2024.03.28NTTリーグワン2023-24 第10節 S愛知 vs 釜石SW-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン2 第10節
2024年3月30日(土)12:00 パロマ瑞穂ラグビー場 (愛知県)
豊田自動織機シャトルズ愛知 vs 日本製鉄釜石シーウェイブス

豊田自動織機シャトルズ愛知(D2)

夢見るはS愛知の日本一。異色のコーチ兼通訳は日本語と英語を駆使し選手と同じ夢を追いかける

豊田自動織機シャトルズ愛知のコーチングコーディネーター兼通訳、安井拳氏。海外出身の選手も多く在籍するリーグワンにおいて、コーチが2カ国語を話せるというのはひとつのアドバンテージ

昨年12月に幕を開けたNTTジャパンラグビー リーグワン ディビジョン2もリーグ戦は今週末で最終節を迎える。ここまで勝ち点29を積み上げた豊田自動織機シャトルズ愛知(以下、S愛知)は、パロマ瑞穂ラグビー場で日本製鉄釜石シーウェイブスと対戦する。

S愛知の試合前のウォーミングアップを見ると、ひと際若いコーチがホイッスルを持ち、指示を飛ばしている姿がある。コーチングコーディネーターと通訳を兼務する安井拳は現在30歳。その経歴は少し特殊だ。

幼いころに3年ほどオーストラリアに住んでいたという安井。帰国後は大阪府で過ごし、ラグビーに初めて触れたのは中学生のときだった。その後、大阪桐蔭高校に進学し、主にフランカーを担当。転機を迎えたのは大学進学時だった。

「親が『海外の大学でチャレンジしてもいいよ』と言ってくれて、ラグビーが盛んで英語も勉強できるオーストラリアの大学に進学しました」

オーストラリアでもプレーしていたが、主な目的は勉強にあったため卒業と同時に選手は引退。帰国して1年間は家業を手伝っていたものの、先輩に誘われ5年前にS愛知の通訳としてチームに加わった。

「最初はフォワード担当の通訳でしたが、そのあとにバックスの担当になりました。そのときに徳野(洋一)ヘッドコーチから『通訳だけではなくて、コーチ業にもかかわってみたらどうだ』と声を掛けてもらって、それがコーチを始めるきっかけになりました」

学生時代はフォワードが主戦場で、バックスの経験はほとんどなく、社会人ラグビーでのキャリアも積んでいない中での一大チャレンジ。「難しいながらも、徳野さんやトゥシ(・ピシ)アシスタントコーチのサポートを得ながら、できることをやっています」。

バックスのユニット練習や全体練習時に、日本語と英語を織り交ぜながら指導を行う。通訳時代の経験を生かして、コーチ陣の考えや思いを真っすぐ選手に伝えられるようになったという。

そんな安井の夢は「このチームが日本一になる姿を見ること」。S愛知は選手だけでなく、コーチ陣をはじめとしたスタッフも同じ夢を描いている。

(齋藤弦)

日本製鉄釜石シーウェイブス(D2)

屈強なフランカーの原動力は
すっかりラグビーと釜石SWに虜の2歳の愛娘

「娘はベビーサイズのジャージーを着こなし、釜石SWのフラッグを振って応援するだけでなく──」と2歳の娘について語ってくれた日本製鉄釜石シーウェイブスのベンジャミン・ニーニー選手

3月30日、パロマ瑞穂ラグビー場で日本製鉄釜石シーウェイブス(以下、釜石SW)はリーグ戦最終節を迎える。相手は開幕戦で戦った豊田自動織機シャトルズ愛知。3位の強敵相手に結果を出し、順位決定戦に向けて上昇気流をつかみたい。

釜石SWは前節、レッドハリケーンズ大阪と対戦。ラストプレーで同点、コンバージョンゴールを決めれば劇的な逆転勝利かと思われたが、TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)の結果、直前のペナルティを取られノートライに。チームもスタンドも、天から地に落とされた、まさにジェットコースターのような幕切れとなった。

「最後はアンラッキーなことにノートライになってしまったけど、盛り返して終盤で勝てそうなところまでもっていけたことは誇りに感じています」

ベンジャミン・ニーニーは敗戦の悔しさの中に、一定の充実感を口にする。初の盛岡開催に集まった1,464人の観客もまた、最後に盛り返して勝利寸前まで追い上げたチームを誇りに感じたに違いない。

“ベン”の愛称で親しまれるベンジャミン・ニーニー。彼のモチベーションであり、癒しでもあるのが家族の存在だ。特に、間もなく2歳を迎える愛娘の話題になると、自然とパパの顔になる。

「ラグビーはフィジカル的に、子育てはメンタル的にタフ(笑)。でも、どちらも大変さ以上に自分に返ってくるものが大きいと思います」

これも血か、あるいは環境か。愛娘は2歳を待たずしてラグビーの虜になりつつある。

「娘はベビーサイズのジャージーを着こなし、釜石SWのフラッグを振って応援するだけでなく、チームメートの名前も数人覚えているほどです。3月のホストゲーム3連戦はすべて会場に来て応援してくれました」

かけがえのない家族の存在。これこそが屈強なフランカーを支える柱であり、モチベーションの源となっている。

(髙橋拓磨)

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