2024.05.04NTTリーグワン2023-24 第15節 日野RD vs 江東BS-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン3 第15節
2024年5月5日(日)14:30 武蔵野市立武蔵野陸上競技場 (東京都)
日野レッドドルフィンズ vs 清水建設江東ブルーシャークス

日野レッドドルフィンズ(D3)

「チームは誇りを取り戻した」。
無敗優勝でシーズンの集大成へ

日野レッドドルフィンズのローリー・アーノルド選手。「私たちはこの最後の試合を“決勝戦”と位置づけて取り組んできました。この試合で日野RDが持つ良い部分をしっかり認識し、昇格したあとも生かしていくことが重要」

日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)は5月5日(日)、武蔵野市立武蔵野陸上競技場でのホストゲームに清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)を迎え、最終節に臨む。ディビジョン3優勝の日野RD、そして2位の江東BS。両チームともにD2昇格を決めているが、来季の戦いも見据えると絶対に負けられない試合だ。特に日野RDは、無敗でのD3制覇がこの試合に懸かっている。

今季、“強い日野”を戦術的にも精神的にもまさに大黒柱として支えたのがローリー・アーノルドだ。オーストラリア代表でも大活躍した208cmの巨漢。常に最前線で体を張り、ラインアウトでも欠かせないターゲットパーソンとなり、モールではまさに中心となってトライ量産に貢献してきた。

アーノルド選手のポジションはロック。ラインアウトではジャンパーになることも多い

“世界を知る”ローリー・アーノルドから見ても、無敗でシーズンを終えることはめったにないことだという。

「私たちはこの最後の試合を“決勝戦”と位置づけて取り組んできました。この試合で日野RDが持つ良い部分をしっかり認識し、昇格したあとも生かしていくことが重要」と彼は話す。

出場辞退による昨季の苦しい時期にも、若手とともに乗り越えてきたローリー・アーノルドは「あらゆることにチャレンジできたシーズンだった」と今季を振り返る。そして、「まずはD2に復帰できたことがうれしい。いろいろと大変なことも多かったが、いるべき場所に戻り、チームは誇りを取り戻した。そして日野RDがいるべき場所はもっと上にある」と静かな口調で語った。

「アスリートとして成功したいのであれば、犠牲にするものがある。誰かと遊びにいきたい気持ちを抑えて練習に向かうとか、普段から食べ物も気を付けるとか、そういった部分です。そうしたアスリートとしての役割をこなした上で、だからこそできるプレーを思い切り楽しむこと。そのことを愛してやり抜くことができれば良いアスリートになれる、そう思います」

より強く愛されるチームに。ローリー・アーノルドはこれからも日野RDの若手に向けて世界で戦った経験、そしてプロとしての心構えをその大きな背中で教えてくれるだろう。

今季、チームが歩んできたものへの自信を、苑田右二ヘッドコーチはこう口にしている。

「この街の誇りとなるべく、『人もボールも動くエキサイティングなラグビー』に新チーム発足(新体制発表)から取り組んだわれわれにとって、チームの総合力が試される試合。最高のスターターと最強のフィニッシャー、合わせて23名がチーム全員の思いを背負って戦い、最後はみんなで笑って終わりたい」

ホストゲームで最高にエキサイティングな試合を見せ、無敗で“有終の美”を飾る。

それが、どんなに苦しいときでも支え続けてくれた、日野RDのファン・サポーターへ向けての、一番の恩返しだ。

(関谷智紀)

清水建設江東ブルーシャークス(D3)

同じ相手に3連敗は許されない。
示したい、“インストール”の成果

「ここで3連敗すると来季D2に上がったときにも影響が出てくる。絶対に勝たなければいけない相手」と語る清水建設江東ブルーシャークスの仁木啓裕監督

前節・中国電力レッドレグリオンズ戦は試合終了間際のラストワンプレーで逆転し、21対20の劇的勝利を果たした清水建設江東ブルーシャークス(以下、江東BS)。ルーキー3人が先発したゲームで結果を出せたことは大きかった。

「チームとしてやるべきことは、普段試合に出ていた選手以外のメンバーにも統一されていて、理解もしている。誰が出ても同じクオリティーを出せるようになっているのが、今季のチームの一つの強み」

仁木啓裕監督は選手層が厚くなっていることを評価していた。

リーグ最終節となる今節は、すでにディビジョン3優勝を決めている日野レッドドルフィンズ(以下、日野RD)との一戦に挑む。

「ここまでのリーグ戦で2連敗している相手との試合。ここで3連敗すると来季D2に上がったときにも影響が出てくる。絶対に勝たなければいけない相手。来季のつもりでしっかり臨んでいきたい」と、仁木監督は昇格を決めている2チームが対戦するこの試合の重要性を口にした。

今季、江東BSの選手が意識して貫いてきたことは、コーチから提示されたものを理解して体に落とし込む“インストール”の作業だ。日中の仕事の隙間時間を使って映像や資料を見て自身に取り込み、グラウンドでそれを体現する。こうして、練習の予習・復習を徹底してきた。“インストール”したものを一人ひとりズレることなく表現したことで、チームのディフェンスやセットピースの強化、戦術理解につながっていた。

選手は新しい戦術システムにも挑戦。それをブラッシュアップしながら進化することができた。選手たちも手ごたえを感じている。

そんな今季の締めくくりとなる今節。ディフェンス時のプレッシャーが速い相手に対して、どう攻撃していくか。また、ブレイクダウンもカギになると選手たちは話していた。セットピースの際に要となる、長身のローリー・アーノルド、アタックでリズムをつくるオーガスティン・プルの強みをいかに出させずに自分たちのラグビーができるか。

今季の集大成となり、そして来季D2での戦いのためにも重要な位置付けとなる最終節。前回対戦のリベンジの思いも乗せて、江東BSが武蔵野市立武蔵野陸上競技場に乗り込む。

(山村耀)

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