2023.12.09NTTリーグワン2023-24 第1節 S東京ベイ vs東京SG-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1
第1節 カンファレンスA (D1-M5)
12.10 Sun 14:30 秩父宮ラグビー場 (東京都)
クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs 東京サントリーサンゴリアス

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスA)

新シーズンの幕開けは新時代の黄金カードから。王者・S東京ベイが見せる変わらぬスタンス

クボタスピアーズ船橋・東京ベイの立川理道キャプテン「チャンピオンチームとして開幕を迎えられるのは光栄なこと。ただ、その喜びは感じながらも、(優勝は)学びとして生かしていきながら、今季にフォーカスしていきたい」

これはジャパンラグビー リーグワンが生み出した、新時代の黄金カードである。1年前の12月、クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)は18年間も勝ち星を挙げられなかった東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)を打ち破り、シーズン開幕節を白星で飾った。まるで「俺はオマエの噛ませ犬じゃない」といわんばかりの劇的な勝利。それは、S東京ベイにとって東京SGが「天敵」ではなく「ライバル」となり、トップリーグ時代とは異なる両チームの関係性が構築された瞬間でもあった。

昨季、両軍はレギュラーシーズンの開幕戦と最終節、そして、プレーオフトーナメント準決勝と計3度対戦。結果だけを見ればS東京ベイの3連勝ではあるが、試合はどれも壮絶を極め、グラウンドには熱戦という言葉では到底表現し切れないほどの魂のぶつかり合いが描かれた。二度目の対戦では担架がグラウンドを行き来する、両軍ともに大きな代償を払う激闘に発展。また、後半にシンビン(10分間の退場)で二人の選手を欠き、窮地に追い込まれながらも怒涛の猛追を見せたS東京ベイの戦いは、ホームのスピアーズえどりくフィールドに詰めかけたファンに熱狂をもたらした。

その3週間後に行われた第3戦では、試合開始わずか5分、ハイタックルによるレッドカードで東京SGのツイ ヘンドリックが退場。ここから約75分もの間、14人でのバトルを余儀なくされることになる。しかし、東京SGは数的不利をまったく感じさせないファイティングスピリッツを発揮し、攻めあぐねるS東京ベイを前に攻撃の手を絶対に緩めない。最後の最後まで勝負の行方が読めぬスリリングな攻防。敗れはしたものの、あきらめの感情を完全に捨て切り、強豪チームの誇りと執念を胸に立ち向かった東京SGの姿は観る者の心を強く揺さぶった。

そして、今年もまた嵐の季節がやってきた。12月10日、両軍は開幕節でいきなり相まみえる。チームの歴史上、初めて王者としてリーグ戦に臨むS東京ベイ。重要な一戦を前にしても、気負いはない。「チャンピオンチームとして開幕を迎えられるのは光栄なこと。ただ、その喜びは感じながらも、(優勝は)学びとして生かしていきながら、今季にフォーカスしていきたい。相手が東京SGだからということを意識しすぎずに、一戦一戦、自分たちのラグビーをしていくことにフォーカスしていくことが大事」。ディフェンディングチャンピオンらしい装飾をまったくといっていいほどまとっていない立川理道キャプテンの淡々とした言葉に、これまでチャレンジャーであり続けてきたS東京ベイの変わらぬスタンスが読み取れる。あとは、戦うだけである。

東の聖地、秩父宮ラグビー場で奏でられる名勝負数え歌。いま、ラグビースタジアムが戦いのワンダーランドと化す。ラグビーワールドカップに劣らない熱気と緊迫感が、そこにある。

(藤本かずまさ)

東京サントリーサンゴリアス(D1 カンファレンスA)

昨季王者へのリベンジを期す開幕戦。世界最高峰の二人が刻む新たな伝説

東京サントリーサンゴリアスの堀越康介キャプテン「同じ相手に3度も負けた悔しい思いはみんな持っていますし、絶対にやり返したいという気持ちは共有しています」

ラグビーワールドカップ2023フランス大会では日本代表に7人を送り込んだ東京サントリーサンゴリアス(以下、東京SG)。それだけの充実した戦力でありながら、昨季はディビジョン1の4位。捲土重来を期す今季、初戦の相手は昨季王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)だ。S東京ベイとは昨季も開幕戦でぶつかり、下馬評では有利と目されながら手痛い黒星発進に。プレーオフトーナメント準決勝でも死闘の末に敗れるなど、昨季3連敗を喫した因縁の相手でもある。

今季キャプテンを務める堀越康介も、あらためてS東京ベイ戦の重みを語る。「同じ相手に3度も負けた悔しい思いはみんな持っていますし、絶対にやり返したいという気持ちは共有しています。昨季も開幕戦で負けて相手に勢いを生んでしまった。開幕戦がいかに大事かは痛いほど認識しているので、しっかり勝って、今度は僕らがいい波に乗りたいですね」。波に乗るための準備は当然できている。そのひとつが強力な新戦力だ。南アフリカ代表の世界的ウイング、チェスリン・コルビ、ニュージーランド代表キャプテンのサム・ケイン。ラグビーワールドカップ2023フランス大会決勝戦で激突した両国の主軸がチームに加入し、リーグワンで猛威を振るう予定だ。

小柄ながらも爆発的なスピードを持ち、「ポケットロケット」の異名を持つチェスリン・コルビは、「ウイングは何もないところからエキサイティングな瞬間を作り出すポジション。自分のスキルやスピードを生かし、楽しみながらチームに貢献していきたい」と活躍を誓う。一方、「サンゴリアスは勝つことを心から願っているチームだとすぐ感じた。そのようなチームの一員になれることは自分にとって非常にエキサイティング」と語ったのは、オールブラックスで常に勝利を求められてきたサム・ケイン。勝者のメンタリティーを元に「攻守ともにチャレンジし続けて、みなさんに喜んでいただけるパフォーマンスができれば」と意気込みを語ってくれた。

ラグビーワールドカップ決勝の激闘からまだ1カ月あまり。当然、来日も開幕直前となり、チームにも合流したばかりだ。それでも田中澄憲監督は「世界最高選手たる所以は理解力の早さ。彼らなら大丈夫です」と連係面にも不安は感じていない。12月10日、秩父宮ラグビー場。世界を知る男たちの新たな伝説がここから始まる!

(オグマナオト)

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