2025.02.20[相模原DB]大ベテランから若手へ。受け継がれるチームのDNA

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2025年2月22日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

期待の若手、右プロップのシンクル寛造選手

前節は土壇場で逆転負けを喫した三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)が、中5日のショートウィークで埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)のホストスタジアムである熊谷スポーツ文化公園ラグビー場に乗り込む。

これまでの試合で敗戦からの切り替えの良さを見せてきた相模原DBが、現在首位の強敵に対しても平常心で挑み、自分たちのスタンダードを発揮できるか。ディビジョン1最年長でリーグ戦通算150キャップまであと2試合に迫る百戦錬磨の安江祥光は「チャンスは十分にあると思います。相手を大きく見過ぎる必要はなくて、アタックで抜けなくてもディフェンスを崩されても、自分たちのストラクチャーを信じてやり続けることが大事です」と力を込める。

安江が目を掛けているのが、同じフロントローで2年目のシンクル寛造だ。シーズン序盤は出番が回ってこなかったが、ここ2試合は先発出場してスクラムの立て直しに貢献。埼玉WK戦でも先発メンバーに加わる。

ニュージーランド人の父と日本人の母を持つシンクルはニュージーランドで生まれ、札幌で英語教室を営む家庭で育った。中学時代は再びニュージーランドで過ごしたことで、英語と日本語ともに流暢に使いこなす。ラグビーは「ニュージーランド人の血を引くから」という理由で札幌にいた小学生時代、ラグビースクールに入ったという。恵まれた体格を生かしてフォワード一筋、高校時代には高校日本代表にも選ばれた。

プロの世界に進んだシンクルは「“プレーの一貫性”という点については、かなりできるようになったと思います」と自分の成長を口にする。特に第7節・トヨタヴェルブリッツ戦の勝利は自信につながったようだ。

「うまくいかなかったスクラムをしっかり修正して試合に臨み、安定させることができました。(スクラムを担当するアシスタントコーチの)ベン・フランクスから『自分の体が大きいぶんだけ、一つひとつの動きを堂々とやるように』とアドバイスを受けたことも大きかったです」

シンクルには、コーチや経験豊富な選手からのアドバイスをしっかりと吸収して身に付けようとする前向きな姿勢がある。

安江は「(シンクルは)口数が多いタイプではありませんが、指摘すると自分自身を見つめ直してチャレンジします。努力もあって、ぐっと伸びてきています。持っている体の大きさも才能で、その使い方や経験が積み重なるともっといい選手になると思います。その姿を見ると、自分がここにいる意味も感じます」と目を細める。

埼玉WK戦に向けて、シンクルは気負うことなく、「タックルとスクラムで、やらなければいけないことは明確。しっかりと(頭に)詰めて試合に臨みます」と口にした。

こうしてチームのDNAは次世代に引き継がれ、さらに発展を遂げるだろう。

(宮本隆介)

2025.02.20[埼玉WK]大胆不敵、勇往邁進。“熊谷流儀”のフットボールマシーン

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第9節(交流戦)
2025年2月22日(土)14:30 熊谷スポーツ文化公園ラグビー場 (埼玉県)
埼玉パナソニックワイルドナイツ vs 三菱重工相模原ダイナボアーズ

埼玉パナソニックワイルドナイツ(D1 カンファレンスB)

今季ここまで16本のペナルティゴールをすべて成功させている山沢京平選手

秩父宮ラグビー場にどよめきが起こったのは、前節の横浜キヤノンイーグルス戦の前半終了間際、ペナルティゴールのシーンだった。

22対24のビハインド。埼玉パナソニックワイルドナイツ(以下、埼玉WK)はハーフウェイライン付近でペナルティを獲得すると、迷わずショットを選択。キッカーはもちろん山沢京平だ。今季すべての試合で10番を背負う若大将はじっくりと時間を使いながら50m近い距離を低弾道で豪快に蹴り込んだ。まさに規格外のキック。目の肥えたラグビーファンをうならせる衝撃のショットだった。

試合後、坂手淳史キャプテンは「『どうする?』と聞いたら『行けます』と自信をみせてくれたので、任せた。京平のキックがゲームのターニングポイントだったと思う」と目を細めた。

今季のペナルティゴール成功率は100%。16回蹴ってミスが一度もない。ディビジョン1で2位の103点をマークし、自慢のキックで98点を荒稼ぎしている。大胆不敵。難しい角度でも臆することなく、山沢京平は堂々とキックを決めていく。

「特に意識はしていないですが、キックは得意な分野だと思います。こだわりや、コツは説明できませんが、小さいころからサッカーをやっていたので普通に蹴っているイメージです」

幼少期からサッカーに親しみ、小学校、中学校まで強豪のクラブチームであるクマガヤSCでプレー。ポジションはフォワードで、豪快なゴールを決めていたという。一方で、中学の部活はラグビー部に所属していたことから最終的に高校ではラグビーを選択した。昨季までは主にフルバックでプレーしていたが、今季はスタンドオフに入る。ここまで全8試合に先発し、チームに新たな風を吹き込んでいる。

「10番でずっと出ていますが、慣れなどはなくて、1試合1試合でどうするべきかを考えてプレーしています。昨季までは力也さん(松田力也/現・トヨタヴェルブリッツ)がいましたが、自分は自分。意識はせずに自分のプレーをするだけです。ゲームでも、相手に合わせるのではなく自分たちのラグビーを追求しています」

埼玉WKは2月22日の第9節で三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦、山沢京平は9試合連続でスタメン出場する。変幻自在のキックとピッチを俯瞰する展開力。“熊谷流儀”のフットボールマシーンが埼玉WKの新たな時代を創造していく。

(伊藤寿学)

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