NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1 第3節 カンファレンスA
2023年12月24日（日）12:10 三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 (三重県)
三重ホンダヒート vs 東京サントリーサンゴリアス
三重ホンダヒート（D1 カンファレンスA）
いまはすべてが学びとなり糧になる。
全力で強敵にぶつかる意味
三重ホンダヒートの重一生選手。「どう対処するか、何が足りないか。チームもそれぞれの選手も理解して、練習後に残って個々にレベルアップを図っています」開幕節はコベルコ神戸スティーラーズ（以下、神戸S）に15対80、前節のホストゲーム開幕戦は昨季の王者であるクボタスピアーズ船橋・東京ベイ（以下、S東京ベイ）に0対75。ディビジョン1の洗礼を受ける悔しい結果が続いている三重ホンダヒート（以下、三重H）だが、選手の表情は明るい。
「日本のトップ4に入るチームとの開幕3試合は、もちろん勝ちにいきますけど、たとえ点差が開いたとしてもあまり気にしません。このレベルが何年後かに自分たちがいるべき場所だと思っているので、そこに向かってチャレンジすることですごく大きな学びを得ています。自分たちのラグビーがどこまでできるかを試せる絶好の機会だと思います」
そう話すのは、前節のS東京ベイ戦で三重Hデビューを飾った重一生（しげ いっせい）だ。「（三重Hは）ディビジョン2で勝ち続けてきたチーム。うまくいかないときの対処法や、コンタクトの強度、試合のテンポ、取るべきところでしっかりと点を取ることなどは、ディビジョン2では学ぶことができませんでした。いまのうちにしっかり叩かれて学んでおけば、シーズンの折り返しを迎えるころにはアジャストできるようになっていくんじゃないか」とすべてが糧になっていると前向きに捉えている。
全力でぶつかって、自分たちの現在地と目指すべき場所を知り、そのギャップを埋めていく。「どう対処するか、何が足りないか。チームもそれぞれの選手も理解して、練習後に残って個々にレベルアップを図っています」と重。進むべき道が明確になり、チームの士気はむしろ高まっているという。
U20日本代表経験を持ち、2017〜22年まで神戸Sに在籍していた重は「特に今季はディビジョン1のレベルが上がっている。僕がディビジョン2で試合に出ていない間に、攻守の切り替えのスピードがどのチームも洗練されている。ボールロストすると一気にトライまで運ばれる」と日本ラグビーの進化も肌で感じた。
今節は日本代表選手を多数擁する東京サントリーサンゴリアスを三重交通G スポーツの杜 鈴鹿に迎える。「アタックにしろ、タックルにしろ、ブレイクダウンにしろ、まずはこの2試合で感じたコンタクトの強度にチャレンジし続けること。そしてもう一つが、チームとして1トライを取りに行くこと。いまのチームにとって自信になる試合にしたい」。重は強敵にチャレンジできる絶好の機会が待ち切れないとばかりに目を輝かせた。
（山田智子）
東京サントリーサンゴリアス（D1 カンファレンスA）
常に100％でやり切り、競争を制した先へ。“新10番”が目指す高み
ルーキーながら開幕から10番でフル出場中。東京サントリーサンゴリアスの高本幹也選手。アルゼンチン代表のニコラス・サンチェス選手の加入でポジション争いが激化か1勝1敗。まだ波に乗れない東京サントリーサンゴリアス（以下、東京SG）の第3節は、三重交通G スポーツの杜 鈴鹿に乗り込んでの三重ホンダヒート戦だ。
「チーム全体で同じ絵を見られるように、10番としてコントロールしていきたい」
そう語るのは、開幕から10番＝スタンドオフでフル出場を続ける“ルーキー”高本幹也だ。
今年3月に卒業した帝京大学では、大学選手権連覇に貢献。誰もが認める世代屈指の司令塔である。だが、他大学を含め同期の選手たちがアーリーエントリーで2022-23シーズンからリーグワンデビューを飾る中、選手層の厚い東京SG入団を選んだ高本は、試合に出られない日々を過ごした。
「アーリーエントリーについてはうらやましい気持ちもありましたが、『サンゴリアスの10番』で出場することは簡単じゃないと分かっていたこと。自分ができるのは、日ごろの練習を100％でやり続ける。それでもほかの選手が10番として出てしまったら、自分に何が足りないかを考えて、また100％取り組む。プレシーズンでその準備がしっかりできたことで、開幕戦からの出場につながったのかなと思います」
もちろん、雌伏の時期を過ごしたからこそ伸ばせた部分もある。大学時代よりもプレッシャーを受ける中でのゲームコントロールに磨きをかけてきた、と自己評価。また、得意のキックは開幕戦から好調で、キックだけで挙げた26得点は、現在、堂々のリーグ2位タイだ。
ただ、このまま安泰なわけではない。東京SGは、けがで合流できない状況となったウェールズ代表のガレス・アンスコムに代わって、ラグビーワールドカップ2023フランス大会で日本代表を苦しめたアルゼンチン代表のニコラス・サンチェスの加入を発表。近日中のチーム合流が予定されている。東京SGの田中澄憲監督は、高本とニコラス・サンチェスによる競争と化学反応に期待している。
「サンチェスは経験豊富な選手ですので、高本に適切なアドバイスをしてほしいですし、競争相手として刺激し合ってほしい。サンチェスの加入で、うちのスタンドオフ陣はかなり成長できるんじゃないかと思います」
ますます激化するチーム内競争。その先に高本が目指すのは、「4年後はもちろん、チャンスだと思っています」と語るとおり、日本代表の10番として次のラグビーワールドカップに出場すること。その高みを目指して、新時代の10番は準備を重ねる。
（オグマナオト）
