NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2（リーグ戦） 第2節
2023年12月16日（土）14:30 スピアーズえどりくフィールド（江戸川区陸上競技場） (東京都)
浦安D-Rocks vs 九州電力キューデンヴォルテクス
浦安D-Rocks（D2）
誰より悔やんだ前節の敗戦。小島佑太が多くの人からの応援を次は勝利に変える
16日は浦安D-Rocksにとってホストゲーム開幕戦。小島佑太選手は「多くのお客さんに来ていただけると思うので、勝利を届けて喜んでもらいたい」昨季は全勝でレギュラーシーズンを駆け抜けた浦安D-Rocks（以下、浦安DR）が、今季はリーグ開幕戦でディビジョン１からの降格組であるNECグリーンロケッツ東葛に敗戦。まさかの黒星スタートとなった。連敗は許されない今節は、ホストゲーム開幕戦。D3からの昇格組である九州電力キューデンヴォルテクスをスピアーズえどりくフィールド（江戸川区陸上競技場）に迎え撃つ。
前節の敗戦をひと際悔んでいる選手がいる。小島佑太だ。昨季の開幕戦と同じく4番の位置で先発した小島であったが、後半8分のプレーがハイタックルとされ、イエローカードの判定。10分間の一時退場を強いられた。
「（イエローカードは）社会人になってからは練習試合で一度あるかどうかくらいで、公式戦では初めてでした。ただ、顔と顔がぶつかるのはカード対象になるとは分かっていたことなので、そこにアジャストできなかったことを反省しないといけないですね」
それでも、小島の魅力は出た反省や課題を受け止め、次につなげようとする前向きさにある。「あの日はけっこうヘコみましたけど、多くの人から応援の声やメッセージをもらったので、切り替えて頑張っていきたい」と視線を上げ、ホストゲーム開幕戦に向けては「多くのお客さんに来ていただけると思うので、勝利を届けて喜んでもらいたい」。1週間前はお預けとなった歓喜を届けると力強く誓った。
ロックは大柄な外国籍選手がひしめく、フィジカル面が問われるポジション。本人も「中途半端な身長で大きくない」と笑うように、188cm/110kgのサイズは“小柄”に分類される。だからこそ小島は、地道に細かいことを何度も繰り返し実行する姿勢を大事にしている。
「派手なプレーヤーではないので、細かいことをしっかりとやって、回数を重ね、相手に捕まえられても少しでも前に出られるような献身的なプレーをしていきたいです」
柔和な笑顔が、ピッチに立ち、ホイッスルを聞けば、鋭い目つきに豹変する。小島の吠える回数が多ければ多いほど、それは浦安DRが勝利に近づいている証である。
（須賀大輔）
九州電力キューデンヴォルテクス（D2）
同じ大学、同じ学年で同じポジション。竹ノ内駿太が飯沼蓮との初対戦を前に考えていること
九州電力キューデンヴォルテクスの竹ノ内駿太キャプテン。対戦する浦安D-Rocksの飯沼蓮キャプテンとは明治大学で同学年・同ポジションのライバルとして切磋琢磨してきた仲、身長も同じ170cmだ開幕戦ではラストプレーでの逆転負けという悔しさを味わった九州電力キューデンヴォルテクス（以下、九州KV）。今節は今季初勝利を目指して、16日14時半からスピアーズえどりくフィールドで浦安D-Rocks（以下、浦安DR）戦に臨む。
「意識しないと言ったらウソになる」。この一戦を前にそう語るのは竹ノ内駿太だ。浦安DRには明治大学で4年間をともに過ごした飯沼蓮がいる。ともに明治大学に推薦入学し、ポジションも同じスクラムハーフ。2年生からレギュラーだった飯沼に対し、竹ノ内はその後塵を拝す立場だった。察するに複雑な心境もあっただろう。それでも、竹ノ内は当時を振り返り、それを否定する。
「ギスギスしていたことはなかったですよ（笑）。確かに3年生までは苦しかった。でも、自分が何をやるべきなのかを考えることができたし、それを学べた4年間だったので蓮にはすごく感謝している。選手としてタイプが違うので、『追い付いてみせる』というよりは自分のスタイルを成長させていければいいとマインドを変えられるようになりました。嫉妬心のまま、学年を上がっていたら僕のラグビーは終わっていたと思います」
頼もしい同級生はポジション争いにおいては強大なライバルだったが、自分に新しい視点を与えてくれた。「人間として成長させてもらった4年間だった。いまとなっては良い経験だったと振り返られる」。人は比較したがる生き物だが、ないものねだりは何も生み出さない。「自分は自分」、そう気づけたからこそ、竹ノ内のいまがある。
今季から4人の共同体制でのキャプテンの一人に就任した。「昨季はどちらかというと自分のプレーのことばかり考えていました。今季はチーム全体を見て、どういう方向に進ませないといけないのか。その上で高いスタンダードで自分のプレーもしないといけない。その両立の難しさを感じています」と意識の変化を話す。
浦安DRでキャプテンを務める飯沼については、「1年目からキャプテンをやっていて、すごい。ピッチに立ったら年齢は関係ないし、誰に対しても物怖じすることなく言える。彼が生活でもプレーでもやることやっているから周りも付いてきていると思います。リスペクトしているし、そこは参考にさせて“いただいています”」と、わざと敬語を用いて冗談めかした。ただ、その思いに偽りはない。
「どれだけ自分たちがやりたいラグビーを遂行できるかのほうが大事で、いまはそのことを一番に考えています。そのあとに大学の4年間一緒でポジションも同じ。苦楽をともにした人間と対戦相手としてまたラグビーができるということを楽しみにしています」
飯沼と勝負するわけではない。九州KVの一員として自分たちのラグビー、自分のプレーを実行し、勝利をつかみ取ることしか頭にはない。同級生との初対戦にどんな思いが芽生えるのか。試合前から意識することもない。それを確認するのは試合後でいい。
（杉山文宣）
