2025.02.20[BR東京]322日ぶりの出場へ。変化のきっかけは早朝30分の基礎練習

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2025年2月22日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs 東芝ブレイブルーパス東京

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

長いトンネルを抜けた山本昌太選手。22日の試合はリザーブでメンバー入り

勝ち点を10に伸ばし迎える第9節。リコーブラックラムズ東京は、昨年度王者・東芝ブレイブルーパス東京との戦いに挑む。

リザーブに、昨季まで共同バイスキャプテンを務めていた男の名が戻ってきた。

山本昌太。

気付けば、ロトアヘア アマナキ大洋とともにバックス陣最年長選手になったベテランスクラムハーフは、火曜日の練習終わり、自主練習に打ち込む仲間を見ながら、ひとつに収まり切らぬ種類の表情を浮かべつぶやいた。
「体はラグビーをできる状態なのに、こんなにも長いことゲームタイムをもらえないことが初めてでした」

開幕の1カ月ほど前、全治数週間のけがを負った。負傷自体はすぐに治ったが、しかし開幕直前の練習離脱は、今季新たなヘッドコーチを迎えたチームにとって大きな出遅れとなった。

開幕から8試合連続のメンバー外。これまでに経験したことのない感情が湧き出た。

「メンバーだろうがメンバー外だろうが、やることは変わらないと頭では分かっています。それでもどこかモヤモヤする日々。そのころのパフォーマンスを動画で振り返っても、プレーが全然違いました」

切り替えるきっかけをくれたのは、同じポジションのTJ・ペレナラだった。ペレナラが独自に行う『スクラムハーフ向けパスセッション』に参加しないか、と声が掛かったのだ。

「基本的なパスをさまざまなバリエーションで投げる、30分ほどの基礎練習です」

週に3度、世界的な捌き手とともに早朝練習を続けるうちに、山本昌太の心の向きは少しずつ変わっていった。

一人のラグビー選手として、そして年齢を重ねた選手として。

「ずっと試合に出ていた選手が、あるタイミングで試合に出られなくなったときに『どういう態度で練習をするのか』を、若い選手たちは見ているんじゃないかなと思うようになりました」

試合に出る・出ないは関係ないのだ、と気が付いた。

322日ぶりのメンバー入りを果たした今節、出場すれば通算90キャップ目となる。

いまだからこそできるプレーを見せたい。

「試合メンバーから離れた経験、そのときに感じた思いを(乗せて)、チームのために思い切ってプレーしたいと思います」

ノンメンバーとこれほど長く時間をともにしたことも、これまではなかった。出場機会を得られずにいる若手選手たちから、大きな刺激を受けた2カ月。

いま、山本昌太は「チームのため」にジャージーを着る。

(原田友莉子)


2025.02.20[BL東京]“小さな勝利”が、試合の1勝を生む。フォーカスするのは『スモール・ウィン』

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2025年2月22日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
リコーブラックラムズ東京 vs 東芝ブレイブルーパス東京

東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

德永祥尭選手。「チームはすごく良い状態です」

ディビジョン1で2位につける東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は2月22日、秩父宮ラグビー場で同11位のリコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)と対戦する。

午前9時過ぎ、冷たく強い風が吹くグラウンドに男たちの声が響く。BL東京の練習はウォーミングアップから元気いっぱいだ。

その後のメニューでも良いプレーには称賛の声が飛び、ミスがあれば修正点を確認。寒さに負けず、ポジティブな空気感で練習が行われた。

BR東京戦にフランカーで先発出場する德永祥尭は「練習を見てもらったので分かると思うのですが、チームはすごく良い状態です」と胸を張った。

7人制と15人制で日本代表を経験し、オールラウンドな能力が光る德永は、前節の東京サントリーサンゴリアス戦で前半8分に力強さを発揮してトライ。シャノン・フリゼルのHIA(脳振盪のチェック)による緊急出場だったが、冷静に自らの仕事を遂行した。

2020年からの4シーズンで共同キャプテンを務めた32歳は、今節のBR東京戦に向けて「スモール・ウィン(小さな勝利)」が大切だと語る。

「今週のフォーカスは『スモール・ウィン』。細かいところを勝っていけば、最終的に大きな勝利につながる、ということを意識しています。相手の6、7、8番はスティール(ジャッカル)が上手なので、そこで彼らの仕事をさせないという『スモール・ウィン』を積み重ねることが自分たちの勝利へのカギだと思います」

80分間の試合の中で、まずは一つのプレーに勝つことに集中する。その姿勢はシーズンについても同じで、チャンピオンチームとして連覇を意識するよりも「1試合、1試合を勝っていくことが大事」と、先を見ずにBR東京戦に集中している。

今季のリーグワンはタフな試合が続くが、「楽しくラグビーができているのが自分にとって良いのかなと思います」と穏やかに笑った德永。頼りになる万能選手は目の前の1試合、目の前のワンプレーに没頭し、チームのために小さな勝利を積み重ねる。

(安実剛士)


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