2025.02.27[S東京ベイ]好調の要因は「みんなのおかげ」。ラグビーへの無垢な情熱を、上位決戦に注ぐ

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月1日(土)13:00 白波スタジアム (鹿児島県)
東芝ブレイブルーパス東京 vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(D1 カンファレンスB)

今シーズン好調のハラトア・ヴァイレア選手。トンガ出身で15歳のときから日本でプレー

第7節の横浜キヤノンイーグルス戦では個人で19得点を挙げて逆転劇の主人公となり、前節の静岡ブルーレヴズ戦でも勝利に大きく貢献したハラトア・ヴァイレア。今季、好調の要因を尋ねると「みんなのおかげ」と謙虚に答えた。一見するとなんだかイカつそうで、プレーの節々にもプリミティブな(けれん味のない)強さが垣間見えるものの、その内には仲間思いの一面と、ストイックに高みを目指すひたむきさを秘めている。

ヴァイレアが母国トンガを離れて日本体育大学柏高校に入学したのは15歳のとき。当時のポジションは主にセンターとフルバック。日本体育大学ではさらにスタンドオフ、ウイング、ナンバーエイトなどでも活躍。2022年のクボタスピアーズ船橋・東京ベイ入団後はセンターで多く起用された。

「一つのことだけにフォーカスするのではなく、いろいろなことにチャレンジしたいです。まずは自分で練習して、それでどこまでできるのか。分からないことがあってもすぐに誰かに聞くのではなく、自分でやってみて、そこで壁に当たったら教えてもらうようにしています」

「ラグビーが大好き」と彼は目を輝かせた。リーグワンはもちろん、海外リーグの試合映像も欠かさずチェックし、スキルを吸収するために日々の研究も怠らない。しかし、昨季は13試合に出場したものの、そのほとんどがベンチスタート。不本意なシーズンとなった。

「悔しかったです。だから、次のシーズンではスタートから出られるように頑張ろうと」

オフシーズンに特に取り組んだのはフィットネス(心肺機能)の向上。そして、「これは僕が入団したころからなのですが」と前置きした上で、こうも語った。

「試合中に自分では気づけなかった問題点をナード(バーナード・フォーリー)やコーチたちがオフフィールドでも教えてくれるんです。教えてもらったことは試合で生かせるよう、練習していました。だから、(いまの活躍があるのは)みんなのおかげ」

今季は開幕からウイングで連続出場。「どのポジションでも試合に出られるように準備しています」というヴァイレア。今節は東芝ブレイブルーパス東京と対戦。シーズン中盤の重要な一戦に臨む。

「アタックでもディフェンスでも負けません。アタックではトライを取りにいきます。今年の目標は優勝。そのためにも、次の試合は絶対に勝ちます」

先発出場のポジションを勝ち取るために苦労したことを尋ねると、「ありません」と一言。なぜなら、ラグビーと仲間たちが好きだから。その無垢な情熱が、勝利の原動力となる。

(藤本かずまさ)

2025.02.27[BL東京]復帰を果たしたファンタジスタはチームの力を信じて大一番

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月1日(土)13:00 白波スタジアム (鹿児島県)
東芝ブレイブルーパス東京 vs クボタスピアーズ船橋・東京ベイ

東芝ブレイブルーパス東京(D1 カンファレンスA)

前節から復帰、今節もリザーブメンバーに選ばれている小川高廣選手

鹿児島の地で、リーグワン屈指のド迫力の肉弾戦が繰り広げられる。東芝ブレイブルーパス東京(以下、BL東京)は3月1日、白波スタジアムでクボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)と対戦する。

昨季の王者・BL東京と、一昨季の王者・S東京ベイの一戦は、ディビジョン1で2位(BL東京)と3位(S東京ベイ)の戦いでもあり、両チームにとって今後を占う重要な試合となる。

そんなBL東京に頼もしい男が帰ってきた。小川高廣は前節のリコーブラックラムズ東京戦で後半12分から途中出場。前十字靭帯断裂という大きなけがからの約1年ぶりの復活に、ファンからの「おかえり!」という声が響いた。

「自分がけがをして、それから優勝をしたので、『存在を忘れられているのかな』という感覚もあったのですが(笑)、みんなに『おかえり』と言ってもらえて、うれしかったです」

33歳のベテランは照れくさそうに笑う。センスとランニングスキルで相手ディフェンスを攻略した若手時代、クラブとして厳しい時期を共同キャプテンとしてまとめた中堅時代を経て、小川はBL東京に欠かせぬ存在となった。

強力フォワードを擁するS東京ベイ戦に向けては、「相手の大きな選手がラック周りにもプレッシャーを掛けてくるので、そのプレッシャーをかわして良いボールをバックスラインに渡せばチャンスを作れると思います」と、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)における判断と球さばきをポイントに挙げる。

BL東京にとって今季唯一の敗戦は第5節の静岡ブルーレヴズ(以下、静岡BR)戦だったが、S東京ベイは前節で静岡BRを62対14と圧倒した。調子を上げているS東京ベイとの対決は厳しいものとなる可能性があるが、小川は笑顔で言い切った。

「逆にそういうチームとの試合のほうが、チャンスがあるのかなって思います。ウチは接戦を乗り切って『自分たちはもっとやれる!』という思いが出てきているので」

クラブとしても、個人としても苦しい時期を越えてきた。経験を積んだファンタジスタは、BL東京の力を信じて大一番に臨む。

(安実剛士)

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