2025.01.02[静岡BR]「発展途上」は伸びシロの裏返し。あらゆる助言を胸に、ルーキーは強気に攻め続ける

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスA
2025年1月4日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
三菱重工相模原ダイナボアーズ vs 静岡ブルーレヴズ

静岡ブルーレヴズ(D1 カンファレンスA)

強みが全部弱みになっている、という藤井監督の言葉で覚醒したか、ルーキーの北村瞬太郎選手

開幕2連勝で2位と好スタートを切った静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)。2試合の内容を見ても、まさにチーム全員の力でつかんだ成果と言え、選手たちの士気も非常に高くなっている。そんな躍進の原動力として新戦力の活躍もあるが、日本人ルーキーの中で特に強い輝きを放っているのが、北村瞬太郎だ。

昨年、立命館大学を卒業する際には、同年代でトップのスクラムハーフとも言われた北村だが、アーリーエントリーで合流した昨季の静岡BRではそのプレーが通用せず、出場機会は得られなかった。本人も「圧倒的なレベルの差を感じて、悔しいというより不甲斐ないというか、完全に鼻をへし折られた感じでした」と振り返る。

その中で特に強く響いたのは「藤井(雄一郎)監督から『ランや強気なプレー、お前の強みは分かっているけど、いまは逆にそれが全部弱みになっている』と言われたことですね」と北村は振り返る。チーム内でも屈指のスプリント力をもち、自ら運んでトライも取れるところや、相手を恐れず強気にしかけていけるのは北村の大きな武器だが、リーグワンのレベルでは、そのランを止められてターンオーバーされることのほうが多く、彼の強みが裏目に出てしまったのだ。

ただ、北村が並のルーキーと異なるのは、そこで自信を失うのではなく、自分の足りないところを素直に受け止めた上で1年間地道に改善を進めてきたことだ。現役時代は彼と似たタイプの選手だった矢富勇毅アシスタントコーチの存在も非常に大きい。「矢富さんはけがしたときに僕と同じことに気付いたそうで、『お前にはそうなって欲しくないから』と言ってくれて、“自分が、自分が”ではなくて、速いテンポでゲームを作るという役割を第一に考えようと。それでパスと周りを見る力という部分をひたすら磨いた1年でした」と言う。

その努力が今季の開幕戦で実を結ぶ。途中出場ながら初キャップをつかみ、前節・浦安D-Rocks戦では初先発で速い攻撃をリード。大量得点を生み出し、自身もリーグワン初トライを決めた。そのトライは、突破した味方のサポートに忠実に走っていって最後にパスを受けて飛び込んだ形。彼のスピードと献身性が存分に生かされたトライだった。

藤井監督は「まだミスも多いけど、そういう経験を積みながら成長していくと思います」と期待を寄せ、北村自身も「まだまだ発展途上です」と上だけを見ている。

自分が目立つことよりも周囲を生かすことを第一に考えるようになったが、「強気の姿勢は失いたくないです」と語る超攻撃的スクラムハーフ。今季をとおして北村がどれだけ成長していくのか、ぜひ注目し続けてほしい。

(前島芳雄)

2025.01.02[相模原DB]最高のお手本を横に日々、成長。地元生え抜きの星は、その歩みを止めない

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第3節(リーグ戦) カンファレンスA
2025年1月4日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
三菱重工相模原ダイナボアーズ vs 静岡ブルーレヴズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

前節ではインターセプトから70m独走トライの小泉怜史選手。今節のプレーにも期待がかかる

2025年の幕開けとなる一戦。三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)は1月4日、秩父宮ラグビー場で静岡ブルーレヴズと相まみえる。

相模原DBは前節、東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)に8対61の大敗。強じんなフィジカルで攻守の要となるエピネリ ・ウルイヴァイティがレッドカードを受け、ディフェンスの連係で課題を残した。その中、中6日のショートウィークで迎える今節は、過去ディビジョン1での対戦成績が1勝1分1敗の相手に、どんな対応力を見せるのかに注目したい。

BL東京戦で唯一のトライを挙げたのが小泉怜史である。鋭い飛び出しでリッチー・モウンガのパスをインターセプトして約70mを独走した。ジョネ・ナイカブラと対峙し、「今までに味わったことのない経験」をしたというが、「やられてしまうことが多くありましたが、こうやってプレーすれば良かったという課題が分かりました。対策を練習します」と前を向く。

小泉にとっては加入してから今季で3季目となる。今季はカートリー・アレンゼが加わり、選手層が厚くなったバックスリーの中でも開幕から3試合連続の先発を果たし、得意の左足キックを生かせる左ウイングのポジションを確保しつつある。

大晦日のグラウンドで、アレンゼと個人練習をしていた小泉はこう話す。

「同じバックスリーということもありますが、アレンゼから多くのことを吸収したいので、一緒に個人練習をしています。ラグビーの考え方や練習の仕方を教えてもらいつつ、日本の生活について(相談を)聞いたりしています。リアクションのスピードにこだわって練習する彼の姿に、世界的レベルで戦うために必要なことや南アフリカ代表が強い理由を垣間見ています」

小泉は、相模原ラグビースクールから早稲田実業学校高等部、早稲田大学を経て相模原DBに加入した。今季はその早稲田大学が関東大学対抗戦で全勝優勝。自身の世代では成し遂げられなかった『荒ぶる』(大学日本一になったときだけ歌うことができる早稲田大学ラグビー部伝統の歌)を目指す後輩にエールを送り、「ダイナボアーズが好成績を収めれば、後輩たちの(進路の)選択肢に入ると思います。そのためにも頑張ります」と意気込みを見せる。

地元生え抜きの期待の星は、これからも成長の歩みを止めない。

(宮本隆介)

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