2024.12.20[神戸S]「課題を武器に」取り組んできた24歳。磨いたスキルとハートでいざデビュー戦へ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第1節(リーグ戦) カンファレンスA
2024年12月21日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs コベルコ神戸スティーラーズ

コベルコ神戸スティーラーズ(D1 カンファレンスA)

「課題を武器に」取り組んできた24歳。
磨いたスキルとハートでいざデビュー戦へ

7番でリーグワンデビュー、コベルコ神戸スティーラーズの福西隼杜選手(中央)。ポジションはフランカー

コベルコ神戸スティーラーズ(以下、神戸S)は12月21日、ヤマハスタジアムに乗り込み、静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)との開幕戦に臨む。2年目を迎えた元オーストラリア代表の名将、デイブ・レニー ヘッドコーチ体制。新シーズンに大きなダイナミズムを呼び起こす、西の名門の今季初戦に注目だ。

「まったく確信的なものはなかったです。選んでいただいて、すごくうれしいな、っていうのが率直な気持ちですね」

優しい語り口。穏やかな佇まい。開幕戦を前に屈託のない心境を伝えたのは福西隼杜だ。月曜日のチームミーティングで知らされたという開幕スタメン。今節の7番はリーグワンデビュー戦を迎える。

兵庫県宝塚市出身。同県の伊丹ラグビースクールを経て報徳学園高校に進み、京都産業大学へ。2023年にアーリーエントリーとして神戸Sの門を叩いたが、ここまでリーグワンでの出場は実現せず。23年のワールドラグビー年間最優秀選手であるアーディ・サベア(現モアナ・パシフィカ)が在籍した昨季、そして今季もまた、バックローには実力派がそろう。それでも日々の練習と真摯に向き合い、開幕を迎えるまでの期間、「課題を武器に」変える挑戦を続けてきた。

「ずっと言われていた課題を克服できて武器になった部分もある。タックルには自信をもっていたんですが、タックルしたあとの動き、ジャッカルに入るところやブレイクダウンを遅らせる動きは僕の中にはなかった。その部分を結構、克服できたと思う」

今季は神戸Sにとって特別なシーズンともなる。来年1月17日は阪神・淡路大震災からちょうど30年の節目。「僕の両親も震災を経験していて、話も聞いています。いまラグビーができているのは当たり前のことではないと思いますし、すべての環境に感謝してラグビーも私生活も取り組みたいと思っています」。神戸Sが宿す大切なメンタリティーは福西にとっても同じことだ。

人柄の良さをにじませるフランカーだが、そこはやはり、し烈な競争と向き合うプレーヤー。「昨季で言えば、アーディ(サベア)みたいになれたら試合にも出られるわけです。すごく参考にしていたというか、見させてもらっていました」。実力派たちとの練習を通じて磨いたスキルとハートがある。球際ひとつから執着する持ち前の泥臭さをひっさげて、24歳は堂々とデビュー戦のフィールドに立つ。

(小野慶太)

2024.12.20[静岡BR]頼もしいキャプテンの帰還。苦境を乗り越えたクワッガ・スミスが違いを生み出す

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第1節(リーグ戦) カンファレンスA
2024年12月21日(土)14:00 ヤマハスタジアム (静岡県)
静岡ブルーレヴズ vs コベルコ神戸スティーラーズ

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

頼もしいキャプテンの帰還。苦境を乗り越えた
クワッガ・スミスが違いを生み出す

クワッガ・スミス キャプテン。「彼が1人、入るだけでチームが全然違う」と藤井監督も信頼を寄せる

リーグワンになって初めてヤマハスタジアムでのホストゲームで開幕を迎える静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。今季は「選手層が厚くなって、個人もすごく成長しているので、チームとしてかなり仕上がってきています」(藤井雄一郎監督)と良い手ごたえを感じながら準備を進めてきた。

頼もしいキャプテンが帰ってきたことも大きい。今年1月に負傷して長期離脱していた南アフリカ代表のクワッガ・スミスが、完全復活して11カ月ぶりにリーグワンで先発出場する見込みだ。

この秋にはすでに南アフリカ代表の試合に出場して高いパフォーマンスを見せており、本人もケガの影響は「まったくないし、体の状態はすごく良い」と胸を張る。その上で「ホームでのひさしぶりの試合なので、すごくワクワクしています」と笑顔を見せた。

藤井監督も「彼が1人、入るだけでチームが全然違う」と存在感の大きさを認めており、今季からバイスキャプテンとなった家村健太も次のように証言する。

「彼がグラウンドに立つだけで何かしてくれるという絶対的な信頼感は日本人も外国人選手も全員が持っています。それと、彼がいるとボールを取り返せることが一番大きいと思います。クワッガ(・スミス)はジャッカルとか、ボールを引き抜くスキルがあるので、そこから攻撃につなげられるのは本当に大きいです」

昨年のラグビーワールドカップ2023フランス大会でターンオーバー数1位に輝いたクワッガ・スミスは、世界的なジャッカルの名手として知られており、静岡BRでも彼がボールを奪ったところから得点につながるシーンは非常に多い。ジャッカルを警戒して相手の球出しが遅れる、ペナルティにつながる場面も多く、「相手にはかなりプレッシャーになると思います」(家村)という効果もある。

今回の負傷(右足の長内転筋腱断裂/全治約5カ月)は、クワッガ・スミスのラグビーキャリアでも最長の休養となり、「手術も初めて」の経験だったと言う。

「タフな時間だからこそ、いろいろなことが試される。その中で今までの自分に戻すという気持ちを強く持ってハードワークできたと思いますし、苦しい中で得るものもあったと思います」(クワッガ・スミス)

もともとタフで経験豊富な選手が、苦境を乗り越え、よりタフになって帰ってきた。

「今季はすごく良いチームができているので、コベルコ神戸スティーラーズに勝って良いスタートにしたい」という彼の思いが現実になることも、大いに期待していいのではないだろうか。

(前島芳雄)

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