2025.01.31[浦安DR]5連敗から何を得られるか。待望の勝利は信じてやり切った先に

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第6節(交流戦)
2025年2月1日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 浦安D-Rocks

浦安D-Rocks(D1 カンファレンスA)

14番で先発する石井魁選手。「5連敗を引きずっても何も変わらないし、一番重要なのはそこから何を得られるか」

ディビジョン1での初勝利に飢える浦安D-Rocks(以下、浦安DR)の今節は、熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に乗り込んで、D1で唯一開幕から全勝中の埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)との一戦に挑む。

クラブ史上初のD1でのシーズンが、タフな戦いになることは全員が覚悟していた。結果は開幕から5戦全敗。浦安DRは悔しさまみれの時間を過ごしている。

それでは、いまのチームの状態や雰囲気はどうか。前節・コベルコ神戸スティーラーズ戦で復帰し、いきなり2トライを挙げた石井魁の言葉に現状が詰まっている気がする。

「『ようやくD1に来たな』という感じですよ」

誰もが勝てていないことには悔しさを抱きながらも、チームを包むのは、D1で戦えている喜びや“次こそは──”という意欲。「簡単じゃないですね」。選手たちだけでなく、チームに関わる人たちは悔しさをにじませるが、そう言いながらも全員がいい顔をしている。それこそが、リーグワンのトップカテゴリーを戦っている証である。真っすぐな目で石井はチームの思いを代弁する。

「自分たちの思い描いた形にはなっていないけど、強度やフィジカルなど、いろいろとD1に慣れてきたところだと思います。うまくいかなかった中にもいい感触はあるし、修正ポイントは明確になってきているので、それをここからの試合でどう発揮していけるかがカギですね」

開幕してから1カ月と少し、敗戦の中にも1試合を終えるごとに選手たちは手ごたえを見出してきた。いまは、そのそれぞれの手ごたえをチームとして一つにして、勝利の確率を上げていく段階といったところだろうか。

「5連敗を引きずっても何も変わらないし、一番重要なのはそこから何を得られるか。自分たちのやるべきこと、やろうとしているラグビーは何も変わっていないので、グラウンドに立った一人ひとりが自分の役割を全うしてやり切れるかが問われていると思います」

5連敗はすでに過去のことである。振り返っても何も返ってこない。「(バイウィークを挟んで)一人ひとりが考えたり向き合ったりする時間もでき、心身ともにいい状態でもう一度集まれました。ここから次の5試合はすごく大切です。自分たちの目指すラグビーを表現し切れれば、間違いなく結果は付いてくると思います」(石井)。相手の埼玉WKに不足はなし。待望の勝利は、信じてやり切った先に待っている。

(須賀大輔)

2025.01.31[埼玉WK]仲間もどよめくワールドクラスのプレー。予感漂う、新スターの誕生

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第6節(交流戦)
2025年2月1日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 浦安D-Rocks

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

新加入のトム・パートン選手。「世界的な選手が集まり、急激にレベルアップしているリーグワンで自分の力を試したかった」

昨年12月末、埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)に電撃加入した元イングランドU20代表のトム・パートン。来日から1カ月、圧倒的なスピードを誇る快速バックスがリーグワンデビュー戦となる第6節の浦安D-Rocks戦でそのベールを脱ぐ。

1月30日に発表された浦安D-Rocks戦のスタメンにトム・パートンの名が入った。同日のトレーニングではレギュラー組の最後尾で虎視眈々と戦況を見つめ、いざパスを受けるとワールドクラスのスピードと軽快なフットワークで次々とラインブレイク。そのプレーには、練習見学していたファンのみならずチームメートからもどよめきが起こった。

イギリス・オックスフォード出身の26歳。ロンドン・アイリッシュ、サラセンズでプレーしプレミアシップでもキャリアを積み上げると、今季はリーグワンへの挑戦を決断した。「いろいろな国のラグビー、そして文化を学ぶことが将来的に自分の財産になると思った。世界的な選手が集まり、急激にレベルアップしているリーグワンで自分の力を試したかった。自分のスピードとバックスとしての動きを見てほしい」。

イングランドから見ればイーストエンドにあたる日本には初来日。景色、文化、食事などすべてが新鮮で刺激的だという。「熊谷の素晴らしい環境、ワイルドナイツというクラブでプレーできることを誇りに思う。日本に来て驚いたこと? うーん、レストランに配膳ロボットがいることだね(笑)」。

12月29日に来日して年明けから本格始動。埼玉WKのラグビーをインストールし1月中旬の強化試合で実戦デビューすると、いきなり名刺代わりの2トライを決めて能力の高さを見せつけた。日本代表の山沢拓也が第3節以降欠場していることもあり、今節出番が巡ってきた。

「来日にあたってはコンディションをシャープに維持することだけを考えて準備してきた。ロビー・ディーンズ監督やマリカ(・コロインベテ)から埼玉WKの規律や伝統を教えてもらっている。また(山沢)京平も親切にしてくれて、いろいろなことを伝えてくれている。チームは2年連続準優勝と聞いたが、実際に来てみて優勝に向けてハングリーな姿勢で努力しているのを感じている。新しいチームメートと一緒にグラウンドに出て、多くのファンの前で試合ができるのを楽しみにしている」

新加入のパートンの存在と規格外のスピードが、王座奪還のラストピースになるだろう。今節の観客は、埼玉WKに新たなスターが生まれる瞬間に立ち会うことになるかもしれない。

(伊藤寿学)


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