそれで一貫している。まずは開幕戦に勝つことでチームの自信につながる」

全体練習後のハドルでは、チームの大黒柱である田村優やキャプテンの梶村祐介がチームメートにメッセージを発信し、闘志を注入。オープニングマッチでの勝利に向けて、チームのボルテージは最高潮に高まっている。

(郡司聡)

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