2023.12.15NTTリーグワン2023-24 第2節 横浜E vs トヨタV-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦) 第2節 カンファレンスB
2023年12月16日(土)14:10 日産スタジアム (神奈川県)
横浜キヤノンイーグルス vs トヨタヴェルブリッツ

横浜キヤノンイーグルス(D1カンファレンスB)

「情けない」完敗からの再出発。
恩師とともに、移籍後初のホストゲームで初勝利を

横浜キヤノンイーグルスの中村駿太選手。U20日本代表メンバー当時から同監督だった沢木敬介氏は恩師だという。現在の目標は「敬介さんを胴上げすること」

横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)にとって、今季初のホストゲームは、開幕白星スタートを切ったトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)を日産スタジアムに迎える。12月16日(土)14:10キックオフだ。

東京サントリーサンゴリアスから覚悟の移籍で加入し、開幕戦で初めて横浜Eの選手としてジャパンラグビー リーグワンのピッチに立った中村駿太は、完敗を受け入れるしかなかった。埼玉パナソニックワイルドナイツに挑んだ一戦は12-53の大敗。移籍後初先発で後半9分に交代で退いた中村は「本当に情けない負け方だった」とうなだれた。

完敗からの“リバウンドメンタリティー”が問われるトヨタV戦に向けて、チームを率いる沢木敬介監督は、選手たちにこう言ってハッパをかけたという。

「“フルスロットル”というマインドセットで試合に臨み、最初の20分で走れなくなるほど、自分たちのスタンダードを発揮しよう」

指揮官からのゲキを聞いた中村は「フロントローの選手として、チームの先頭に立って、勝利のために戦う」ことを誓った。

ましてや今節フッカーで先発予定の中村にとって、トヨタV戦は横浜Eの選手として、ホストゲームで自分のプレーをお披露目する初めての舞台だ。「今季のチームはテンポが速くなっている印象を受ける」トヨタVを相手に、中村は「自分の強みであるフィールドプレーを見てほしい」とファンに呼びかけた。

新天地に移った中村が掲げる唯一無二の目標は「敬介さんを胴上げすること」。そう語った中村の目は鋭かった。そしてこう言葉を続けた。

「僕は優勝したくてこのクラブに来た。このトヨタV戦では、今季初勝利をイーグルスファンのみなさんに届けたい」

沢木監督がU20日本代表を指揮している当時、そこで出会った中村は横浜Eの指揮官を「恩師」と慕っている。「ラグビー選手として大きく成長させてもらった」沢木監督の下、さらなる成長を期す中村が、今季初勝利への道を切り拓く。

(郡司聡)

トヨタヴェルブリッツ(D1カンファレンスB)

全世界が注目する“世界トップ2対決”。
アーロン・スミスか、ファフ・デクラークか

トヨタヴェルブリッツのスクラムハーフ、アーロン・スミス選手。先のラグビーワールドカップ2023フランス大会決勝で対戦した、ファフ・デクラーク選手との”再戦”に注目が集まる

第2節にしてとても重要な一戦がやってきた。トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)がビジターゲームで顔を合わせるのは、昨季3位の横浜キヤノンイーグルス(以下、横浜E)。ジャパンラグビー リーグワンがスタートしてから、初のプレーオフトーナメント進出を狙うトヨタVとしては、是が非でも倒しておきたい相手である。

この試合は、全世界のラグビーファンの注目を集めることにもなるだろう。ラグビーワールドカップ2023フランス大会決勝で対峙した世界トップのスクラムハーフである二人、ニュージーランド代表のアーロン・スミスと南アフリカ代表のファフ・デクラークが再び相まみえるのである。

スクラムハーフとはモールやラックなど、選手が密集した地点に素早く駆け寄り、ボールを最初に拾って味方にパスを供給するのが主な役割。豊富な運動量や正確なパス、攻撃のリズムを作る戦術眼が必要なポジションだ。もちろん密集へすぐに駆け寄ることから、相手が抜け出してきた守備の場面で最初にタックルをしかけることも多くある。

アーロン・スミスはファフ・デクラークについて「僕とデクラークは似ていながらも異なる選手」と表現する。その意図は「自分は試合をコントロールする立場として、パスとスピードを生かしてプレーするが、デクラークは非常に激しい選手でランに特長があり、相手のミスを誘発するようなプレーに長けている」から。

その上でファフ・デクラークが上回っていること、逆に自身が上回っていることを聞くと「彼のゴールキックやボックスキック、そしてタッチを狙ったキックは僕より上回っているかもしれない。でも、パスを使ったゲームコントロール、スペースに人を入れて速いラグビーを展開するところは自分の強みだ」と自信を見せた。

世界のトップ2と言い切っても過言ではないスクラムハーフ対決。もちろんスクラムハーフだけで勝負が決まるわけではないが、日本でこの二人のマッチアップが見られるのは“超ラッキー”な出来事であり、至福の時間になることは間違いない。

ちなみにアーロン・スミスがこの試合に向け楽しみにしていることは、「対戦後にデクラークと家族や奥様のことを話すこと」なのだそう。ピッチ上では激しくとも試合後はノーサイド。代表やスーパーラグビーなどで何度も対戦し、二人にしか分からない友情もあるのだろう。

ラグビーワールドカップ2023フランス大会の決勝ではデクラークのいる南アフリカ代表に軍配が上がった。今回はどちらが勝者になるだろうか。

(斎藤孝一)


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