2024.04.05NTTリーグワン2023-24 第12節 トヨタV vs 花園L-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第12節 カンファレンスB
2024年4月6日(土)14:40 岐阜メモリアルセンター長良川競技場 (岐阜県)
トヨタヴェルブリッツ vs 花園近鉄ライナーズ

トヨタヴェルブリッツ(D1 カンファレンスB)

高い壁を乗り越えるために過ごした雌伏のとき。
残り5戦全勝へチームにプラスの力をもたらす

トヨタヴェルブリッツのティアーン・ファルコン選手。オールブラックスのボーデン・バレット選手と同ポジションということもあり、久しぶりの先発出場となる

前節は手痛い敗戦を喫し、今季初の連敗で黒星が先行してしまったトヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)。目標とするトップ4入りはかなり厳しい状況だが、奇跡を起こすためには自分たちがいまやるべきことをやり遂げるしかない。残り5戦を全勝する覚悟が必要だ。

今節は年に一度の岐阜県でのゲーム(岐阜メモリアルセンター長良川競技場)。この試合を楽しみにしているファンも多いだろう。残り試合に勢いが出るような勝ち方でファンを楽しませたい。

オーストラリア出身の26歳、ティアーン・ファルコンにとってもこの試合は重要だ。高い精度のキックと稲妻のように切り裂くランが武器のスタンドオフは、ニュージーランド代表で123キャップを誇るボーデン・バレットの加入により出場時間が激減してしまった。

「ボーデン・バレットとアーロン・スミスから学ぶことは多いし、彼らが大きな影響をチームに与えていることは分かっている。その中で、自分自身の役割に集中するだけだし、いまはその経験から最大の学びを得られていると思う」

彼にとって、乗り越えるべき壁が目の前に現れたことは幸運だった。ボーデン・バレットのスタンドオフとしてのゲームマネジメントや、常に正しい判断をするというスキルは今後の自分のプレーにとっても大いに勉強になる。負けたくない気持ちも当然持っているが、高くジャンプするためには屈むことも必要なのだ。

「(奇跡を起こすための)5試合の始まりが今週だと思っている。過去に起こったことはコントロールできないので、われわれとしては自分たちを取り返すようなパフォーマンスをすること。今週はそこに焦点を当て、練習をしてきた」

2020年に来日したティアーン・ファルコンの目標は、日本代表として国際舞台でプレーすること。その夢を叶えるためにはトヨタVで成長を続け、チームを強くすることが必要だと認識している。第7節以来となる先発のチャンスを得た今節。これまでため込んだパワーと得た学びを最大限に発揮し、チームにプラスのエネルギーを与える。

(斎藤孝一)

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

守備戦術に重きを置くチームに欠かせない
ディフェンスを成り立たせる男

向井ヘッドコーチが「いまは彼がいないとディフェンスが成り立たない。それぐらい重要なキーマンです」と評する、花園近鉄ライナーズのトム・ヘンドリクソン選手

花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)がNTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1 第12節・トヨタヴェルブリッツ(以下、トヨタV)戦に挑む。

ニュージーランド代表のアーロン・スミスとボーデン・バレットの加入が話題を集めたトヨタVに象徴されるように、世界的スターが数多く集うD1。花園Lに今季加入したトム・ヘンドリクソンは「リーグワンにはいい選手が加入しているし、対戦する相手も毎週、さまざまなチームがいて試合をするのが楽しみです」と笑顔を見せる。

ニュージーランド生まれで、父はニュージーランド人だが、母はイギリス人のため5歳のときにイギリスに移住。ラグビーの母国で育ったトム・ヘンドリクソンはプレミアシップ・ラグビーの強豪、エクセター・チーフスで約10年プレーした実力者である。

昨年12月28日、花園Lへの加入を発表。D1開幕後の合流だったにもかかわらず、第4節のリコーブラックラムズ東京戦でデビューを飾ると、以降、すべての試合に出場している。

花園Lの顔は、世界的スターでもあるクウェイド・クーパー。ただ、クウェイド・クーパーはトム・ヘンドリクソンの存在の大きさをこう語ってくれた。

「目立つ選手ではないし、トリッキーなプレーを期待して見る選手ではない」と前置きした上で言い切った。

「チームメートとしては彼のような選手が横にいると信頼できるので安心します。自分に与えられている役割を必ず全うするし、しかも、ハイレベルでやり切れる選手です」。

指揮官の評価も同様だ。守備戦術に重きを置く向井昭吾ヘッドコーチも「いまは彼がいないとディフェンスが成り立たない。それぐらい重要なキーマンです」。

母国の英雄でもあるアーロン・スミスとは14対47で敗れたホストゲーム(第5節)以来の顔合わせだが、特別な気負いも感慨もない。「前回対戦したときに(ボーデン・)バレットは出場していませんでしたし、(アーロン・)スミスは早めにピッチを退きました。相手のセンターには強い選手がいますけど、パティ(ステイリン・パトリック)と僕でしっかりと止めたいですね」(トム・ヘンドリクソン)。

向井ヘッドコーチが口にした「彼は勤勉だし、学ぶ姿勢もすごい」という言葉を裏付けるのは、練習後に取材を受けるトム・ヘンドリクソンの腕に巻かれたテーピングだ。そこには、びっしりと戦術面の注意事項が書き込まれていた。

ニュージーランド生まれの実力派はいま、チーム内で絶大な信頼を集めている。

(下薗昌記)

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