2024.04.26NTTリーグワン2023-24 第15節 神戸S vs 静岡BR-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1(リーグ戦)第15節 カンファレンスA
2024年4月27日(土)14:30 東大阪市花園ラグビー場 (大阪府)
コベルコ神戸スティーラーズ vs 静岡ブルーレヴズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

李承信は「12番、13番、15番でもプレーできる」。
見せたいのは、地に足をつけて成長した姿

コベルコ神戸スティーラーズの李承信選手。「自分たちのラグビーをして、『神戸は強かったんだ』ということを証明したいと思っています」

プレーオフトーナメント進出は叶わなかった5位・コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)。それでも、勝ち点3差で迫る8位・静岡ブルーレヴズを東大阪市花園ラグビー場に迎える今節はホストゲーム最終戦であり、今季磨き抜いてきたアグレッシブな“神戸ラグビー”を披露する最高の舞台だ。奮い立つ赤の雄姿を見届けたい一戦となる。

神戸Sの至宝、李承信。ここまで負傷交代した第8節以外はすべて先発フル出場を果たすなど、中心選手として激闘のど真ん中を駆けてきた。

定位置は司令塔と称される10番。ただ、今季当初は12番、第4節から13番にポジションを移し、前節からは15番へ。ランやキック、パスなど好判断を伴った高いラグビーセンスを誇る彼はその才能を随所にグラウンドで発揮しているが、本職と異なるポジションでのプレーをどう受け止めているのか。それは極めてポジティブなものだった。

「どこに入ったとしても、コミュニケーションを取って、自分たちがどういうラグビーをするのかはシーズンをとおして意識してきました。リーグワンという舞台で『12番、13番、15番でもプレーできるんだ』という自信にもつながりましたし、10番とはまた違った景色、考え方を経験できたのはすごく大きなことでした」

各方面から注目を集める若手プレーヤーの筆頭格だが、あくまで23歳という伸び盛りの世代。経験豊富なプレーヤーから学び、どん欲な姿勢を貫き、トレーニングや試合で経験値を積み上げる。「今季は個人にフォーカスしているところもあり、チーム内でそこまで発言できていないと思います。ベテランたちに頼ってしまった後悔がありますが、そこは学びでもあります」。収穫と反省、そのすべてが李というプレーヤーを大きく育てる貴重な財産だ。

「ファンの方たちは今シーズンをとおして熱い応援をしてくださいました。プレーオフトーナメントに出場できなかった悔しさは自分たちもファンの方々も強く思っていることだと思います。自分たちのラグビーをして、『神戸は強かったんだ』ということを証明したいと思っています」

チームも個人も地に足をつけて成長してきた。迎えるホストゲーム最終戦はそれを証明するための時間。李はチームメートと、ファンの希望を次につなげる。

(小野慶太)

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

チーム最高の5位フィニッシュへ。
肝が据わったオールラウンダーが引っ張る

「いまはどのチームも、ウチとやるのはすごくイヤだと思うんですよ」と話す、静岡ブルーレヴズの奥村翔選手

「いまはどのチームも、ウチとやるのはすごくイヤだと思うんですよ。来季に向けて(相手に)プレッシャーを掛ける意味でも、残り2試合は必ず勝って、5位で終わりたいです」

そう語ったのは、4月に入ってから本職のフルバックではなくスタンドオフでの出場が続いている奥村翔だ。「相手がイヤがる」と語った理由についてはこう続けた。

「スクラムが強いし、バックスにも展開力があって、内も外も止めにくいと思います。それに後半に入ってくるインパクトプレーヤー(控え選手)もすごく効いていると思います」

スクラムは静岡ブルーレヴズの伝統的な武器であり、今季はそれがより強力になっている印象がある。そしてバックスの展開力と交代選手の活躍は、今季から就任した藤井雄一郎監督の下で試合を重ねるに連れて伸びてきた部分だ。それらの要素が融合し始めた第10節からは、リーグワンではチーム最多の3連勝を含む5試合負けなしと結果にもつながっている。

直近2試合はどちらも31対31の引き分けという珍しい結果に終わり、残念ながらプレーオフトーナメント出場の可能性が消えてしまったが、今節で5位のコベルコ神戸スティーラーズに勝ち、最終節にも勝てば、ジャパンラグビー リーグワンでは最高位の5位に食い込める可能性は十分にある。それが実現すれば、チームにとっても選手にとっても「大きな自信になるし、来季につながると思います」と奥村は言う。

その奥村自身、今季は満足のいく出場数(7試合)ではないが、成長は実感できている。プレシーズンには7月から3カ月間フランスのスタッド・トゥールーザンにラグビー留学して多くのことを学び、開幕後はチーム事情もあって本職のフルバックよりもウイングでの出場が多くなり、試合によってはセンターも務めた。

そして前述のとおり、直近3試合では高校や大学時代にプレーしていたスタンドオフとして先発出場している。そうして複数のポジションを務めることで、自分の中で大きな気づきがあったと言う。

「フルバックとスタンドオフではプレーも視野も全然違いますし、最初は慣れるのに少し時間が掛かりました。でも、そのおかげで視野が広がりましたし、ゲームの展開や流れを考えたプレーも増えていると思います。15番のとき以上にフォワードと連係を取るとか、『この流れなら、次はこのサインでいこう』とか、より深く考えてラグビーをすることで、もっともっと良いプレーができることを、あらためて実感できています。ラグビーの奥深さを今まで以上に感じられ、スタンドオフをやらせてもらって本当に良かったですし、ほかのポジションをやっても応用ができると思います」

昨季は共同キャプテンを任されたことからも分かるように、次世代のリーダーとして期待される選手でもある。藤井監督も「いまのようにオールラウンドにできたらチームとしても良いオプションになるし、肝っ玉が据わっているのも彼の良いところ」と言う。

前節ではゴールキックも5本すべてを決めており、試合ごとにパフォーマンスを上げている。上位キラーぶりを発揮してチームと自身の成長を証明するためにも、奥村は肝が据わった強気のプレーを見せ続けてくれるはずだ。

(前島芳雄)

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