2023.12.21NTTリーグワン2023-24 第3節 埼玉WK vs BR東京-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第3節 カンファレンスB
2023年12月23日(土)12:00 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs リコーブラックラムズ東京

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

今季は今季。重要なのは明日。
坂手淳史のキャプテンシーが『王座奪還』の手引きとなる

埼玉パナソニックワイルドナイツの坂手淳史キャプテン。「今季は今季であって、昨季ではない。現状維持ではなく、さらに成長していかないと目標は達成できない」

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が12月23日のNTTジャパンラグビーリーグワン2023-24ディビジョン1カンファレンスB第3節でリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)を熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に迎え撃つ。BR東京は2連敗中だが、トヨタヴェルブリッツ、三菱重工相模原ダイナボアーズ相手に接戦を演じているだけに簡単な相手ではない。2023年のラストゲームは白熱の攻防戦が予想される。

坂手淳史はチームに欠かせないプレーヤーだ。フロントローで闘志と知性がみなぎるプレーを見せて、チームを勝利に導く。

開幕戦の横浜キヤノンイーグルス戦、第2節・花園近鉄ライナーズ戦でもスターティングメンバーに名を連ねて2連勝を手繰り寄せた。ともに後半途中で堀江翔太にバトンを渡す『勝利の方程式』で役割を遂行。ベンチへ下がってからもチームのために声を枯らした。

今秋のラグビーワールドカップ2023フランス大会にも日本代表として2大会連続出場。プール初戦のチリ戦で先発するなど全4試合に出場し、持ち前のクレバーさを世界の舞台で発揮した。

ラグビーワールドカップ出場組はリーグワン開幕直前にチームに加わり、コンディションと戦術的にも難しい状況だったが、キャプテンとしてチームをまとめてきた。ロビー・ディーンズ ヘッドコーチは「坂手キャプテンは、開幕までの時間が限られている中でチームをよくまとめて努力してくれた」とその功績を称える。

埼玉WKはリーグワン初年度を制して初代王者となったが、連覇を狙った昨季はプレーオフトーナメント決勝でクボタスピアーズ船橋・東京ベイに惜敗し、トロフィーを掲げることができなかった。坂手は「自分たちがやってきたことは間違っていないし、難しい中で必死になって戦っていました。だが、相手が上回っていた」と敗戦を受け止めた。

今季のチームの目標は『王座奪還』。坂手は「昨季の悔しさはみんなが持っているが、今季は今季であって、昨季ではない。現状維持ではなく、さらに成長していかないと目標は達成できない。一戦一戦、気持ちを込めて戦っていくしかない」と力を込める。2連勝スタートを切っても、重要なのは明日。坂手は今季も絶対的キャプテンとしてチームをけん引していく。彼のキャプテンシーが『王座奪還』への手引きとなる。

(伊藤寿学)

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

にじむ100回の歴史。
その根底にあるのは“楽しむ”こと

リコーブラックラムズ東京の柳川大樹選手。「誰でもできる。僕でもできている。だから、頑張ってほしい」

試合週のメンバー発表。試合前日のキャプテンズラン。試合当日のウォーミングアップ。繰り返すこと、早くも100回目。この週末、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)戦で公式戦通算100キャップを達成するのが、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)のロック、柳川大樹だ。

大台の数字を目前にしても「いつもと変わらない。次の試合に勝つことだけ」と飄々としている。だが、その姿からは100回の歴史がにじむ。練習中には、手を上げ仲間を呼び寄せ、呼吸を合わせる音頭を取る。練習後の円陣でも「セイムページね」と口火を切った。

今季のリーダー陣の一員でなければ、この日のリーダー役を任されていたわけでもない。これまでどのカテゴリーにおいてもキャプテン経験はなく、「むしろ避けてきた側の人間」と説明する。ただ当たり前のように、いつものように。「自分の中の大前提が、楽しむこと。楽しむためにも、チームを良くしたいという気持ちが働くのかな」と紐解いた。

「誰かが苦しんでいるとき、困っているとき、チーム全員が、その人を助ける文化がBR東京にはあります。そこが僕は好きです」

このチームしか知らないんですけどね、とおどけた。

ラグビーを始めたのは徳島県立城東高校に入学してから。兄が同校ラグビー部に所属しており、自然と楕円球を手にした。「そのころは、こんな年齢(34歳)になるまでラグビーを続けるなんてまったく思ってもいませんでした」。大阪体育大学に進学し、リコーブラックラムズ(当時)から声が掛かるようになって道が変わった、と説明する。

いまの夢は、このチームで優勝すること。個人の夢よりも、チームの夢が先にくる。

長きに渡りトップレベルでプレーしてきた人間として、いまの若者に伝えられるアドバイスがある。

「誰でもできる。僕でもできている。だから、頑張ってほしい」

そして続けた。

「楽しんでほしい」

埼玉WKの内田啓介も、出場すれば同じ試合で100キャップを達成する。日本代表の合宿でともに練習した仲の二人の笑顔を、ぜひ会場で。

(原田友莉子)

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