2025.01.10[埼玉WK]ラグビーの本場での経験を糧に。リーグ制覇へ「自分のタスクを果たす」

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第4節(リーグ戦) カンファレンスB
2025年1月12日(日)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 三重ホンダヒート

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

竹山晃暉選手。「自分は7年目になるので、攻守の両面でいろんなプレーができるところを見せて、チームをけん引していきたい」

埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)の竹山晃暉が開幕から3試合連続でスタメン出場し、攻守に高いワークレートを発揮している。オフにオーストラリア留学を経験したプロ7年目の中堅プレーヤーは、今季を飛躍のシーズンにするため全身全霊で戦っていく。

見せ場を作ったのは第3節リコーブラックラムズ東京戦の前半11分だった。序盤に相手の流れになった状況で、山沢京平が敵陣オープンサイド深くにキックで展開。竹山はボールを猛然とチェイスし、相手のキャッチミスを誘うと、敵陣に転がるボールをそのまま抑えて今季初トライを決めてみせた。

「相手のミスもあったが、うまく落下地点に走り込むことができていた。開幕二戦までなかなかトライが取れていなかったので、素直にうれしい」

オフシーズンにはチームの支援によってオーストラリア・キャンベラに3カ月間のラグビー留学。ラグビーの本場のムードと文化を肌で感じた竹山は「毎日が充実していてあっという間の時間だった。最後は所属チームの仲間からも信頼してもらって『チームに残ってほしい』とも言ってもらえた。チャンスを与えてくれたワイルドナイツには感謝しかない」と振り返る。

英語でのコミュニケーションも手ごたえがあった。埼玉WKは、多くの外国籍選手が在籍するインターナショナルなクラブ。普段の練習からグラウンドにはスラング混じりの英語が飛び交うが、その経験が留学でも生きたという。竹山は「思った以上にコミュニケーションがとれて語学への意識も高まった。帰国後も、仲間のプレーをより深く理解するため英会話スクールを受講していた」と明かす。

アタックだけではなく広いエリアにアンテナを立てながら守備のバランスも保っている。「自分は7年目になるので、攻守の両面でいろんなプレーができるところを見せて、チームをけん引していきたいと考えている。マリカ(・コロインベテ)が戻ってくればチーム内競争がさらに激しくなるが、攻守の両面で自分のタスクを果たしていく」

竹山はリーグワン第4節・三重ホンダヒート戦のスタメンに開幕から4戦連続で名を連ねた。大相撲出身の父譲りの強靭なフィジカル、ラグビーへの飽くなき探究心を備えた男は、トライを重ねた先にあるリーグ制覇を成し遂げるために、熊谷スポーツ文化公園ラグビー場のフィールドに立ち続ける。

(伊藤 寿学)

2025.01.10[三重H]小林亮太が語る躍進の要因。 成長と勢いを証明する戦いへ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第4節(リーグ戦) カンファレンスB
2025年1月12日(日)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 三重ホンダヒート

三重ホンダヒート(D1 カンファレンスB)

小林亮太選手。「少しマヌケに見えることもあるかもしれないですが、ミスを恐れずにチャレンジする。それが僕らしさだと思うんです」

2勝1敗で5位につける三重ホンダヒート(以下、三重H)は、1月12日に首位・埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)とのビジターゲームに挑む。

昨季の三重Hは開幕から3試合で189失点を喫したものの、今季はその半分以下となる70失点に抑えており、ディフェンス面の改善が顕著だ。

「昨季の僕たちはリーグワンで一番失点が多いチームでした。なので、今季の開幕に向けてディフェンスの重要性に取り組み続けてきました」と答えたのは、三重Hで11年目を迎えたベテランの小林亮太だ。「今季はマリウス・フーセン(ディフェンスコーチ)が最初からいてくれたのも大きいです。『守り切ることができなければ、目標であるトップ6には絶対に行けない』と常日頃言い続けてくれたので、自然とレベルアップしていきました」と語る。

さらに、今季の三重Hが見せているもう一つの強みは後半の追い上げ。第1節と第2節ではともに終盤の得点で逆転勝利を収めており、前節も敗れはしたが二つのトライで一時はスコアをひっくり返した。途中出場の選手が常に良いパフォーマンスを見せており、ベンチを含めた総合力が印象的だ。

その要因について、小林はこう説明する。「僕たちは『ディテール』と呼んでいますが、細かい部分をみんなで共有できています。試合の準備をするにあたって『この選手が途中から入ったらどんなポジションを取るか、どんな役割になるのか』を、選手間で自発的に対話して理解しています」

小林は前節のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ戦で後半から出場し、すぐに素晴らしいトライを決めて反撃の口火を切った。まさにチームの総合力によるプレーと言えるものだった。

「特に器用な選手ではないですし、目の前のことを100%やろうとしました。僕はあまりベテランっぽくないので(笑)、ずっと若手のつもりでチームに勢いをもたらせるように意識しています」

33歳になった小林だが、年齢を重ねても情熱的なスタイルは不変。グラウンド上でのパフォーマンスも向上を続けており、「毎シーズンが全盛期」と言われるほどだ。

「人は年を取ると落ち着いてくるというか、カッコつけるようになるというか……。でも、それは自分らしくないと思っています。少しマヌケに見えることもあるかもしれないですが、ミスを恐れずにチャレンジする。それが僕らしさだと思うんです」

埼玉WKは、開幕からここまで3連勝で首位に立っているチーム。三重Hが勝利を手にするためには、プレシーズンから磨き上げてきたディフェンスと、接戦をものにする終盤の粘りを最大限に発揮しなければならない。小林は白星への道筋をこう予想する。「守備をしっかりやることだけではなく、キックとエリアの取り方でできるだけ敵陣に入ることですね。ハードワークして、これまでのように接戦に持ち込めたら僕たちの試合になるのかなと思います」。

大きな変化を遂げた三重Hにとって、今週末は真価が問われる決戦。埼玉WKに勝つことができれば、その成長と勢いが「本物」だと証明できるはずだ。

(籠信明)

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