2025.02.27[相模原DB]「チャレンジすることが好き」。世界一になったスターが相模原DBで抱く思い

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月1日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
三菱重工相模原ダイナボアーズ vs リコーブラックラムズ東京

三菱重工相模原ダイナボアーズ(D1 カンファレンスA)

カートリー・アレンゼ選手。チーム内の若手選手には自らの経験やスキルを惜しみなく伝えているという

「自分の好きなようにプレーできると思っていましたが、リーグワンは甘くありませんでした。どの選手もフィジカルが強く、チームとして強いです」

ラグビーワールドカップ2023フランス大会、南アフリカ代表の優勝メンバー。ラグビー選手として輝かしいキャリアを持つカートリー・アレンゼが、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)で戦ったシーズン前半をこのように振り返った。

相模原DBはここまで3勝6敗の9位。世界トップレベルのチームで活躍してきたアレンゼが、昨季は現役各国代表選手ゼロと成長過程にあるチームを選んだことには理由があった。

「チャレンジするチームが好きで、一緒に成長したいと思いました。このようなチームに、ほかのチームが甘く掛かってくることがあります。そこに対してみんなの想像以上(の結果を出すこと)に貢献するのが好きです」

グレン・ディレーニー ヘッドコーチは、プレーはもとより、アレンゼのグラウンド外でのチームへの貢献も高く評価している。アレンゼ本人もこう語る。

「練習中は自分のプレーでチームに貢献できるように意識していますが、練習後、特に若手選手が『一緒に練習したい』と言ってきたら、『いつでも自分の時間を使うよ』と伝えています。そこは選手として、人としてどんどん成長できる部分です」

その効果は第5節の横浜キヤノンイーグルス戦、小泉怜史の“チップキック”を使ったトライに表れた。小泉はそのプレーを振り返り、「アレンゼと練習していたテクニックを試合で発揮できたことは、自分の中で成長を感じます」と胸を張る。

一方で、前節の埼玉パナソニックワイルドナイツ戦は、岩村昂太キャプテンが語るように「スキルのところで遂行力が欠ける」という課題を残した。

「一人ひとりが自分のプレーに責任を取って、スキルを練習し続けること。オフの日でもできることはあるので、自分が必要だと思っていることを意識してやり続ける。回数を重ねることが一番大事だと思います」というアレンゼの言葉は重い。

リコーブラックラムズ東京戦から始まる後半戦に向けて、アレンゼは「チームは今季、すごく成長していると思いますが、まだまだミスがあったりするので、もっと一貫性を保つことが必要です。チームとしてプレーオフトーナメントに進みたいと思っていますし、実現すれば(トーナメントでも)できるだけ高いところにいきたいです。日本が大好きですし、一瞬一瞬を楽しんで、もっとみんなと仲良くなりたいです。そして、自分が帰るときに、もっと良いチームになっているように、どんどん貢献していきます」と先を見据える。

世界を知る男が最後尾から相模原の猪軍団を押し上げる。

(宮本隆介)

2025.02.27[BR東京]今節のテーマは『One Shot』。中楠一期、少ない言葉に込めた決意

NTTジャパンラグビー リーグワン 2024-25
ディビジョン1 第10節(交流戦)
2025年3月1日(土)12:00 秩父宮ラグビー場 (東京都)
三菱重工相模原ダイナボアーズ vs リコーブラックラムズ東京

リコーブラックラムズ東京(D1 カンファレンスB)

中楠一期選手。「パフォーマンスを良くしたい、という思いしかいまはありません」

ディビジョン1の戦いも、いよいよ後半戦へと突入する第10節。リコーブラックラムズ東京(以下、BR東京)は3月1日、三菱重工相模原ダイナボアーズ(以下、相模原DB)と秩父宮ラグビー場で対戦する。

BR東京は先週末に行われた第9節で、東芝ブレイブルーパス東京と対戦。7トライずつを奪い合った乱打戦の末、1点届かず苦杯をなめた。

「あれだけキックも外れた。当日は責任を感じました」

そう話したのは、プレースキッカーを務める中楠一期。成功率40%に留まったゴールキックがいずれか一つでも入っていれば、展開も変わり手にする勝ち点は異なったかもしれない。

「自分でも(何が原因か)分からない。ここが(原因)、と思えていたら修正はできていたと思う。技術的に未熟なところ。メンタル的な問題なのかな」と、言葉少なにつぶやいた。

だが、過ぎた試合のことを考え続けるわけにはいかない。1週間後にはまた、新たな試合がやってくる。

「パフォーマンスを良くしたい、という思いしかいまはありません」

中楠は、前を向いた。

「準備の段階で10番としての仕事も多い。特にこのチームは、全員が器用にプレーできるわけではありません。みんなにどういうことをしてほしいのか、そのことを考えています」

プレースキッカーであり、スタンドオフでもある。

プレースキッカーとしての不調が、イコール、ゲームメーカーとしての不調につながるわけでは決してない。

「確実に良くなっているところはいっぱいあります。アタック面でのパフォーマンスは、今までよりも良かった。苦しみながらも成長できているかなって」

2試合連続、今季最多タイとなる7トライを生み出したゲームメークに自信をもった。

「シーズン後半戦も良いプレーをしたいし、ほかの14人が何をしなければいけないかを明確にできるような10番になりたい。みんなが自信をもってプレーできるよう、良い影響を与えたいです」

今節の試合テーマは『One Shot』。

昨季、一昨季と相模原DBとは1シーズンで2度対戦し、1度目は敗れ2度目でリベンジを果たすゲームが続いているが、今季のリーグ戦の対戦機会は交流戦での1度きり。

“ワンチャンス“でしっかりと勝ち切って、後半戦にはずみを付ける。

(原田友莉子)

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