2024.05.17NTTリーグワン2023-24 D1/D2入替戦 第1戦 浦安DR vs 花園L-見どころ

NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1/D2入替戦 D1 12位 vs D2 1位 第1節
2024年5月18日(土)12:00 スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場) (東京都)
浦安D-Rocks vs 花園近鉄ライナーズ

浦安D-Rocks(D2)

「神様が与えてくれた」リベンジの機会。
2年分の喜怒哀楽のすべてを力に

浦安D-Rocksの飯沼蓮キャプテン(写真中央)は「もちろん自信はあります。すごく楽しみです。早く試合をやりたいですね」と語った

D1/D2入替戦で昨季と同じカードが実現する。悲願のディビジョン1昇格を誓う浦安D-Rocks(以下、浦安DR)は、花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)をホストゲームで迎え撃つ。

決戦2日前の練習場には、程よい緊張感とリラックスした選手たちの表情や声が入り混じる。穏やかに流れるその空気は普段と変わらなく感じた。レギュラーシーズン中と同じく、チーム全体での動きを共有したあとに、フォワード陣とバックス陣に分かれて連係を確認。それを終えれば、各々が自主練習に励むといういつもどおりの光景があった。

入念にボールを蹴り込み、居残り練習を終えた飯沼蓮は汗が滴る姿のまま、それでも落ち着き払った表情で言葉を紡ぎ始めた。

「相手も花園Lになり、リベンジするチャンスを神様が与えてくれたと思っています。昨季はみんなが悔しい思いをしましたし、人生のどん底でした。だからこそ、同じ相手にリベンジを果たして、D1に上がるのが一番いいシナリオ。レールは敷かれていると思うのであとはやるだけですね」

レギュラーシーズンを全勝で駆け抜けた昨季とは違い、今季は開幕戦でいきなり喫した黒星もあれば、勝利をつかむも内容には納得できないゲームもあった。それでも、いろいろな壁にぶつかるたびに全員で乗り越えてきた。

「昨季は最後に苦しい状況になり、そこでチームがバラバラになってしまいました。今季はシーズン中からうまくいかないことも多かったけど、そこでコネクトすることや一つになることなど、タイトな試合の中でも“チームとして”の部分を一番意識してやってきたので、昨季とは大きく違うと思います」

浦安DRからすれば、歴史は繰り返すものではなく、塗り替えるものである。「もちろん自信はあります。すごく楽しみです。早く試合をやりたいですね」。最後にそう力強く言い切ったその目は真っすぐで清々しかった。これ以上ない舞台は整った。この2シーズン、どんなときも先頭に立ち続けてきたキャプテン・飯沼蓮が、2年分の喜怒哀楽のすべてを力に変え、ネイビーに染まるスタジアムを歓喜で包み込む。

(須賀大輔)

花園近鉄ライナーズ(D1 カンファレンスB)

未来を左右する運命の一戦へ。
花園Lは「自分たちから攻める気持ちで」

花園近鉄ライナーズの野中翔平キャプテン(写真中央)は「選手の誰もが昨季のようにうまくいかないと思っています。相手が決死の覚悟で来るのは分かっていますから」と気を引き締める

運命のいたずらというべきだろうか。2年連続でD1/D2入替戦を戦う花園近鉄ライナーズ(以下、花園L)が、浦安D-Rocks(以下、浦安DR)と再び、相まみえる。

昨季のD1/D2入替戦では下馬評で不利と見られたはずの花園Lが2戦2勝。浦安DRの夢を打ち砕いた。今季もディビジョン2のレギュラーシーズンを首位で終えた浦安DRと、D1で最下位に終わった花園Lが同じ立ち位置で顔を合わせることになった。

「昨季よりもいい緊張感がありますし、選手の誰もが昨季のように(タフな試合内容を指して)うまくいかないと思っています。相手が決死の覚悟で来るのは分かっていますから」とキャプテンの野中翔平は大一番を前に、気を引き締める。

昨季同様、レギュラーシーズンで手にした勝利はわずか1勝にとどまったが、向井昭吾ヘッドコーチの下で積み上げてきたスタイルはチームの成長を示すものだった。

だからこそ、向井ヘッドコーチも言葉に力を込める。「得点する部分はある程度、上位チーム相手にも“ケンカが売れそうかな”というところまで来ています。D1に残留できれば来季はそれが発揮できると思っています。絶対にここは勝って、(D1に)残らないとダメな試合です」。

今回の入替戦は花園Lの未来を左右する今季最も重要な一戦となる。シーズン終盤に台頭してきた若い力の一人でもある河村謙尚は、この大一番でもスクラムハーフとして先発する。

「今季の集大成でもありますけど、チームには若い選手も多い。彼らにつないでいくためにも、この試合は通過点になります」(野中)

リベンジに燃える浦安DRの意気込みと地力は花園Lの誰もが理解している。

向井ヘッドコーチは戦術面や選手起用に関しても浦安DRを見据えて準備してきたが、日本代表を指揮した経験を持つ百戦錬磨の指揮官はあえて、メンタル面の重要性を口にする。

「ラグビーはここですよ、心だから」と自らの左胸を叩いたあと、「受けたらやられます。相手を受けないで、自分たちから攻める気持ちをキックオフから出したい」と攻めの姿勢を強調した。

昨季の入替戦を知る野中と、長いキャリアを通じて初めて入替戦を戦う向井ヘッドコーチ。二人は奇しくも同じ言葉を口にした。

「初戦が勝負」

“向井ライナーズ”の総決算をいまこそ示すときだ。

(下薗昌記)

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