2024.02.22NTTリーグワン2023-24 第6節 九州KV vs GR東葛-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第6節
2024年2月24日(土)13:00 白波スタジアム (鹿児島県)
九州電力キューデンヴォルテクス vs NECグリーンロケッツ東葛

九州電力キューデンヴォルテクス(D2)

偉大な先輩と同じ立場になって気づけたこと。
この苦境は、成長のための試練

九州電力キューデンヴォルテクスのウォーカー アレックス拓也キャプテン。「キャプテンになったし、いろいろと変化の年だなと思っている。変化していく中でも芯をとおしていく。チームにもっと信用される選手になりたい」

約1カ月ぶりの試合となる九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)。シーズン折り返しの初戦となる今節は鹿児島県の白波スタジアムでの一戦。2月24日(土)13時、NECグリーンロケッツ東葛を相手にキックオフを迎える。

「人生で初めてのキャプテンだったので右も左も分からない状況でスタートしました」。そう話すのはウォーカー アレックス拓也だ。昨季に続き、今季も九州KVは4人の共同キャプテン制を敷く。年長者の高井迪郎がその中でも試合後の記者会見への登壇など“トップ格”として行動してきた。昨季の負傷の影響で高井が今季のスタートから離脱している状況下で、今季はウォーカーがその役を務めている。

そんなウォーカーが理想としたキャプテン像が、まさに高井だった。しかし、いざその重責を担ってみると自分の力不足を痛感する。

「最初は(高井)迪郎さんを目指しました。ラグビーIQが高くてすべてが的確だなと思っていたんですけど、途中で『迪郎さんみたいになるのは無理だな』って悟りました(笑)」

目指した壁の高さに気づかされたと同時に、「自分なりのキャプテン像」を考える契機となった。勝っているとき、チームは何もしなくても自然と良い方向へ動く。キャプテンの存在価値が問われるのはチームが苦しいときだ。そういう意味で前半戦を終えて1勝4敗という苦境は、ウォーカーにとって成長のための試練となっている。

「負けの中にも良い部分はあると思うし、僕は少しでも良いところを探したい性格。チームがフラストレーションを溜める中でも僕は『冷静になろう』と言えるような心構えでいることを意識しています」

19日に26歳の誕生日を迎えたウォーカーは「キャプテンになったし、いろいろと変化の年だなと思っている。変化していく中でも芯をとおしていく。チームにもっと信用される選手になりたい」と抱負を語った。

今節までの1カ月という準備期間、今村友基ヘッドコーチ代行は「もう3%の努力をしよう」と選手たちに求めてきた。勝利のための「もう3%の努力」。それを促す声をウォーカーはキャプテンとしてグラウンドに響かせる。

(杉山文宣)

NECグリーンロケッツ東葛(D2)

エースの不在を急成長のチャンスに

レメキ ロマノ ラヴァ キャプテンの不在がどう影響するか。今回、NECグリーンロケッツ東葛のゲームキャプテンを務める瀧澤直選手は「マノの不在をマイナスと考えるよりは、全員がどうプラスに持っていけるかがカギ」と話す

浦安D-Rocksと豊田自動織機シャトルズ愛知が、すでに行われた第6節の試合に勝利したことを受けて、NECグリーンロケッツ東葛(以下、GR東葛)もライバルチームに引き離されないためには勝ち続けるしかない。2月24日、白波スタジアムで開催される九州電力キューデンヴォルテクス(以下、九州KV)戦に、GR東葛は必勝を期して臨む。

ただ、今回の九州KV戦は、これまでの試合との決定的な違いがある。それはレメキ ロマノ ラヴァを出場停止で欠くことだ。

キャプテンであり、絶対的なエースの不在。本来であれば、それは非常事態と言うべきなのかもしれないが、瀧澤直は発想を転換させて現状をポジティブに捉えている。

「マノ(レメキ)はオールブラックスの選手にも引けを取らないすごいプレーヤーなので、そういう意味で言うと彼が出られない影響はあるとは思いますけど、ラグビーは15人のスポーツです。マノに代わってチャンスをもらう選手もいるし、マノの不在をマイナスと考えるよりは、全員がどうプラスに持っていけるかがカギになると思います」

ウェイン・ピヴァック ヘッドコーチが、現在の好調の一因に挙げるのが「チーム内の競争の激しさ」だ。中でもレメキが担うバックスリーは大激戦区。今節は、前節の日本製鉄釜石シーウェイブス戦で2トライの大活躍を見せたウイングの宮島裕之がフルバックを務め、今季初出場の児玉健太郎がウイングに入る。激しい競争を勝ち抜き、スタメンの座を勝ち取った選手のモチベーションは間違いなく高いはず。瀧澤も「マノが出られないことが一概にマイナスだとは限らない」と言う。

そして37歳の大ベテラン、瀧澤も今節の九州KV戦ではレメキに代わってキャプテンを務める。その意気込みを問うと、彼は笑顔でこう返した。

「僕は規律や、精神的なところに目を配れればいいかなと思っていますけど、それはキャプテンでも、キャプテンでなくても変わらないですね」

昨年のラグビーワールドカップ2023フランス大会において、日本代表の一人として出色のパフォーマンスを見せたレメキの活躍は記憶に新しい。その選手が欠場するのだから、影響は決して小さくはないだろう。だがその反面、選手一人ひとりが欠場の影響を補おうと奮起することは、必ずチーム力の向上を促す。

エースの不在はピンチではない。チームが急成長する大きなチャンスである。

(鈴木潤)

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