2024.04.26NTTリーグワン2023-24 第15節 埼玉WK vs 花園L-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第15節 カンファレンスB
2024年4月27日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 花園近鉄ライナーズ

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

いつもどおりを貫く堀江翔太が迎える
通算200キャップ目と熊谷での最後の発表会

すでに今季限りでの引退を表明している埼玉パナソニックワイルドナイツの堀江翔太選手だが
「僕自身は、まだ実感がないです。次の試合へ向けて、『こうすれば成長できるかな』とか、そんなことをずっと考えています」

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)が4月27日のディビジョン1第15節のホストゲームで花園近鉄ライナーズと対戦する。今季限りで現役引退を発表している“ラスボス“こと堀江翔太のワイルドナイツ通算200キャップのメモリアルゲームは、堀江にとってホストスタジアムの熊谷スポーツ文化公園ラグビー場でのラストマッチとなる。

堀江が今季限りでの引退を発表したのは開幕直前の2023年12月6日だった。クラブが急きょ、記者会見を設定。その時点では内容は明かされていなかったが、会見の場で堀江自身が、今季でジャージーを脱ぐことを伝えた。

「開幕前に発表したのはファンやお世話になった人にプレーを観てほしいから。まだやり切った気持ちではないですが、恩返しの意味を込めて一戦一戦をプレーしたいです」

埼玉WKの“ラスボス”は、開幕戦からこれまでと変わらぬプレーを披露し、チームを勝利へと導いた。ドレッドヘアの風貌からは荒々しいプレーが想像できるが、一つひとつのプレーは実に繊細でファンタスティック。相手の圧力を巧みな身のこなしで吸収して、アイデアあふれるプレーで突破口を切り拓く。

今季、取材エリアでスポットライトを浴びるたびに引退について問われてきた。堀江は「引退?あー、忘れていました。まだシーズン中ですし、実感はないですね。本当に今季で終わるのかなって感じなんです(笑)」とおどけてみせた。

チームが無敗での進撃を続ける中でリーグ戦も残すところあと2試合となった。「僕自身は、まだ実感がないです。次の試合へ向けて、『こうすれば成長できるかな』とか、そんなことをずっと考えています。最後のホストゲーム?もちろんありがたいですし、大きな感謝はありますけど、個人的な最終戦のことよりも、ホストゲームなのでチームとして良いゲームを見せたいです」

堀江は、ラグビーの試合を「ピアノの発表会」という独特の言い回しで表現してきた。公式戦は、日ごろのトレーニングで積み上げてきたものを発表するための場だという。そして今節は熊谷スポーツ文化公園ラグビー場での最後の“発表会”となる。

「みなさんから(引退を)惜しんでもらえるようなプレーを見せて、喜んでもらいたいですね。しっかりと自分の役割をやり遂げたいです」

埼玉WK、そして日本ラグビー界のレジェンドである堀江は、気負わず、いつもどおりに、熊谷スポーツ文化公園ラグビー場のピッチに立つ。熱狂のスタジアムが、彼を迎え入れる。

(伊藤寿学)

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

先輩に後輩、多くの人の存在が刺激に。
人生初の“先発10番”で首位にひと泡吹かせる

花園近鉄ライナーズの岡村晃司選手。「スタートから10番で出るのは初めてです。その相手が首位チーム。緊張もありますけど、楽しみです」

前節、リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)に34対23で勝ち切り、待望の今季初勝利を手にした花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)。いまだ順位は最下位のままだが、当初から向井昭吾ヘッドコーチが話していた目標は「昨季の勝利数(1勝)を上回ること」である。

開幕から全勝中の首位・埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)との一戦はBR東京戦のスタメンから13人を入れ替えたフレッシュなメンバー構成で挑む。今季、初先発となる岡村晃司は入団3年目だが「ラグビー人生でスタートから10番で出るのは初めてです。その相手が首位チーム。緊張もありますけど、楽しみです」とスタンドオフとしての初先発に意気込みを見せる。

名門の御所実業高校時代には全国高校大会で準優勝を経験するも、進学した帝京大学時代には出番に恵まれなかった。埼玉WKに在籍する堀江翔太や松田力也は帝京大学の先輩でリスペクトの念を抱くが、岡村が特に対戦を待ちわびるのが御所実業高校と帝京大学で先輩・後輩の関係にあたる竹山晃暉の存在だ。

「竹山さんとは昨季の対戦では対面でした。また対戦できればうれしいですね」

岡村に課せられるミッションは、ホストゲームで味わった屈辱の払しょくだ。昨年12月17日の対戦では埼玉WKに圧倒され0対49で敗戦。その借りを返すために、向井ヘッドコーチが期待を寄せるのは岡村のゲームメークである。

「球離れもキックもいい。キックのいい選手を使って、敵陣で勝負しないと埼玉WK相手にはゲームにならない」(向井ヘッドコーチ)。

BR東京戦でも後半16分から、クウェイド・クーパーに代わってピッチに立ち、巧みなゲームコントロールを見せた。「大学では挫折を味わいましたし、進路として行き先がなかったとき、最後に花園Lに拾ってもらえました。恩返しをしたいですね」。

そんな岡村にとって刺激になったのが、前節、今季初先発でチームを勝利に導いた河村謙尚の存在である。一学年下の河村は岡村と同じ社員選手。現在は近畿日本鉄道株式会社の本社で勤務する岡村だが「同じ社員選手が活躍するのはうれしいです」と話す。

4月25日に行われたゲーム形式の練習でも好プレーを連発した岡村だが「しっかりとエリアを取って、フォワード陣を前に出させるプレーでチームを引っ張りたいです」。無敗の首位チーム相手に、ひと泡吹かせるつもりでいる。

(下薗昌記)

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